■ パートナーシップ

「1+1は2じゃないぞ。俺達は1+1で200だ!十倍だぞ十倍!」

上のセリフは当時新日本プロレス所属だった小島聡選手(現・全日本プロレス三冠王者)が、天山広吉選手とのタッグチーム「天コジ」について語ったものです。

総合100万パワーのウォーズマンが「ベアークロー2本で100万+100万で200万、 いつもの2倍のジャンプで400万、更に3倍の回転を加えればバッファローマン、お前の1000万パワーを超える1200万だ!」と、きっぱり言い放ったくらい不思議な感じがしますが、(1+1)×10=200だというなら、きっと正しいのでしょう。


さて、俗にタッグやダブルスという者は1+1を2以上にする事が必要なんて云われます。天コジタッグの様に、未知なる力で十倍すると1+1が200になってしまうという怪奇現象まではいかなくとも、お互いを高めあい、短所を補いつつも長所を引き出す。そういう事が必要というわけですね。

ダーツにもペアマッチ/ダブルスと呼ばれる試合形式があり、頻繁に行われています。ハウストーナメント(お店が主催する大会です)の場合は、参加人数を多くしたり、参加者同士の交流を深める為という意図もあるのでしょう、基本的にはダブルストーナメントが主体だったりもします。

勿論気の合う仲間同士でダブルスチームとして参加を申請することも可能な場合もありますが、基本的にはチームレーティングで組み合わせを作りますので、申請レーティングでペアを振り分けられる形になります。


これはどういうことかといいますと、ダーツは実力が絶対評価数字になってしっかり現れるスポーツでして、それをレーティングといいます。レーティングは01やクリケットといったゲーム種目の成績(スタッツ)から計算され、そのダブルスのペアは、そのレーティングで振り分けられるということです。

例えば参加者全体のレーティングをみて、一番上の人が14で、一番下の人が2だったとします。この場合、一番上と一番下の合計が16になりますので、基本的にはその数字に合う様に参加者同士をペアに振り分けるわけですね。10の人は6の人と、12の人は4の人と、8の人は8の人とっていう具合です。

しかしながらそう上手くバラバラのレーティングの人が集まる事もないので、1〜2くらいのチームレーティング差が出てしまうことは、ままあったりもします。


さてさて、レーティング12の人とレーティング4の人では、当然実力が全く違います。すると、基本的には、より上手い方がまだこれからの人にアドバイスをしつつ、ゲームをコントロールするというのがゲームのスタイルになるわけです。

このレーティングが上の方の人をファースト、下の方の人をセカンドと呼ぶのですが、この組み合わせの機微が、1+1を2以上にも2以下にもするわけなのです。


特にダーツはメンタルスポーツですので、ファーストであれセカンドであれ、如何に狙ったところに入れるかというよりは「如何にプレッシャーを感じずに楽に打てるか」という事に尽きます。この試合中のプレッシャーというのは本当に大きいもので、全く自分のプレイが出来なくなることもあるんです。

どんな上位者であれ、そうした傾向はあるわけですから、まだ始めたばかりでレーティングがさほど伸びていない人、つまりダブルスでのセカンドの人ならば余計に強くプレッシャーを感じてしまいます。


さて、俗に「ファーストの仕事」「セカンドの仕事」として、「ファーストの仕事」は01ならば、最低TONキープ、出来ればハット、アレンジ出来たらハイオフ狙い、失敗しても上がりやすいアレンジでセカンドに渡す。「セカンドの仕事」は01ならば、なんとかブルに一本でも入れる、キャッチ上等とにかく削る――なんてことを云ったりもするのですが、そういう実力に応じたプレイの結果よりも、もっともっと大事な「仕事」が、それぞれにあるんです。

それはお互いに「いつものプレイ、実力通り・実力以上のプレイ」を出せる環境を作って上げること。勿論それは結果として実力に応じたプレイ結果の数字を出すという事にもつながるのですが、それ以上にメンタル面のケアが必要になるわけです。

つまり「ファーストの仕事」は「如何にしてセカンドがプレッシャーを感じない様にケアするか」。ファーストとセカンドに割り当てられた時から、セカンドはファーストに頼る形になります。そこで如何に頼りがいあるファーストになれるかが重要なわけです。

セカンドが失敗しても「大丈夫!OK!」と励ませる度量の広さと明るいムード作り、そして実際に「大丈夫」な状態を作れる実力を発揮すること。それこそが「真のファーストの仕事」になるわけです。

対してセカンドはというと、これもまたファーストに頼り切るだけではなく、例えばファーストが失敗して一本もブルに入れられなかった時に、一本でもいいからぶち込む。こうした予想外のカバーをしてくれることで、ファーストもまたプレッシャーから開放されるわけです。

