【 2004年07月20日-03:02 のつぶやき 】
■ 夢記憶創作・白い部屋の別件。 -1-
気がつくと、僕はその部屋にいた。
いつものように汚い自分の部屋の、ろくに干していない布団を敷いただけの粗末なベッドに潜り込んだのは、確か空が白み始めた午前四時くらいのことだったと思う。
それから泥のように眠り込んだ。そして目が覚めたらこの部屋にいたというわけだ。
最初は夢の続きを見ているのかと思った。それから今の今まで別に夢を見ていたわけではないから、その表現はおかしいと思いつつ、改めて「夢を見ているのかと思った」と思い直そうとしたのだが、寝起きの欠伸ついでにクシャミを催して、現実であることを理解した。
現実であることを理解はしたのだけれども、いかんともしがたい非現実的な事実がそこにあった。
自室のベッドで眠ったはずの僕は、妙に寝心地のいいスプリングの効いたベッドに横になっていて、しかも三階の屋根裏部屋みたいな構造になっている狭い自室にいるはずが、真っ白い壁と真っ白い天井。見るからに四角い、ちょっとだだっ広い部屋にいるのだ。
そしてもう一つ不自然なこと。それは僕の着衣だった。自分の身体を見下ろすと、真っ白いダブついたシャツとズボンを身につけているようだった。素材は妙に光沢がある。感触はこう、つるつるすべすべしていて柔らかい。
――ひょっとしたら、これはその、シルクのパジャマってやつなんじゃないだろうか。
その思考に行き当たった時、あんまりなセンスというか現状に思わず頭を抱えた。シルクのパジャマだって?冗談じゃない。それは、この世の中で最も嫌うモノのウチの上位何番目かのモノだった。
厚さの割に妙に軽い掛け布団をはがすと、さらに信じられないモノが目に入った。パジャマのズボン(もうこれは明らかにシルクだ)の先。少しまくれあがった裾から出ている見慣れた毛ずね。その先にある、これまた見慣れた甲高の足。
その間、つまり足首に、こっちはええと、そう右の足首に妙なモノが巻き付いていた。
――アンクレットっていうんだっけ。
我ながらタチの悪い、そしてデキの悪いジョークだった。なぜならそれは、どうみても「足枷」だったからだ。
膝を曲げて引き寄せ確認してみると、それは紛う事なき足枷であって、しっかりとした鉄芯がロックされていて、御丁寧な事に自転車のワイヤーキーに使うようなワイヤーが伸びていた。
ワイヤーをたぐっていくと結構な長さがあるようだった。掛け布団をベッドの下に落として、右手に握られた張りつめたワイヤーの先を確認すると、どうやらベッドの足に何重にか巻き付けるようにして、くくられているようだった。
こんなふざけた状況――理解している限りを整理すると、見知らぬ部屋で、趣味の悪いパジャマを着せられて、羽毛布団のふかふかベッドに、どういうわけか丈夫なワイヤーで繋がれている――に、置かれている割には、意外と僕は冷静だった。
正直、クスリをやったりする趣味はない。酒も記憶を失うほど飲むことはない。昨日(?)眠るまでの記憶がハッキリしている。そしてこの部屋に見覚えはない。
それだけでも十分な材料なのだけれども、置かれている状況のいくつかを加算すれば、自ずと今の状況が、もう少し客観的に浮かんでくる。
――誘拐とか拉致…拉致は違うのかな。で、「監禁」。
つまり、これはそういうことなのだ。
そう納得すると、ようやくハッキリしてきた頭で、今度は自分の身の安全について考えることにした。室内をよく観察する。それからベッドから降りて自分の動ける範囲を確認するつもりだった。ワイヤーはどうやら2か3メートルくらいの長さはあるようだ。
そしてそれは、込み上げつつある生理現象という、非常にリアルな危機を解消する為にも、なるべく急がなければならないことだった。
<気が向いたら続>
いつものように汚い自分の部屋の、ろくに干していない布団を敷いただけの粗末なベッドに潜り込んだのは、確か空が白み始めた午前四時くらいのことだったと思う。
それから泥のように眠り込んだ。そして目が覚めたらこの部屋にいたというわけだ。
最初は夢の続きを見ているのかと思った。それから今の今まで別に夢を見ていたわけではないから、その表現はおかしいと思いつつ、改めて「夢を見ているのかと思った」と思い直そうとしたのだが、寝起きの欠伸ついでにクシャミを催して、現実であることを理解した。
現実であることを理解はしたのだけれども、いかんともしがたい非現実的な事実がそこにあった。
自室のベッドで眠ったはずの僕は、妙に寝心地のいいスプリングの効いたベッドに横になっていて、しかも三階の屋根裏部屋みたいな構造になっている狭い自室にいるはずが、真っ白い壁と真っ白い天井。見るからに四角い、ちょっとだだっ広い部屋にいるのだ。
そしてもう一つ不自然なこと。それは僕の着衣だった。自分の身体を見下ろすと、真っ白いダブついたシャツとズボンを身につけているようだった。素材は妙に光沢がある。感触はこう、つるつるすべすべしていて柔らかい。
――ひょっとしたら、これはその、シルクのパジャマってやつなんじゃないだろうか。
その思考に行き当たった時、あんまりなセンスというか現状に思わず頭を抱えた。シルクのパジャマだって?冗談じゃない。それは、この世の中で最も嫌うモノのウチの上位何番目かのモノだった。
厚さの割に妙に軽い掛け布団をはがすと、さらに信じられないモノが目に入った。パジャマのズボン(もうこれは明らかにシルクだ)の先。少しまくれあがった裾から出ている見慣れた毛ずね。その先にある、これまた見慣れた甲高の足。
その間、つまり足首に、こっちはええと、そう右の足首に妙なモノが巻き付いていた。
――アンクレットっていうんだっけ。
我ながらタチの悪い、そしてデキの悪いジョークだった。なぜならそれは、どうみても「足枷」だったからだ。
膝を曲げて引き寄せ確認してみると、それは紛う事なき足枷であって、しっかりとした鉄芯がロックされていて、御丁寧な事に自転車のワイヤーキーに使うようなワイヤーが伸びていた。
ワイヤーをたぐっていくと結構な長さがあるようだった。掛け布団をベッドの下に落として、右手に握られた張りつめたワイヤーの先を確認すると、どうやらベッドの足に何重にか巻き付けるようにして、くくられているようだった。
こんなふざけた状況――理解している限りを整理すると、見知らぬ部屋で、趣味の悪いパジャマを着せられて、羽毛布団のふかふかベッドに、どういうわけか丈夫なワイヤーで繋がれている――に、置かれている割には、意外と僕は冷静だった。
正直、クスリをやったりする趣味はない。酒も記憶を失うほど飲むことはない。昨日(?)眠るまでの記憶がハッキリしている。そしてこの部屋に見覚えはない。
それだけでも十分な材料なのだけれども、置かれている状況のいくつかを加算すれば、自ずと今の状況が、もう少し客観的に浮かんでくる。
――誘拐とか拉致…拉致は違うのかな。で、「監禁」。
つまり、これはそういうことなのだ。
そう納得すると、ようやくハッキリしてきた頭で、今度は自分の身の安全について考えることにした。室内をよく観察する。それからベッドから降りて自分の動ける範囲を確認するつもりだった。ワイヤーはどうやら2か3メートルくらいの長さはあるようだ。
そしてそれは、込み上げつつある生理現象という、非常にリアルな危機を解消する為にも、なるべく急がなければならないことだった。
<気が向いたら続>