【 2005年01月17日-06:45 のつぶやき 】
■ ミクシィーユー。<後編>
【前編】http://g-labo.pro/log/2005/200501141501.html
【中編】http://g-labo.pro/log/2005/200501160017.html
僕は最初にその中年の女性講師を怨んだ。むしろ呪った。
それから彼女の着用している謎のパンタロンを怨んだ。それとよく似たコスチュームを着用しているプロレスラーの橋本真也をキライになった。さらに恨みの連鎖は事故の相手、1・2年の頃に単位を取り逃した自分、産まれてきたことにまで遡り、全てが無駄だと考えることを止めた。
しかし考えることを止めても講義の時間はやってくる。しかも、やって来たのはいよいよ本番の「エアロビ1」だった。
いつにも増してハイテンションのパンタロン。全ての発言の末尾に「♪」が着いていそうだ。いや文字通り着いているのだろう。だって講義始まる前から音楽かけっぱなしだし。
ジャージ&Tシャツという格好に着替えて体育館に到着した瞬間から、僕のテンションは思い切り下降線を描いた。むしろ「↓」だった。
だが、パンタロンは気にせず講義を進める。
「それじゃまず準備体操で音楽にあわせて身体あたためましょう♪」
すでにエアロビのゴングは鳴っているようだった。僕はやる気なく云われるがままに身体を動かし始める。
そしてしばらくするとだんだんと曲のテンポが速くなっている事に気づいた。巧妙な罠だ。自然パンタロンのテンションも上がっていく。動きも速くなり動作の回数も多くなる。ボックスステップなんか足が絡まりそうな程だ。
それでも、なんとか必死になってついて行こうとする僕。引き離しにかかる曲。色々な意味でもうダメだ――そう思ったときに曲が止んだ。助かった、心底そう思ったのもつかの間
「それじゃもう少し速い曲にあわせてみよう♪」
パンタロンがとんでもないことを言い放った。この時点で90分枠の講義は20分程度しか経っていなかったと思う。それでも既にへとへとになっていた僕は、なぜ日本には銃刀の所持が許されていないのだろうかということを、うっすらと考えていた。
「えーと、どのCDがいいかなー♪」
パンタロンは持参のCDボックスからCDを選んでいる。しかもその量がハンパじゃない。僕は「どこまで気合い入れてんだ、このパンタロン!あんたスソが広がってんだよッ!!」と心の中で罵倒しつつも、どうか速い曲じゃありませんように、と祈っていた。
「よし、それじゃこのCDでいきましょう♪キミ達も知ってる曲よ♪」
パンタロンは喜々としてコンパクトディスクをCDラジカセに放り込んで、ボタン操作をした。そしてスタンバイすると、数瞬の後に確かにどこかで聞いたことのあるイントロがスピーカーから流れ出した。
僕がイントロクイズの正答に行きついたのと、パンタロンが「ホーーーーーーウッ!!」という、幼児をベッドに連れ込むことに成功したマイケル・ジャクソンさん(仮名)のような雄叫びを上げたのは、ほとんど同時だった。
そして体育館には大音量のtrfの「イージードゥダンス」が数十分間無限ループで流れ、僕は生き地獄に飲み込まれていった。
こんな事があって、僕はtrfがキライになった(エアロビの講義はそのあとずっとtrfだった)。パンタロンに恨みをもった。エアロビクスにトラウマを持つことになった。しかし単位さえとれてしまえば、いずれも今後二度と関わりのないモノになるはずだったし、事実そのように人生を送ってきたつもりだった。
大好きだったプロレスラーの橋本真也を、改めて好きになるのは長い時間が必要だったが、trfは自然消滅し、エアロビクスはやることはおろか見かけることすらなくなっていたのだ。全てはうまくいっていた。
だが先日のこと、徹夜で原稿を仕上げていた早朝にそれは起こった。
スカイパーフェクTVの数多いチャンネルの中で、スポーツを専門に放送しているチャンネルがいくつかある。その中の一つのチャンネルを、僕はとあるプロレス団体の中継を見たいばかりに契約しているのだ。
他のスポーツやら、その他のそのチャンネルの番組にはまるで興味はない。だが、その日は迂闊にも前の晩に、そのプロレス団体の中継を録画したばかりで、チャンネルがそのままになっていたのだ。俗にいうステイチューンというヤツだ。
そして原稿が一段落したので早朝ニュース番組を見よう、と液晶ディスプレイのPinP画面にテレビチューナーからの入力を回した瞬間、僕は固まった。
