【 2006年02月23日-14:11 のつぶやき 】
■ オリジナルダーツバレルへの道 その1
もうほとんど夏休みの工作の気分です。
今思えば、きっかけは昨夏に行われた『MJトーナメント2005』のDVDを観たことでした。ハードダーツの世界では知らない者のいない世界チャンピオンに12回も輝いた男フィル・テイラー。
ハードとは違うソフトダーツでの事とはいえ、ジョン・ロウ、ジョン・パートといった世界のトッププロを下して決勝に進み、そしてフィル・テイラーと素晴らしい試合をした選手がいたんです。
それが上総昌記さんでした。上総さんのスゴイところは、彼は普通のサラリーマンであるということです。無論国内のハードダーツの世界では素晴らしい成績を残しているプレイヤーの一人ではありますが、ショップのスタッフでもなく、どこぞのメーカーの契約選手でもなく、趣味でダーツをやっている人が世界チャンピオンと好試合を演じてみせる。前にも書きましたが、これは僕にとっては本当に凄くカッコイイと思えることだったんです。
そして僕は上総さんに深い憧れを持つようになりました。そして迎えた先月半ばのビッグトーナメント『One』。グランドマスターシングルスとAAAダブルスにエントリーしていた上総さんを会場でお見かけした僕は、「あああああああの、MJトーナメントのDVD何度も何度も観ました!よろしければ握手していただけませんか!?」と、もの凄い緊張しながら上総さんに話しかけ、握手をしていただいたんです。いやーいい人でした。
DVDで散々見尽くした上総さんのフォーム、そして『One』で直に見た上総さんのフォーム。握手してもらったときの手の大きさや指の長さや感触、それら全てを何度も何度も反芻して、その理論とスタイルを客観的に理解しよう努め、そして今も精進しています。
まずは入る入らないは別として、フォームを完全コピー出来る様に何度も何度も練習し、そこから自分のやりやすい様に少しずつ変化を加えていき、自分のどこがよくてどこがダメなのかを調べては研究を進めていきました。
それまで使っていたバレルも一旦全てしまい、クセのないストレートバレルでバレルの力に頼らないストロークが出来る様に練習を重ねました。その結果としてわかってきたことがいくつかあったのですが、その一つに自分の「人差し指と親指で挟む力の」の弱さがあったんです。
掌全体を使った握力は相応にあるのですが、親指の付け根を交通事故と事故で別の時期に骨折した経験のある僕は、どうにもこの挟む力が弱く、カタいペットボトルのキャップなどははずせないこともあるくらいなんですよね。
僕の理想のストロークはテイクバックのトップ(引ききった状態)で手首をしっかり返してダーツが天井方向に上向くところから一気に遠心力と前進ベクトルを与えて射出するというやり方なのですが、このテイクバックのトップが問題でして、人体の構造から肘を曲げながら手首を反らせるというのは、実は非常に無理のある姿勢なんです。
詳細は省きますが簡単にいうと肘の裏の筋肉と前腕は繋がっていて、なおかつ手首の方まで繋がっていると考えて下さい。つまりフルレンジで肘を曲げて手首を反らせると、そこのスジが構造的に完全にピンピンになってしまうんですよね。
なおかつ親指と人差し指の間で挟むという動作は、手首が真っ直ぐか曲げた側の方で強く発揮されるのですが、反面手首を反らせるとそこの挟みが弱くなってしまうんですよね。つまり、肘を曲げると手首が引っ張られて前に曲がりたがるのに、それを無理矢理反り返らせる=人差し指と親指の挟みが弱くなるということなんです。
さらに、そこに加えて僕はそこの筋肉が弱っているので、テイクバックのトップでグリップしたダーツが安定感をなくしてしまうことが、しばしばあるということがわかったんです。
