■ おむすび・おにぎり

皆さん、今日も元気に食ってますか?僕はモリモリです。ええ、いつもと変わらず。

昨日の「フライ」の話に、随分多くの反響をいただきました。こちらのスレッドにも、美味しそうな料理が沢山並んでいます。夜中に見てはいけないスレッドになっちゃってますね。


さて、昨日の話でも、ほんの少しだけふれたのですが、今日は「おむすび」ないし「おにぎり」のお話です。

もちろん、米の飯を掌で包んで塊にしたもののことなのですが、第一にこの「おむすび・おにぎり」という名前は、どっちがどうなのかという問題があります。

まぁ簡単に云ってしまえば、どちらも同じものなんですが、歴史的に古い呼び名なのは「おにぎり」の方で、もともとは餅米を蒸した強飯(こわいい)を掌で握って塊にした「にぎりめし」が原型のようです。それを丁寧にして「おにぎり(おにぎりめし)」となったわけですね。

で、一方の「おむすび」は、というと江戸時代に、身分の高い女性や大奥などで使われていた女房言葉(にょうぼうことば…お上品で丁寧な言葉遣いですね)で「おにぎり」を言い換えたのが始まりだそうです。

また文字通りに、形はどうでも「握って」固めたものが「おにぎり」で、掌をやんわりと交差させて「結んで」三角形にまとめたものを「おむすび」としているという、なるほど納得と膝打ちモノの説もあるようです。

余談ですが、手に対しては「つなぐ」「あわせる」「にぎる」などが一般的に使われる動詞で、「結ぶ」は比喩表現の「手を結ぶ」に使われるだけのものだと思われがちですが、手・指を使って「印」という意味ある型をにする行為を、仏教では「印を結ぶ」といいます。このあたりからも、「にぎり」より「むすび」の方が、なんとなく丁寧で優しいイメージをうけますね。

まぁ「おにぎり」よりも「おむすび」の方が、発音的にも確かに柔らかい感じがしますよね。「おにぎり」はイ音が連続しますので、口を横に広げっぱなしですが、「おむすび」はウ音が連続して最後にイ音ですので、口をおっぴろげにせずに、どちらかといえば「おちょぼ口」で済みますものね。


とまぁ、そんな感じで、僕は個人的にも「おむすび」という名前の方が好きだったりしますので「おむすび」という呼称で話を進めるわけですが、「昨日の話で少しふれた」というのは「味噌おむすび」の事なんです。

梅干しやら海苔のつくだ煮やら、昆布のつくだ煮やらを適当におむすびの中にいれる、もしくは何もいれずにおむすびを作って、出来上がったおむすびの周りに味噌を塗る、というだけのシンプルなものなんですが、大学時代に呑みの後の腹ふさぎにコレを作ったところ、「初めて食べた」という感想をいった連中が多かったんですよね。

我が家では、おむすびのバリエーションには、かならずコレが入るというくらいメジャーなものでして、時折網の上で軽くあぶって味噌を焦がしたりしたバージョンもあったりしました。でも連中にそのことを話すと「味噌をあぶって軽く焦がす」という調理方法すら知らなかったりして、育った地域差なのか、それとも食ってきたモノが全く違うのか、我が家が変なのかと、考え込んだりしたものです。

ちなみに、今は化学調味料たっぷりの「出汁入り」タイプ味噌が多く、それを使っている人も多いと思うのですが、そういう味噌でコレを作っても、あまり美味しくないと思います(焼いたりしたら変な匂いがしそう)。試す際は是非出汁入りではない、いいお味噌を使って上げてくださいね。


さて、そんなことを思い出したりしている内に、「おむすびの具」では、それこそ色々な好みがありますし、コンビニのおむすびを見ても様々な変わり種があることからも、とんでもない幅があると思いますが、件の「味噌おむすび」の様に「おむすび」自体に加工を加えたモノってのは、どんなものがあるんだろうと思ったんです。

「おむすび」という食べ物は、昨日の「フライ」ではありませんが、それこそ「簡単な調理で出来る単純な料理」の最たるものだと思います。

そんな「おむすび」でも、飯の真ん中に何か具を入れて海苔を巻いて出来上がり、という、ごくごく普通のおむすびよりも、一つ先に踏み出した「家庭や郷土の定番」というような「おむすび」がありましたら、それも是非教えてください。

【受け継がれる】簡単レシピで美味いモノ【郷土・家庭の味】
http://g-labo.pro/cgi-bin/test/read.cgi/gch/1079268639/


ところで、これは我が家伝統のものなのですが、焼いた塩鮭の身をほぐして、梅干しを刻んで、ほんの少しの酢とで溶いたモノを、白ゴマと一緒に混ぜた御飯を、おむすびにして食べます。勿論そのまま混ぜ御飯としても食べますけどね(笑)。

僕はこのおむすびが大好きなのですが、母上にルーツを尋ねたところ、これは亡くなった父方の祖父の作なんだそうです。いやー全然知りませんでしたね。なんでも原型は、梅漬け(カリカリしてる方ですね)を刻んだモノを混ぜて作っていたそうです。

父方の田舎は信州(長野県)の山奥の、そこそこ大きな農家でして、梅も育てていましたし、当たり前ですが、自家製で漬けこんだりもしていましたので、それが反映されていたのでしょう。あと長野は何故か鮭よく食べますしね(年越しには必ず、溶いた酒粕をかけた、ゆで鮭が出ます)

そうだったっけ、と記憶を振り返ってみると、確かに、昔食べたこのおむすびは、所々にカリカリとした食感があって、それがまた酸っぱくてしょっぱくて、とても素敵で嬉しい味になっていたなぁと思い出しました。


祖父が亡くなったのは、僕が小学六年生の時の事ですし、元気だった時期の事を考えると、それよりも前の記憶のはずなんですよね。それにも関わらず、一度思い出した味の記憶は結構強烈に鮮明でして――。

食の記憶ってのは根深いもんだなぁ、なんて思いつつ、意外なところから久しぶりに「大きくて厳しくて怖かった」爺様の記憶やら、両親についてよっこらよっこらと一輪車を押していった梅の木のある畑の風景やらを思い出して、口の中と、何故か目蓋を「じんわり」とさせてしまった――そんな春の夜でした。 どっとはらい。

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