■ くっさめ。

花粉症が酷いです。

ここのところ晴天が続いた上に、非常に風が強く、彼方の大陸から黄砂まで飛んできてるんじゃないかと思うほどです。まぁ実際は黄砂は飛んできてるかどうか分からないわけですが、とりあえず花粉が飛んできていることだけはわかります。だって顔面が大洪水なんですもの。

僕の花粉の諸症状は、ブタクサの場合は涙、スギの場合は鼻水とクシャミという感じに分類されるわけなのですが、現在はクシャミのしすぎで既に意識が朦朧としてきています。よって、現在とんでいるのはスギ花粉ではなかろうかと判断しているわけです。ちなみに鼻も詰まっています。


クシャミのメカニズムは鼻の奥にホコリや菌が進入して粘膜が刺激されると、その刺激が脳に伝わり、それらの刺激物というか不純物を追い払おうとする、というものらしいです。

つまりクシャミをすることによって、鼻や気管などにある不純物を体外に出すわけですね。ばっちぃ話ではありますが、痰やら鼻水やらも、そうした不純物をまとめて排出する機能とのこと。つまり花粉症の場合は、吸い込んでしまった花粉を体外に排出しよう身体が作用してくれているわけですね。

ちなみに、クシャミをしたときの飛沫は、約3m程の飛距離があるそうです。いくら体外に排出するとはいえ、なにもそんなに飛ばさなくてもいいじゃないか、と説教の一つもしたくなりますが、人間の自然現象ですので仕方がありません。

問題なのは、それだけの勢いですから一緒に発声してしまうと、大音響になってしまうということです。また花粉の排出ついでに、鼻水やら痰やらを3mも飛ばしてしまっては、周囲の人は大惨事になってしまいます。普通の飛沫(唾液とかね)でも「汚い」と思うのに、老廃物とあってはたまったもんじゃありません。


そういうわけで、クシャミをするときは「なるべく音をたてないように、なおかつ、排出口である鼻と口を覆ってから行う」というのが、マナーということになっています。

これはメインとしては「周囲に対する気遣い」であるわけなのですが、どうやら女性や一部男性の間では、音を立ててくしゃみをするということが「下品」であり「恥ずかしいこと」という見方もあるようです。

なるほど考えてみれば、クシャミ、つまり「音を立てて老廃物を排出する」というのは、「排泄行為」としても考えることが出来ます。

「音」とか「気をつけないとミが」とか「空気とともに」というあたりで、クシャミは放屁と同じような感じなのかもしれません。となると痰を排出したり鼻をかんだりするのはビッグベンでしょうか?まぁ、いずれにせよ「排泄行為」に類することは間違いなさそうです。

また「排泄行為」は自然欲求ですので、これを行うと快楽をともないます。そう考えると「出すとスッキリ」という点でも、クシャミは「排泄行為」に似るわけですね。

そういえばクシャミをした後、口元を覆ったハンカチや掌を確認したり、鼻をかんだり痰を出した後に確認してしまうのも、排泄行為の際の一連の行動に似ています。とはいうものの、排泄行為というのはシモの方のものだけに限らず、嘔吐・ゲップ・涙などもあるわけなのですが、まぁこの場合は「シモの排泄行為に似る」というわけです。

こうして「クシャミはシモの排泄行為に似る」と考えると、なるほど確かに、それを人前で派手にやらかすのは「下品」であるし「恥ずかしいこと」だということも納得できます。


そういえば大学時代の知人に、Kさんという随分とお上品な女性がいました。クシャミの音は、通常表記するならば「はくしょん」、堪えた感じだと「くしゃん」、下品にオヤジっぽくすると「ぶあっくしょい」、加藤茶は「えっぷし」となるわけですが、Kさんのそれは「っちゅ」もしくは「くちゅっ」という、なんとも可愛らしいモノでした。

Kさんは重度の花粉症持ちで、この時期になるとハンカチやティッシュで口元を覆っては「っちゅ!くちゅっ!」と繰り返していたわけなのですが、僕なんかはそれを見て「いやーお上品なこってすなぁ」などと感心したりしつつ、自分は「ぶあっくしょい!……あー……チクショウィ(オヤジ100%)などとクシャミをかましていました。


