■ 残り火のような熱の中で

夏。なんかようやく気温が高くなって、それなりの夏に鳴ってきましたね。っつってもすぐ終わりそうですが。

それはそうと、日本の夏といえば温度もそうですが湿度も相当なものがありますよね。そして湿度が高く温度も高いとなるとどうなるかといいますと…

・不快指数が上がる
・食べ物とかが腐る


というような現象がみられます。これはそんな夏らしくなってきたある日の、出来事でした。


みやもと家の住人は、現在僕、父、母という3人構成です。そしてそれぞれが台所仕事も料理も基本的に出来る為、3人揃っていれば母が食事を作りますが、そうでない場合は基本的にフリー、というか自分の飯は自分で作るという体勢になっています。まぁ僕は居候なのですが、非常に恵まれた環境なわけですね。

さて、先週・先々週は母が長い旅行に出かけている為、住人は男2人という状況でした。ですが、父も僕も別々に料理をしたりしているのに、台所もシンク周りも整理されていまして、何事もなく平穏無事に日々を過ごしていたのです。そう、あの暑い日を迎えるまでは――。


その日、夕食を外で済ませて帰宅するとケータイにメールが着信しました。差出人は父。内容は以下のようなモノでした。

今夜は、会合があり食事は外でして帰ります。それからお願いがあります。流しのシンクの中の生ごみ、嫌な臭いになっていて、今朝かたずけようとしましたが、ギブアップでした。悪いけど片ずけておいて欲しいな。新聞紙にくるみビニール袋に入れ生ごみ用のバケツに収納しておいて下さい。よろしく頼みます。(原文ママ/装飾:みやもと春九堂)


パパ。これは「お願い」という名の命令ですね。しかもオーダー細かいし。


そう、親父殿は臭いモノが大嫌いなのです。嫌いというかダメなのです。思い返せば幼き日々、通勤で駅に向かう父と共に手をつないで幼稚園まで一緒に行っていた、あの頃。

曜日によって運悪くゴミ収集車バキュームカーと遭遇したりしようものなら、父は先程までの「優しいお父さん」の貌から死地に赴く戦士の貌に豹変し、ハンカチを呼吸器にあてがうやいなや幼い我が子(僕)の手をふりほどき、時折空えづきを繰り返しながらBダッシュ並みの速度で先行するという荒技を繰り広げるほどだったのです。


それを考えれば、僕がこの任務を遂行するのは居候としても極めて当たり前。僕も臭いモノは結構ダメですが親父殿よりマシなはずです。

というわけで空気の温む晩。台所に踏み込むと……特に大したことはありません。意気揚々と新聞紙を用意してシンクに向かうと。


おぶっ。



あっという間に心が折れました。


なんだよこれ!すげーくせーよ!!ありえねーありえねー!!既に涙目ですが、それでも居候として頑張らねばなりません。放っておいてもよくなるということはないのですから。

それにしても強烈な臭いです。新聞紙を広げ、三角コーナーを手に取おぶっ無理無理無理無理無理!!手が汚れるとかそういうのはどうでもいいのですが、臭いで目の前がにじんでよく見えません。(正確には嘔吐の影響で涙が)

とにかくなんとかしなければとタオルを持ち片手で鼻と口をふさぎつつ作業をしようとしたのですが、両手を使わないと無理と判明。急ぎタオルをアメリカ西部開拓時代の銀行強盗スタイルに巻いてみるも一枚分の薄さでは臭いは5%カット程度。

さりとて重ねた状態で巻こうにも、手元のタオルは1枚。重ねおりにすると僕の巨大な頭部を巻くには長さが足りず、ギリギリで鼻部分だけ覆うことが出来る程度。さながら出来損ないのねずみ小僧状態で、「鼻で吸って口から吐く」という呼吸法をしばらく練習し、まるで波紋を練っているかのように「コホォォオォォーーー!!」と三角シンクに接近。うっしゃいくぜ!

コホォオォォーーー…コホォォオォォおぶぉっ無理無理無理無理無理!!!ちょっと気を抜いた瞬間に、口から空気を吸い込んでしまい口腔内から鼻腔を刺激されて即タップ。もう心折れまくりです。

それでもなんとか作業を終え、流し口のカバーに溜まっていた生ゴミも掃除して固く封印したのですが、本当に心がいくつ折れたかわからないほどでした。

生ゴミの掃除は別にコレがはじめてというわけではなく、日常的なことなんですが、涼しい日々が続いていたので本当に油断していました。皆さんも、十分に注意してくださいね!



ちなみに全任務完了後、親父殿に送ったメール。

ワレ、ニンムカンリョウセリ。シカシ、オシュウニテ、ヒガイタスウ。
オエオエー。
(原文ママ/装飾:みやもと春九堂)

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