さてはて、これはどうにかしなければならないだろうと、さまざまなバレルを借りたり買ったりして色々試してみていたのですが、まず指が太いのでグリップゾーンが大きいので、長いバレルの方が安定して持てるということが一点、そしてもう一つは太さのあるバレルならば、テイクバックのトップで「挟み」の力が弱くなっても安定感がなくならないということがわかったんです。
さらに追求していくとグリップするところがR(曲線)を持っていると、ただでさえ「挟み」が弱くなったときに、ダーツを左右から支える力が弱まって均等でなくなってしまうのに、前に出しながらインパクトの瞬間に力を伝えようとする間に左右からの圧力に前後の微妙なズレが生じてしまうということもわかったんです。
当然そんなグリップでリリースしてしまえば、ダーツはブレながら飛んでいくか、ひどければ大暴投になってしまいます。となるとグリップ位置はストレートがよく、なおかつ十分な長さをとるためには、全体もストレート構造が望ましいということになるわけなんですよ。
さて、ここからがまた大変でした(笑)。とりあえず長いバレル(全長50.5mm)を使ってみたのですが、ソフトダーツではダーツの重さに重量制限があるので、長くなれば細くなるんですよね。同じ重さ・同じ量の粘土を使って円筒を作った場合、長くすれば細く、短ければ太くなるというのと同じものです。
じゃあ今度は色々な太さを試してみようと思ったのですが、同じ重量で太いストレートバレルとなるとこれがなかなかない。かといって比重の軽い真鍮製のブラスバレルを握ってみると今度は太すぎる。ようやく見つけたのが、TrinityのSaturn20g(直径7.2mm)だったのですが、太さはジャストサイズながら長さが4.3mmと短い…。他にも全長47.5mm 直径6.4mmのunicorn CC885:ボブ・アンダーソン20gなども試してみたのですが、イマイチしっくりこない。
とまぁ、こんな風に散々悩んだ結果「だったら作っちまえばいいじゃん」という非常に短絡的な結論に落ち着いたわけです。しっかし、この安易な考えが、現在の「夏休みの自由研究に軽い気持ちで選んだらすっかりドツボにハマっちゃったよ、うわーん」的な状態に陥る結果になったのですが(笑)。
最初に用意した長いストレートバレル、MEDALISTソフトダーツ全米第2位(1位は副社長の人です(笑))のスコット・バーネット選手モデルは、長さがバッチリで細さの割りには刻みとの相性がよく、現在のメインバレルになっています。そしてそこにTrinity Saturn20gの太さがあればいい。
これまでの研究の結果から非常に単純に考えれば、これがベストチョイスなはずです。CADは使えないのでイラストレーターを使って、早速これを図面モドキに起こしてみることにしました。
まずはバレルをスキャナーに静置して1200dpiで取り込むという超豪快な方法で精密な静止画を撮影。拡大しまくって刻みのピッチなどを確認するところから始めました。そしてそれを元にイラストレーターでカチカチカチカチとやって作ったのがコレです。


ところがこれはもうまるで設計図としてはダメダメでして、このいい加減な図面から数字を叩き出して色々計算してみたのですが、そもそも元の図面がいい加減ですから、どうにもならなくなってしまったわけですよ(笑)。
そこでCADソフトを手に入れて、今度はまず一からCADの使い方を勉強し始めて、必死になってなるべく精細な図面を作れる様に努力し始めたんです。しっかしこれが非常に難解極まりなく、そうかといって友人が「教えようか?」と云ってくれてるのを「教えて君になるのはイヤじゃ!」と拒絶したりしつつ、参考サイトやらなんやらを調べて、血の涙を流しながら、ちまちまと進めること数日。ようやく今度は見られる様な図面が出来上がったんです。
しかし、ここからが本当の地獄のハマリ道でした。今度はエクセルを立ち上げてデザインした設計したバレルの重量を求めてみようと思ったんですが、まず円柱の体積の求め方を忘れている(笑)。さすが文系に進路を取り、バリバリの文系職についてしまっただけのことはあります。算数レベルの事を忘れているんですから。