19インチ液晶ディスプレイの、およそ5インチ分の画面の中で、3人の女性…女性?が踊り狂っていたのだ。その踊り狂いっぷりったるや、凄まじいモノがある。特に中央の女性…女性?がスゴかった。
ナニがスゴイって、妙に太いのだ。太い。いやなんといえばいいのだろう。がっしりしている?堅そう?マッチョ?どれも相応しくない。
小さな画面越しにもわかる光沢を帯びた浅黒い肌、それ故に引き立つ筋肉のカッティング。そして重量感のあるボディ。全ての動きにキレがあり、無駄に力が、否、戦闘力に長けていそうな存在感があった。車にたとえるならば黒塗りのベンツ。そんな感じのイキモノがそこにはいた。
しかしそんな表現をした上でも、僕には違和感があった。彼女…彼女?の着ている衣装だ。白のタンクトップに白のパンツ。総じてキャプテンハッスルこと小川直也のコスチュームのようだ。
だが違和感のもとはそこではない、パンツ…文字通りのパンツだ。スパッツなどではない。微妙にスソが広がっているような印象さえ受ける。…ッ!?パンタロンかッ?!その瞬間、忘れかけていた僕のトラウマが疼き出した。
リモコンのPinP機能オフボタンを押すか、チャンネルを変えればいい。だけど僕にはそれが出来なかった。違和感の正体に気がついたのだ。彼女ら…彼女ら?は、絶えず動き続け踊り狂っていた。だが通常のダンスがそうするような動き、例えばカメラに対して側面を向いたりターンをしたりということをしなかったのだ。違和感の正体は、それだった。
まさか――。
そう思いつつ、ついついアンプのスイッチを「PC」から「TV」に切り替えてしまった。途端に流れ出すハイテンション&ハイテンポなサウンド。そして中央のハッスルパンタロンが放つシャウト。
もう間違いなかった、これはエアロビだ。しかも深夜のダイエット商品CMなんかじゃない、まじりっけなしの100%純正なエアロビクス番組だ。
今や完全にトラウマは再燃していた。いやだ!いやだ!!僕は慌ててリモコンのPinP機能をオフにしようとしたが、誤って「親子切替」ボタンを押してしまったのだ。この時ほどMITSUBISHIの興業デザイナーを怨んだことはなかった。
途端に19インチの液晶ディスプレイ一杯に表示されるエアロビクス番組。中央で踊り狂うハッスルパンタロン。完全に硬直する僕。脳内には既にtrfの「寒い夜だから」のイントロが静かに流れ始めていた。
硬直の原因はトラウマだけではなかった。なんと大写しになったハッスルパンタロンは、デカくて黒くて強そうなだけではなく、直球表現すれば「おばちゃん」であり、なおかつ髪型をツインテールにしていたのだ。
ハッスルパンタロンの後ろで踊る二人の女性はそれぞれハーフパンツにタンクトップという出で立ちだったが、こちらもツインテールにしている。なんだろう、そういうコンセプトの番組なのだろうか。
それにしても後ろの女性達の身体がハッスルパンタロンの半分くらいしかない。遠近法を考慮したとしてもだ。それともハッスルパンタロンの部分だけワイド画面仕様にでもなっているのだろうか。なんというかインパクトも合わさって背景にしかみえない。
様々な考えが脳内を駆けめぐる。だが思考はうまくまとまらず、スピーカーからは「ィヤェ!」「フッフー!」「ォアワーイ!」「ヒュッヒュッヒュー!」などというハッスルパンタロンの奇声と動作指示がハイテンションサウンドに載せて流れ続ける。
思考が麻痺してしまった僕は、画面の中で激しい表情で踊るゴリ顔なハッスルパンタロンと、僕にトラウマを植え付けたパンタロン講師が超合金合体し、ものすごい勢いで踊り狂う様を眼前の液晶ディスプレイではないスクリーンに映し見ていた。脳内に流れる曲は、あの日と同じtrfの「イージードゥーダンス」だった。
欲しいものは いつだって
不意に襲う偶然
見えない明日 突然に
めぐりあえる ときめき
午前5時 永遠のルール
(略)
Ez Do Dance Ez Do Dance
踊るキミを見てる
Ez Do Dance Ez Do Dance
キミだけを見ている
(「EZ DO DANCE」作詞作曲:小室哲哉)
モニターを衝動的に破壊しなかった僕は
トラウマを克服したのかもしれません。
(しかしハッスルパンタロンのツインテールは新たなトラウマ…)
というわけで、前編に書いたようなmixiの短いメモ日記から、こんな感じに話が広がるというお話でした。まぁ文字通り冗長になっただけでしたね!予想通り!ちなみにどんな番組か知りたい!とか、私もトラウマが欲しい!というはGaoraに加入して番組を探すといいですよ!責任はもてませんが(笑)。
