■ 寒い時季になると。

寒い季節になってきますと、ふとした瞬間に、とある特定条件で胸がときめきます。

その特定条件とは「寒風吹きすさぶ外で懸命に働く女性」。しかも制服であれば、なお好いのです。めっちゃときめきます。そりゃあもう瞬間湯沸かし器の様に。

たとえばガソリンスタンドの店員さん。さび色の長い髪を邪魔にならないように二つに縛っています。首に掛かるようにたらしているのは、せめてもの防寒対策でしょうか。制服の袖から出る手は既に真っ赤です。それでも肩をすくめることもなく、はきはきと大きな声で「いらっしゃいませーえ」と業務をこなします。

冷たい水の雑巾で窓を拭き、サイドミラーを拭き、そして灰皿を掃除し、ガスを入れます。仕事が終われば、無造作に束ねたさび色の髪をほどいて、それなりのオシャレをしたりもするのでしょう。きっと若干ハデ目に。

そんな貴女にときめきます。


たとえばとある国道沿いの美容院。ガラス張りの店内の外にはポプラ並木。ポプラからは容赦なく枯れ葉が舞います。店内は暖房がついていますし、洗髪作業もあるから彼らのほとんどは半そでの制服です。その制服のまま、その人は外を掃き掃除しているのです。

掃いても掃いても落ち葉は容赦なく落ちてきます。その横をコートに身を包んだ通行人が寒そうに足早に通り過ぎています。それでもその人は落ち葉を掃き続けるのです。半そでから見える白く細い腕。ホウキとちりとりを持つ手は、きっと連日の洗髪やパーマ液なんかで荒れているのでしょう。でも、それはきっと仕事の勲章。

そんな貴女にときめきます。


たとえば夜の歓楽街。飲み屋のネオンが連なる通りで、バンダナを被ってコートを羽織り、少し所在なさげに立った姿。決して多くない人通りを前に、お店のビラを抱えて小さく案内の声を出すその人は、大きめのコートを羽織って後に垂らしたフードから続く衿まわりのファーに時々首をすくめています。

凍えないようにビル前のブロックの縁に土踏まずを載せて、時々小さく動く姿。酔客に絡まれぬよう、少しでもお客さんを呼べるよう。それで歩行者のいて邪魔にならぬよう気配を見ながら声を出してビラを配る姿。「クーポンでコースでも値引きになるんですか?」と聞かれて、小さく、そして若干気まずそうに「申し訳ありません、併用はできないんです…」と応える姿。

そんな貴女にときめくのです。


ありがとう。ありがとう。ありがとう。

貴女達のおかげで、今日も僕は頑張れます。

ときめきこそが心の栄養源なのです。



ハイ、そこ無差別にときめき
過ぎだとかいわない。

(「キモイ」は正解なので可。凹むけど…

(C) G-LABO Gengi-DOJO.