ちなみにココまで読んで「…なんだっけ?」と思っている方の為に書いておきますと「半径×半径×円周率3.14×高さ」でございます(笑)。意外と覚えていないもんなんですよこれが(笑)。なんやら最近は円周率は「約3」で済ませているそうですが、出来うる限り精密な金属加工をしようとしているのに、そんな事は許されません(笑)。
そんなこんなでようやく出た体積。しかしこの時点で大きな問題が起こったんです。僕の作ろうとしているバレルは全長50.5mmの直径7.2mm、つまり体積は2055.0672立方mmになるんですが、純タングステンの比重19.3g/立方cmで重量を出すと、39662.8gというとんでもない数字が出てきてしまったんです。
「おいおいバレル単体で約40キロって!」と驚いたんですが、さすがにこれは気づきましたね(笑)。比重は1立方cmあたりの重量なので、体積を求めているのが立方mmだから、そのまま体積に比重をかけちゃいけなかったんです。立方ですから3乗倍ですからねー。いやー忘れてるってのはおっかないもんです(笑)。
そういうわけで出した体積を10の3乗倍、つまり1/1000にした結果、出た重量が39.7g。ソフトダーツのレギュレーションはフライト・シャフト・ティップも合わせて20g以内ですから、そこから考えたらとんでもない重さです。約2倍ですから。こんなもん投げたらボードがぶっ壊れて修理代10万コース確定です。
「えーーーーーっと……これは一体…」と、しばし頭を悩ませたのですが、考えてみたら同じ直径サイズのTrinity Saturn20gはネジ穴を前後にほとんど貫通させるような中空洞仕様じゃないかと気づき、今度は慌ててネジ穴の肉抜き重量をとることを考えました。
しかしここでまた困りました。ダーツプレイヤーとしてダーツのネジ穴の規格は「2BA」と呼ばれるものだとは知っているのですが、どこの資料を見てもネジ穴の直径なんかは書いてありません。
そこでまた調べまくった結果、ユニファイ規格の「10-32」と呼ばれるネジサイズだということがわかったんです。しかし今度は名前がわかったものの、実際のサイズがわからない。こうやってどんどん深みにハマっていった結果、ようやくそのサイズがわかりました。
その間に、ネジ穴を開ける道具が「タップ」という名前であったり、ネジ穴の山と山の距離を「ピッチ」と呼んだり、ネジ穴の細いところを「下穴」、太いところを「外径」と呼んだりすることもわかったりして、どんどんムダ気味な知識をつけていきました(笑)。
結果的に「10-32 unf」は外径4.826mm/下穴4.0mm/ピッチ0.793mmということがわかったのですが、図面にその通りにネジの断面図を作ってみたもののこんな複雑な多角立体の体積を求める方法はさすがにわからず、「まぁ均等に順序よく太い細いの繰り返しだろうから平均値を直径にすりゃいいや」と直径4.413mmの円柱として考えることにしたんです。このあたり、さすがに新しい知識を求める限界になりましたね(笑)。
で、早速バレル全体を貫通させればいいんだと計算してみたんですが、貫通させても重量は約24.8g。刻みなどの加工もあるのでもう少し減るかもしれませんが、相変わらず重すぎです。「なにこのデブバレル」とがっくりしたものの、考えてみれば当たり前のことなんですよね。作るのが難しいor実現出来ないからこそ市販製品にないわけですから。
まーそれでも、それならば比重の軽い金属を使えばいいと思い立ち、様々調べてみることにしました。結果出てきたのは銅とタングステンの合金であるところの銅タングステン、同じく銀との合金である銀タングステン。
それぞれ比重が混合具合によって変動するものの13.6〜15.0とあるので、これならどうだと計算式に放り込んでみたのですが、銅タングステンのもっともタングステン比率の低いものならなんとかなるものの、銀タングステンは重量オーバー。
