じーらぼ!言戯道場 (G-LABO Gengi-DOJO) 管理人:みやもと春九堂(しゅんきゅうどう)

【 2004年03月31日-21:32 のつぶやき】

男色ディーノの世界 -6- (最終回)


男色ディーノ(だんしょくでぃーの)
OWF(大阪学院大学プロレス研究会)出身の異色レスラー。ネーミングの由来は、かつて週刊少年ジャンプ誌上に連載されていたマンガ『魁!男塾』に登場した異色キャラクター、男塾鎮守直廊三人衆の最後の一人・男爵ディーノであることは疑いない。男爵ディーノについては、こちらを参照されたい。


・余談とまとめ

また、これは余談であるが、ディーノ様は1月末に来日したメキシコの人気ルチャリブレ団体AAA(トリプレ・ア)に参戦。ベテランルチャドールであり、人気オカマレスラーのピンピネーラ・エスカルラタとタッグマッチながら対戦し、ゲイvsオカマという何がなんだかよくわからない世界を繰り広げた。


ディーノのゲイスタイルは彼独自のモノであるが、オカマレスラーやゲイキャラクターのレスラーの歴史は実は長い。メキシコのルチャではセルヒヨ・エル・エルモソとエル・ベジョ・グレコというルチャドールが、オカマタッグを結成しており、来日もしている。

元祖マンハッタンドロップの使い手、アドリアン・アドニスも一時期オカマギミックであったし、リップ・ロジャースなどはオカマレスラーとしてかなり有名だ。他にも数年前にはIWAジャパンにミッシェル・スターというゲイレスラーが来日し、一部大変な目にあった人々がいた。

また最近ではZERO−ONEにバフィー&メイスのゲイカップル「クリストファー・ストリート・コネクション」というタッグチームが登場し、観客の度肝を抜いたし、「ハッスル」に登場したダスティ・ローデスJr.はかつて、性倒錯キャラクター・ゴールダストとしてWWE(当時F)で、不可思議な人気を得ていた。


しかし、こうした長い歴史と広い世界をもちながらも、日本ではこのスタイルは認められていない。日本にも性転換レスラー・工藤あづさなどがいたが、俗にいうインディー団体のイロモノレスラーとしても、そういうキャラクターはいなかった、いや少なくとも僕は知らなかった。

ディーノ様は学生プロレス時代から、このキャラクターを貫き、プロデビューした今も、このファイトスタイルを継続、そしてさらに磨きをかけている。そして、今やAAAという大きな団体の来日興行に参戦するなど、いわば世界レベルに羽ばたいたともいえるのだ。


・オカマとゲイとプロレスと

思うに男色キャラという言葉や行為は、おそらく日本のリングではタブーとされてきていたのではないだろうか。外国人レスラーがやる分には「うわー理解できないし、気持ち悪いけど。外人ってこんなもんなんだろうなぁ」と見ていられるが、同じ日本人がリング上でキスだのなんだの「プロレスをバカにしている」またそれ以前に「気持ち悪い」という意識が大きく前に出てしまうからなのだろう。

しかし現在に至り、ディーノ様が受け入れられているのは、一般層にもオカマチックなキャラクターのタレントが受け入れられているという「時代」もあるが、それ以上に彼の陽性なキャラクターと、回転の速い頭。そして学生プロレス時代から徹底してきたのであろう、「客を楽しませる」というエンターテイナーとしてのプロ意識、また溢れんばかりの「プロレスに対する愛」故なのだと思う。

「プロ意識」といえば、専門誌のインタビュー記事や、CS番組内でのインタビュー、また生出演の時などの、いわゆるオフ・ザ・リングでも、ディーノはディーノであることを完全に貫いている。これも素晴らしいことだ。いや、だからこそ「ディーノだけはガチ」なんていわれてしまうのだが(笑)。


日本人レスラーでは「元祖」がいないというところもあるからなのかもしれないが、彼の全てがパロディで構成されており、そのルーツは古き良きアメリカンプロレスに至り、今現在のプロレスもアメリカンプロレスもよくよく研究しているところが見て取れる。そしてそれがディーノ様のオリジナリティとなっており、プロレスファンとしては、その元ネタ探しすらも楽しいのだ。

客の煽り方やマイクの使い方はザ・ロック。観客席に乱入しつつの入場はブルーザー・ブロディ。技はファンクス、藤波からストーン・コールド、はてはCIMAや折原、武藤にまで至る。

そして見逃してはいけないのは、彼のタイツは、学生プロレスの大先輩であり、日本人レスラーとしてアメリカンプロレススタイルを貫き続けている、MEN’sテイオーのそれと同じデザインなのである。
参考()


考えてみれば、MEN’sテイオーは学生プロレス時代、テリー・ファックとして常勝チャンピオンの名を欲しいままにし、無敗のまま引退した選手だ。そしてディーノもまた、無敗のまま引退した学生プロレスのチャンピオンであった。

この両者につながりがあるかどうかは正直わからない。そしてディーノの口からテイオーの事が語られたことは、今のところない。しかしディーノからはテイオーに対するリスペクトが非常に強く感じられるのだ。

アメリカンプロレススタイルを愛し、リング上で体現している、この両者。同じインディーシーンに身をおき、テイオーの所属する大日本プロレスとDDTの若手が交流戦を始めた今、ひょっとしたら両者の対戦が行われる可能性もある。そして僕はそのカードを非常に期待している。


・ボクがディーノを愛したワケ

考えてみればディーノもテイオーも、相手を負傷させる、また自分が怪我をするというような危険な技は一切使わない。それがアメリカンプロレススタイルといえばそれまでなのだが、ディーノに至っては急所…というかペニィーを狙った攻撃や、精神的ダメージを与える攻撃が主体であるとはいえ、逆にそれらの技だけで試合を組み立ててしまうところが驚異なのだ。

フィニッシュムーブの「男色ドライバー」は、学生プロレスに脈々と受け継がれる「パンツドライバー」であるが、オーバータイツに頭をいれるという過程さえ除けば、普通の「ジャンピングパイルドライバー」に過ぎない。

しかしそれでも観客を色々な意味でお腹一杯にさせてしまう納得させてしまう、そうした試合の組み立てが出来るレスラーなのだ。実はこれはとんでもなく凄いことなのだ。今のプロレス界を見渡して、ここまでのオリジナリティと力量を持った選手がいるかといえば、正直数えるほどしかいないのである。


「どんな相手でも」ではなく、「どれだけ実力差があっても」という条件では、ディーノ様の実力は、正直まだわからない。しかし観客を掌の上にのせ、相手を自分のペースに引きずり込み「ディーノの試合だった」と思わせる試合を、様々なキャラクターがいるDDTマット上のみならず、U-FILE campの選手達との試合、SAEKI祭りでの門馬戦、そしてAAA参戦で、実践してきている。

そんな絶賛出世&成長中のディーノ様だからこそ、また日本人レスラーでは前代未聞のスタイルとキャラクター、この2つをひっさげ、エンターテイナーとして、プロレスラーとして、どこまでいけるのか見てみたい、追いかけてみたいのだ。

この異色の男色レスラーに、僕がこだわるのは、そんな理由だったりするのである。決して僕が男色趣味だからではないんだよ?ホントだよ?


<終>
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つ、つかれた……。
この記事の直後の記事です。
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