■ 出来心。

衝動的な行動は、我に返った瞬間が怖いものでして。

以前にも紹介したO-zoneの『Dragostea Din Tei』。この邦題『恋の呪文はマイアヒ・マイアフ』という曲には、BPMをあげたダンスミックスが存在し、それがパラパラ用の曲として使われているという噂がありました。

僕はその振り付けに強く興味をもったものの、「パラパラ」なんて単語はおろか、「ダンス」だとか「クラブ↑」だとか「アゲアゲ」なんて言葉にはマラトンからアテネの距離よりも縁遠いわけでして、少なくとも地元の友人達には振り付けを知っている人もクラブ通いをしているひともいません。

それでも一応、四方八方手を尽くして振り付けを知るべく努力したのですが、結局辿り着くことが出来ませんでした。


そして時が経ち、この曲の話題も、そして興味も薄れてきた先月末。僕がこの曲を知るきっかけとなったFLASHが、リメイクされて収録されたCDが発売になり、再びホットトピックスになったことで、僕の興味も再燃してしまったのです。


――どうしても振り付けをしりたい。

いや、知ったところで「クラブ↑」に踊りに行くことなどありはしません、絶対に有り得ないんです。ですが、どうしても振り付けを知りたくなってしまったのです。理由は本人にもわかりませんが、ここまで火がついてしまうと、もうどうにもとまらないのです。

そして先日。AMAZONでコミックスの新刊などを買い物カゴに放り込んでいる時に、ついカッとなってしまい、こんなものを買ってしまいました。






この『俄然パラパラ!! D-1 GRAND PRIX』には特典映像として『恋の呪文はマイアヒ・マイアフ』の振り付けが入っているんです。そして他にも何曲もメジャーなパラパラの曲が入っていますしし、DVDにはその他の曲の振り付けも収録されています。

でも、僕はそれらには全く興味がなく、O-zoneの『Dragostea Din Tei』の振り付けだけの為に購入してしまいました。別にクラブ通いをするわけでも踊る機会があるわけでもないにも関わらずです。これを「出来心」とか「ただのバカ」と呼ばずして、なんと呼べというのでしょう。


そしてこの週末。僕はデジタルメディアであるはずのDVDの、その部分だけが擦り切れるほどに何度も何度も再生して振り付けを覚え、そして踊り狂いました。

その結果――断言してしまいますが、完成度はともかくとして、振り付け自体は100%覚えました。だが、繰り返しになりますが人前で踊る機会は絶対にありません。

もう自分でも何の為にそんなことやってるのか、正直よくわからなくなってしまっていたのですが、僕の行動は大半そんなものだ、と、踊っている内に考えることをやめてしまいました。


そして、何度も練習を繰り返し、画面を見なくても自分の網膜に焼き付いた振り付けの記憶と、反復練習した動作の記憶だけで踊れるようにもなり、フルコーラスで曲をかけて踊りきってへとへとになった僕は、荒くなった息を整えながら思いました。


――ギャルの人らって、わりとすげえ。

ぶっちゃけた話、パラパラって簡単なように見えますが、踊り続けると、ものすごく体力を使うんです。特に普段PCの前に座ってばかりで運動不足とコレステロールの塊のような僕にとっては、汗がだらだら噴き出るほどです。

しかも、このCDだけで15曲15種類の振り付けがあるのですが、それでもパラパラの全体から考えると、ごくごく一部なんだそうです。

パラパラというジャンル自体には、いくつかの動きのパターンがあるようですが、それでも曲によって組み合わせは異なりますし、必ず曲自体のオリジナルの動きが入ったりしますので、その「ごくごく一部」であっても、覚えて踊れるようになるのは至難の業です。もちろん僕には出来ません。

実際のクラブでは、フルコーラスで曲をかけることなどはほとんど無く、2・3分で曲をどんどん繋いでいくわけですが、1時間なり2時間なりで考えた場合、1時間なら大体20曲20種類、2時間なら40曲40種類の振り付けがあって、しかもその時間フルで踊るわけです。ギャルの人ら、どんだけ無尽蔵のスタミナですか。


僕など一曲振り付けを覚えて踊っただけで、頭は混乱を来し、息も上がりたい放題に上がっているのに、彼ら彼女らはそれだけ踊り続け、なおかつ覚えているわけですから、本当にこればかりは素直に尊敬してしまいます。

クラブ通いをしている人々で、踊りを主体にしている人達は非常にほっそりしていて煌びやかで、デブやらグズやらはいないという印象がありますが、それもそのはずです。ぶっちゃけ、こんなこと毎週なり毎晩なりやってたら、太ってなどいられません。痩せます。普通に痩せます。それだけの頭脳労働と運動量なんです。


チャラチャラしてるだの、頭が悪そうだの、モラルがなさそうだのと色々云われるギャルやらギャル男の人々ですが、彼らはそういう事に使う頭脳やら体力やらを、総動員して踊っているのではないかと思います。そうでもしなければ踊れないし覚えられませんって。


そんなこんなで、全く関わりの無かった(いや、今後も関わりはないだろうけれども)世界の住人達に、妙なところで感心してしまったり、妙なことで汗をかくほどに身体を動かしたりした週末でした。

有り体にいえば、ちょっとしたカルチャーショックっていうやつです。なんとなく、新しい世界を垣間見たというか「覗き見」して、ものの見方が一つ変わったような気さえします。こういう発見は決してキライではないので、なんか嬉しいですね。いい週末だったと思います。

「飲ま飲まイェイ!」が耳から離れないうえに、自然に身体が動いてしまうという副作用に、現在絶賛苦悩中ではありますが。
(他の曲の振り付けに比べれば、50%くらいの難易度だった…ギャルの人ら、すげぇ…)

(C) G-LABO Gengi-DOJO.