■ ははへのてがみ。

前略おふくろ様。


元気にしていますか?こちらの村では寒い日々が続いています。

早いもので僕がこの村にやってきてから、もう一週間が経ちました。少しずつこの村の生活にも慣れてきたかなと思いつつ、この手紙を書いています。年越しにはロクに挨拶も出来ず本当に申し訳ありませんでした。遅まきながらではありますが改めて、あけましておめでとうございます。

都会の生活に厭いてこの村に来たものの、当初は予想以上の寒村ぶりに本当に驚きました。この村の特産品はオレンジなんですが、誰も手入れをしていないのです。とはいえ、手入れをしていなくても自生しているということは、それだけ土地が豊かなことの表れなのかもしれません。野生のバラ、コスモス、パンジー、チューリップなども生えています。

そして実に不思議なことに、この土地の植物には旬というものがないようなのです。ひょっとしたら放射線系の汚染土壌なのかもしれません。今のところ体調に変化はありませんが、ガイガーカウンターを持ってきたら大変な数値が検出されそうです。


住人の皆さんも一風変わっています。真面目に働いているのは商店経営者ばかり。他は皆、釣りをしたり、化石を掘ったり、昆虫採集をしたりといった感じです。しかしながら化石や魚、昆虫などは全て村の商店が買い上げてくれるとの事ですので、それぞれの生活はしっかりと成り立っているようでした。不思議なものですね。

また、驚いたのは「趣味が散歩」と豪語する人がいたことです。様子を見ていると確かに日がな一日村中を練り歩いては無駄話をしています。どんな生活をしているのかとお宅にお邪魔したところ、ヨーロッパ風に統一された豪華な室内にアンティークなレコードプレイヤー…いや、蓄音機が軽快な音楽を奏でていました。

とても毎日散歩しているだけという奇人の生活には見えません。おそらくはご両親などの遺産などで暮らしているのかもしれません。夢のような悠々自適にして裕福な暮らしぶりでした。俗に言うブルジョワジー、一部の特権階級というやつなのでしょう。

振り返って僕の部屋はといえば、粗末な板張りにベッドが一つ。段ボールにロウソクと古いラジオだけという状態です。こんな寒村の中でも、ここまでの貧富の差があるのかと愕然としました。


そうそう、商店の話をしましたが、ここの店主が僕の家を建ててくれました。なにしろ入村したばかりで右も左もわからない僕に村での生活のことを様々教えてくれたのですが、どうにもこの店主、微妙に後ろ暗い雰囲気があります。というのも、半ば強制的に僕の家をリフォームさせ、僕は多額の借金を背負わせられてしまったのです。

否応なしに増改築を繰り返させる手練手管は悪徳商法の臭いがします。ですがローン自体は特に返済期限も利息も付かないということで、親切なんだか悪どいのだかよくわかりません。まぁ親切なふりをした、相当なタヌキであることだけは確かだと思います。そういえば顔もタヌキっぽいです。


借金を返済しているといいましたが、僕はこの村に越してきたときの当初の目標通り、この寒村を立派な果樹園にしようと日々奮戦しています。特産品のオレンジの計画栽培を中心に、今ではリンゴ、チェリー、ナシ、モモなども栽培しています。

特産品だけあってオレンジの相場は低いのですが、他の青果はそこそこの価格で出荷出来ています。まだまだ小規模ではありますが、今のところ果樹園の運営は成功しているとみても大丈夫かな、と思います。なにしろ変動相場ではなく出荷できるのがありがたいです。

…どうにも放射能汚染だの一部のブルジョワジーだの固定相場だの雪のふる寒村だの計画農場だの、とある崩壊した某社会主義連邦国家を連想させる臭いがするのですが、敢えて気にしないことにします。

また余暇を使って花の栽培もはじめました。品種改良による新種生成をしたいのですが、こちらはなかなか上手くいきません。いつか村中に花を咲かせることが出来たらなぁと思っています。


今窓から外を見たら、また雪が降り出したようです。そちらも寒くなる頃でしょう。風邪などひかぬよう、くれぐれも気をつけて下さい。


色々ありますが、僕は元気です。それでは。


愛をこめて モッティより

この記事はニンテンドーDSのゲームソフト『おいでよ どうぶつの森』のプレイに基づいて書かれたプレイリポート創作です。別にみやもと春九堂本人が謎の寒村に行って農業をはじめたわけではありませんので、念のためご注意を(笑)。

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