■ そうだ熱海に行こう<5>

非常に浅くて短い眠りの後。夜が明けた。とにもかくまずは朝飯ということで食堂に出かけ、ビュッフェスタイルの食事で腹を満たす。それから朝風呂だ。汗と共に身体に残ったアルコールを流し出す。

それから再び昼過ぎまで就寝した。3時間睡眠とか無理。今日帰りも159キロとか運転するのに。というわけで小一時間ほど死んだように眠った後、車数台とバイクに分乗して宿を後にした。

目的地は熱海だ。

そもそも「熱海に行こう」とはなったものの、宿は伊東市の宇佐美である。ここに宿泊し温泉につかったりもしたが、これが今回の本懐ではない。6月29日、それは熱海海岸の海開きの日だったのだ。そこに襲撃をかけることこそが今回の旅行の最大の目的である。

ちなみに海開きとはいっても泳ぐつもりなど毛頭ない。では、何をするかといえば簡単である。荷物に紛れ込んだスイカwithバット。この二つを使った海岸の風物詩といえばもちろんスイカ割りである。かつては真夏の海岸でならよく目にする光景であったが、最近ではお笑いタレントの海岸コントくらいでしか目にしなくなってしまった

まぁとにもかくにも、そのスイカ割りを、初夏6月の海開きの日に思いっきり先取りしてやろうというのだ。海沿いの国道135号を走りながら、僕の胸は不自然に高鳴った。寝てないし。


ほどなく熱海市内に入る。目指すビーチは駅前からほど近いところだ。車組はパーキングに車を停め、バイク組は先行隊としてシートを敷く拠点を求めて海岸に向かった。







海開き当日だというのに結構な賑わいである。とりあえずシートのおける陣地を獲得し、後続組が来るのを待機する。一端設営をした後、あずま屋の下の物件(?)に空きが出来たので速攻で差し押さえたりしながら、参加メンバーのお子さまなどはそそくさと着替えて海で泳いだりしている。

そしてそれを横目に見ながら「あつ〜」「だる〜」とすっかり死に体になっている睡眠不足の大人達。そもそも参加者の大半が20代後半である。そして真夏のビーチ!とかよりはエアコンの利いたマンガ喫茶(ネット環境付き)とかの方が好きな面々である。もっといってしまえば、こんな明るい日差しの下に出たら死を意識するような人種だ。

だが、そんな中で一人だけ海を目の前にして、うずうずしている元気娘がいた。誰あろう我がじーらぼ!メイド部隊女中頭の来水ユキ嬢()である。毎回イベントの度にお手伝いをしてもらっており、彼女のバイタリティには感心することが多いのだが、昨夜普通に睡眠をとっていることもあってひたすらに元気である。結局彼女は、パンツの裾をまくり上げて波打ち際で水遊びをしにいった。




(画面中央の赤い服)




睡眠不足の居残り組は、そんな光景を横目に、やっぱり「あつい」「だるい」を繰り返しながら雑談に興じていたのだが、波打ち際から走って帰ってきて、楽しげに「やばい!すげー楽しいよ!」など報告する彼女の姿に、じょじょにテンションを上げつつある一人の男がいた――。

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