【中編】http://g-labo.pro/log/2005/200501160017.html
僕は最初にその中年の女性講師を怨んだ。むしろ呪った。
それから彼女の着用している謎のパンタロンを怨んだ。それとよく似たコスチュームを着用しているプロレスラーの橋本真也をキライになった。さらに恨みの連鎖は事故の相手、1・2年の頃に単位を取り逃した自分、産まれてきたことにまで遡り、全てが無駄だと考えることを止めた。
しかし考えることを止めても講義の時間はやってくる。しかも、やって来たのはいよいよ本番の「エアロビ1」だった。
いつにも増してハイテンションのパンタロン。全ての発言の末尾に「♪」が着いていそうだ。いや文字通り着いているのだろう。だって講義始まる前から音楽かけっぱなしだし。
ジャージ&Tシャツという格好に着替えて体育館に到着した瞬間から、僕のテンションは思い切り下降線を描いた。むしろ「↓」だった。
だが、パンタロンは気にせず講義を進める。
「それじゃまず準備体操で音楽にあわせて身体あたためましょう♪」
すでにエアロビのゴングは鳴っているようだった。僕はやる気なく云われるがままに身体を動かし始める。
そしてしばらくするとだんだんと曲のテンポが速くなっている事に気づいた。巧妙な罠だ。自然パンタロンのテンションも上がっていく。動きも速くなり動作の回数も多くなる。ボックスステップなんか足が絡まりそうな程だ。
それでも、なんとか必死になってついて行こうとする僕。引き離しにかかる曲。色々な意味でもうダメだ――そう思ったときに曲が止んだ。助かった、心底そう思ったのもつかの間
「それじゃもう少し速い曲にあわせてみよう♪」
パンタロンがとんでもないことを言い放った。この時点で90分枠の講義は20分程度しか経っていなかったと思う。それでも既にへとへとになっていた僕は、なぜ日本には銃刀の所持が許されていないのだろうかということを、うっすらと考えていた。
「えーと、どのCDがいいかなー♪」
パンタロンは持参のCDボックスからCDを選んでいる。しかもその量がハンパじゃない。僕は「どこまで気合い入れてんだ、このパンタロン!あんたスソが広がってんだよッ!!」と心の中で罵倒しつつも、どうか速い曲じゃありませんように、と祈っていた。
「よし、それじゃこのCDでいきましょう♪キミ達も知ってる曲よ♪」
パンタロンは喜々としてコンパクトディスクをCDラジカセに放り込んで、ボタン操作をした。そしてスタンバイすると、数瞬の後に確かにどこかで聞いたことのあるイントロがスピーカーから流れ出した。
僕がイントロクイズの正答に行きついたのと、パンタロンが「ホーーーーーーウッ!!」という、幼児をベッドに連れ込むことに成功したマイケル・ジャクソンさん(仮名)のような雄叫びを上げたのは、ほとんど同時だった。
そして体育館には大音量のtrfの「イージードゥダンス」が数十分間無限ループで流れ、僕は生き地獄に飲み込まれていった。
こんな事があって、僕はtrfがキライになった(エアロビの講義はそのあとずっとtrfだった)。パンタロンに恨みをもった。エアロビクスにトラウマを持つことになった。しかし単位さえとれてしまえば、いずれも今後二度と関わりのないモノになるはずだったし、事実そのように人生を送ってきたつもりだった。
大好きだったプロレスラーの橋本真也を、改めて好きになるのは長い時間が必要だったが、trfは自然消滅し、エアロビクスはやることはおろか見かけることすらなくなっていたのだ。全てはうまくいっていた。
だが先日のこと、徹夜で原稿を仕上げていた早朝にそれは起こった。
スカイパーフェクTVの数多いチャンネルの中で、スポーツを専門に放送しているチャンネルがいくつかある。その中の一つのチャンネルを、僕はとあるプロレス団体の中継を見たいばかりに契約しているのだ。
他のスポーツやら、その他のそのチャンネルの番組にはまるで興味はない。だが、その日は迂闊にも前の晩に、そのプロレス団体の中継を録画したばかりで、チャンネルがそのままになっていたのだ。俗にいうステイチューンというヤツだ。
そして原稿が一段落したので早朝ニュース番組を見よう、と液晶ディスプレイのPinP画面にテレビチューナーからの入力を回した瞬間、僕は固まった。