風の強かったある春の日のこと。Kさんと僕は、2人でなんかの打ち合わせかなにかをしていたのですが、その日も花粉は絶好調でKさんは例のクシャミを繰り返していました。

僕はKさんを笑わせたりしながら盛り上がって話していたのですが、なにかが笑いのツボに入ってしまい、大笑いをしてしまっていたKさんに、クシャミの欲求が来てしまったらしく、Kさんは笑いながら慌ててテーブルの上においていたハンカチを取り、口と鼻を覆おうとしたのでしょうが、ハンカチを掴み損ねてしまいました。

しかしクシャミは自然現象、本能の欲求。止まるわけがありません。ツボに入ってしまっている為、コントロールが効かなくなったのか、Kさんは「あっ、だめっ」と小さく叫ぶと、いつものクシャミとは違う、かなりノーマルな「はっくしょん」というクシャミを連発しました。しかもオンザ掌です。


口元を掌で覆ったまま俯いてしまったKさんに、僕は「大丈夫?」と声をかけたのですが、Kさんは応えず、小さな肩を震わせるだけでした。しばしの後顔を上げると、なんとKさんは顔を真っ赤にして泣いているではありませんか。花粉症の涙ではなく、ガチ泣きです。

僕は慌ててポケットティッシュを差し出して、彼女をなだめたのですが、Kさんは掌を口元から外さず、ただ泣きじゃくるばかりでした。おそらく彼女の掌には、飛沫以外にも色々排出されてしまったものが付着していたのでしょう。勢いよくクシャミしちゃいましたから。

ようやく落ち着いた彼女は、おずおずとティッシュを受け取ると、頑なに掌で口元を隠したまま、なんとか汚れをふき取ったようでした。


普通の友人関係ならば、ボケとツッコミのセルフサービスの2セットも入れて、「笑い」にしてしまえば済むところなのですが、Kさんはお上品なお嬢様。おまけに泣かれてしまっては、そんな風に笑いにすることもできません。

というか、僕の方もスマートに「笑い」に出来るようなコンディションではなかったのです。だって、不意にクシャミをしてしまって、口元を覆ったまま泣いてしまっているKさんに、ドキドキしてしまっていましたから

そんなわけで、その話題に触れるわけにもいかず、クシャミ前とは打ってかわって、ギクシャクした感じで打ち合わせを終えたのですが、「それじゃあ」と歯切れの悪い挨拶した別れ際に、(さっき見たこと、誰にも言わないでね……?)とでも云うような、Kさんのすがるような表情に、さらにドキドキしたことはいうまでもありません。


さて、ここで話を「クシャミはシモの排泄行為に似る」というところに戻しますと、ちょっとした問題が出てきます。



ええ、もう皆さんも、おわかりだと思うのですが。



不意にクシャミをしてしまった女の子を
見てドキドキ
してしまったということは



「春九堂は女の子の『ソレ』を見て
興奮するような性癖を持っているのか」
ってことです。

(「ドレ?」とか訊かないように)




……えーと、うーん……いや、でも、ほら。違いますよ。うん。確かに僕は当時Kさんに好意を抱いてはいましたけれど、別にそれは恋愛感情というものではなく、話しやすい「お上品」な女友達の一人、という程度のモノでしたし、そんな「お上品」なKさんだからこそ、こう「見てはイケナイものを見てしまった」的な、少々インモラルなところで興奮ドキドキをおぼえたのだと思いますし、そういう特殊な相手であったからこそだと思うんですよ。ええ、あとやっぱり、自分の嗜好的に泣き顔に近いような恥じらいの表情が好かったのかな、と。お上品な女の子のそんな表情なんか滅多に見られるもんじゃないですしねウヘh墓穴が深くなってきたので、この話題終了。
(でも、共感してくれる男性はいるハズ……だよね?)

(C) G-LABO Gengi-DOJO.