また自分が失敗しても「次は絶対に入れてきます!!」とファーストが心強く思える様なポジティブさを見せること。そしてそのムード作りをすること。つまり、お互いに実力以上を出そう出そうとするのではなく、お互いがお互いをケアし、サポートしようという姿勢とムードを作ること、それが「仕事」であり、その結果として、いいプレイを生み出す事に繋がるわけです。


これはとりもなおさず「思いやり」に他ならないわけです。小規模なハウストーナメントとはいえども、初対面の人や常連同士でもお店で時々顔を合わせる程度なんていう人と組むこともあります。

そうした場面でも「チーム」としての機能を果たせるかどうか、つまり「思いやりある姿勢」を出せるかどうかという事が求められてくるわけで、よく「ダーツは紳士のスポーツ」なんてことを云われますが、まさに「紳士」であることが求められてくるわけですね。


さてさて、DDT(ドラマチック・ダーツ・チーム)こと我がダーツ部も、そこそこに腕が上がってきたこともあって、最近ではいくつかの大きな大会にもエントリーをするようになってきました。まぁエントリーだけなら誰でも出来るわけですが(笑)。

大きな大会の場合は、参加人数も多いのでレーティングを参考数字にした階級別に試合が行われることになります。つまりダブルスのトーナメントならば、最初からチームとしてスタッツとレーティングを申請してエントリーし、そのチームの合計レーティングでエントリーする階級に振り分けられるというわけです。

つまり気心も実力も試合のペースも熟知した相手とペアを組んで出場するということですね。こうなってくるともう、誰と組むかわからないハウストーナメントのダブルスとはまるで違う展開になってきます。

ぶっちゃけた話が見知らぬ相手とのペアより、あらゆる意味でやりやすいということ。特にファーストの立場としては、上級者としてセカンドをリードしなくてはならない上に初対面の相手ならば余計に紳士的であらねばならない、という二重の気遣いが必要になるわけですが、気心の知れた相手ならば、その必要がないわけです。


紳士のスポーツだなんだと云ったところで基本は勝負事です。喧嘩腰ぐらいの勢いで打たなければ勝てるもんも勝てません。

ここ2ヶ月くらいの僕はレーティング上どうしてもファーストに割り振られてしまうのですが、ファーストとしてはもう最下層レーティングですので、紳士としてペアに気遣いをして優しく明るく努めつつ、ボードに向かったら闘志むき出しで打つ…なんていう高等なメンタルコントロールなんか出来ないんですよ。

結果として、ここのところのハウストーナメントでは負けがこんでいる状態でして、非常に悔しい思いをしつつ、自分の未熟さを呪い、こんな情けないファーストとペアを組む事になってしまったセカンドの肩に申し訳ないと肩を落とす日々ってな具合になっちゃってるわけですよ。なんとも精進が足りません。


さてさて、ところで今回我がDDTがエントリーした大会は10月10日に栃木県は小山で開催される「B.COLLECTION DARTS FESTIVAL」。400人からのプレイヤーが集う大きな大会です。

ダブルスのトーナメントになるわけですが、申請したスタッツからBフライトクラスへのエントリーになりました。前にもチョロっと書きましたが、僕のパートナーは兄貴。十数年来の友人であり、2ヶ月遅れでダーツにハマり、今まで一緒にやってきた仲間です。

同じ釜の飯も喰い、同じ杯で酒も飲み、今ではサイトまで同じサーバーでやっているわけで、過去に遡れば同じエロゲーでアレした兄弟という痛々しい傷痕もあるはずです(嫌すぎ)。ある意味ここまで気心の知れた相手はいないといえるでしょう。そしてそれは同時に「遠慮しなくていい相手」ということでもあるわけです。

10月10日は、我がドラマチック・ダーツ・チームとして初のダブルス対外戦でもあります。負けられません。対戦相手は全て殺っちゃう気味っくらいの勢いで臨むつもりです。そしてそれはパートナーに対しても同じ事です。

試合会場はいわば戦場です。とするとペアのファーストとセカンドは軍曹と二等兵みたいなもんです。そして軍曹といえばハートマン先生(フルメタルジャケット)です。軍曹は二等兵を叱咤します。罵倒します。そして激励します。それが軍曹が軍曹たる所以。軍曹クオリティです。


そんなわけでして10月10日は

「グダグダ云う前にブルにぶち込めこのデブ!」
「貴様こそファーストのクセにTONどまりか、ハット出せ!キ(ピー)ついてんのかこのデブ!」

「ノーマークだと?!貴様俺にストレスを与えて胃潰瘍で殺す気だな!この殺人デブ!」
「BUSTだと?!溢れさせるのはピザを前にした時のヨダレだけにしろデブ!!」

「うるさいデブ!」
「なんだとデブ!」

「ブヒィイー!!」
「ブキヒーィ!!」



と、こんな素敵な会話が
飛び交う事になりそうです。

(合言葉は「思いやりよりも、来週の火曜日に返すからハムカツちょっと貸してでぶー」で)

(C) G-LABO Gengi-DOJO.