19インチ液晶ディスプレイの、およそ5インチ分の画面の中で、3人の女性…女性?が踊り狂っていたのだ。その踊り狂いっぷりったるや、凄まじいモノがある。特に中央の女性…女性?がスゴかった。
ナニがスゴイって、妙に太いのだ。太い。いやなんといえばいいのだろう。がっしりしている?堅そう?マッチョ?どれも相応しくない。
小さな画面越しにもわかる光沢を帯びた浅黒い肌、それ故に引き立つ筋肉のカッティング。そして重量感のあるボディ。全ての動きにキレがあり、無駄に力が、否、戦闘力に長けていそうな存在感があった。車にたとえるならば黒塗りのベンツ。そんな感じのイキモノがそこにはいた。
しかしそんな表現をした上でも、僕には違和感があった。彼女…彼女?の着ている衣装だ。白のタンクトップに白のパンツ。総じてキャプテンハッスルこと小川直也のコスチュームのようだ。
だが違和感のもとはそこではない、パンツ…文字通りのパンツだ。スパッツなどではない。微妙にスソが広がっているような印象さえ受ける。…ッ!?パンタロンかッ?!その瞬間、忘れかけていた僕のトラウマが疼き出した。
リモコンのPinP機能オフボタンを押すか、チャンネルを変えればいい。だけど僕にはそれが出来なかった。違和感の正体に気がついたのだ。彼女ら…彼女ら?は、絶えず動き続け踊り狂っていた。だが通常のダンスがそうするような動き、例えばカメラに対して側面を向いたりターンをしたりということをしなかったのだ。違和感の正体は、それだった。
まさか――。
そう思いつつ、ついついアンプのスイッチを「PC」から「TV」に切り替えてしまった。途端に流れ出すハイテンション&ハイテンポなサウンド。そして中央のハッスルパンタロンが放つシャウト。
もう間違いなかった、これはエアロビだ。しかも深夜のダイエット商品CMなんかじゃない、まじりっけなしの100%純正なエアロビクス番組だ。
今や完全にトラウマは再燃していた。いやだ!いやだ!!僕は慌ててリモコンのPinP機能をオフにしようとしたが、誤って「親子切替」ボタンを押してしまったのだ。この時ほどMITSUBISHIの興業デザイナーを怨んだことはなかった。
途端に19インチの液晶ディスプレイ一杯に表示されるエアロビクス番組。中央で踊り狂うハッスルパンタロン。完全に硬直する僕。脳内には既にtrfの「寒い夜だから」のイントロが静かに流れ始めていた。
硬直の原因はトラウマだけではなかった。なんと大写しになったハッスルパンタロンは、デカくて黒くて強そうなだけではなく、直球表現すれば「おばちゃん」であり、なおかつ髪型をツインテールにしていたのだ。
ハッスルパンタロンの後ろで踊る二人の女性はそれぞれハーフパンツにタンクトップという出で立ちだったが、こちらもツインテールにしている。なんだろう、そういうコンセプトの番組なのだろうか。
それにしても後ろの女性達の身体がハッスルパンタロンの半分くらいしかない。遠近法を考慮したとしてもだ。それともハッスルパンタロンの部分だけワイド画面仕様にでもなっているのだろうか。なんというかインパクトも合わさって背景にしかみえない。
様々な考えが脳内を駆けめぐる。だが思考はうまくまとまらず、スピーカーからは「ィヤェ!」「フッフー!」「ォアワーイ!」「ヒュッヒュッヒュー!」などというハッスルパンタロンの奇声と動作指示がハイテンションサウンドに載せて流れ続ける。
思考が麻痺してしまった僕は、画面の中で激しい表情で踊るゴリ顔なハッスルパンタロンと、僕にトラウマを植え付けたパンタロン講師が超合金合体し、ものすごい勢いで踊り狂う様を眼前の液晶ディスプレイではないスクリーンに映し見ていた。脳内に流れる曲は、あの日と同じtrfの「イージードゥーダンス」だった。
欲しいものは いつだって
不意に襲う偶然
見えない明日 突然に
めぐりあえる ときめき
午前5時 永遠のルール
(略)
Ez Do Dance Ez Do Dance
踊るキミを見てる
Ez Do Dance Ez Do Dance
キミだけを見ている
(「EZ DO DANCE」作詞作曲:小室哲哉)
モニターを衝動的に破壊しなかった僕は
トラウマを克服したのかもしれません。
(しかしハッスルパンタロンのツインテールは新たなトラウマ…)
というわけで、前編に書いたようなmixiの短いメモ日記から、こんな感じに話が広がるというお話でした。まぁ文字通り冗長になっただけでしたね!予想通り!ちなみにどんな番組か知りたい!とか、私もトラウマが欲しい!というはGaoraに加入して番組を探すといいですよ!責任はもてませんが(笑)。