まさかダーツバレルの製作設計でまでダイエットを迫られるとは思いませんでしたが、大体比重14g/立方cmくらいの合金でならば、そこそこの感じでソフトダーツの重量レギュレーション内に収まり、なおかつ僕の希望する重量にあてはまるかなーというところまでは辿り着いたわけです。
しかし、これはまだまだ続くハマり道の中程あたりに過ぎなかったのです…。
(長くなったので続きます)
今思えば、きっかけは昨夏に行われた『MJトーナメント2005』のDVDを観たことでした。ハードダーツの世界では知らない者のいない世界チャンピオンに12回も輝いた男フィル・テイラー。
ハードとは違うソフトダーツでの事とはいえ、ジョン・ロウ、ジョン・パートといった世界のトッププロを下して決勝に進み、そしてフィル・テイラーと素晴らしい試合をした選手がいたんです。
それが上総昌記さんでした。上総さんのスゴイところは、彼は普通のサラリーマンであるということです。無論国内のハードダーツの世界では素晴らしい成績を残しているプレイヤーの一人ではありますが、ショップのスタッフでもなく、どこぞのメーカーの契約選手でもなく、趣味でダーツをやっている人が世界チャンピオンと好試合を演じてみせる。前にも書きましたが、これは僕にとっては本当に凄くカッコイイと思えることだったんです。
そして僕は上総さんに深い憧れを持つようになりました。そして迎えた先月半ばのビッグトーナメント『One』。グランドマスターシングルスとAAAダブルスにエントリーしていた上総さんを会場でお見かけした僕は、「あああああああの、MJトーナメントのDVD何度も何度も観ました!よろしければ握手していただけませんか!?」と、もの凄い緊張しながら上総さんに話しかけ、握手をしていただいたんです。いやーいい人でした。
DVDで散々見尽くした上総さんのフォーム、そして『One』で直に見た上総さんのフォーム。握手してもらったときの手の大きさや指の長さや感触、それら全てを何度も何度も反芻して、その理論とスタイルを客観的に理解しよう努め、そして今も精進しています。
まずは入る入らないは別として、フォームを完全コピー出来る様に何度も何度も練習し、そこから自分のやりやすい様に少しずつ変化を加えていき、自分のどこがよくてどこがダメなのかを調べては研究を進めていきました。
それまで使っていたバレルも一旦全てしまい、クセのないストレートバレルでバレルの力に頼らないストロークが出来る様に練習を重ねました。その結果としてわかってきたことがいくつかあったのですが、その一つに自分の「人差し指と親指で挟む力の」の弱さがあったんです。
掌全体を使った握力は相応にあるのですが、親指の付け根を交通事故と事故で別の時期に骨折した経験のある僕は、どうにもこの挟む力が弱く、カタいペットボトルのキャップなどははずせないこともあるくらいなんですよね。
僕の理想のストロークはテイクバックのトップ(引ききった状態)で手首をしっかり返してダーツが天井方向に上向くところから一気に遠心力と前進ベクトルを与えて射出するというやり方なのですが、このテイクバックのトップが問題でして、人体の構造から肘を曲げながら手首を反らせるというのは、実は非常に無理のある姿勢なんです。
詳細は省きますが簡単にいうと肘の裏の筋肉と前腕は繋がっていて、なおかつ手首の方まで繋がっていると考えて下さい。つまりフルレンジで肘を曲げて手首を反らせると、そこのスジが構造的に完全にピンピンになってしまうんですよね。
なおかつ親指と人差し指の間で挟むという動作は、手首が真っ直ぐか曲げた側の方で強く発揮されるのですが、反面手首を反らせるとそこの挟みが弱くなってしまうんですよね。つまり、肘を曲げると手首が引っ張られて前に曲がりたがるのに、それを無理矢理反り返らせる=人差し指と親指の挟みが弱くなるということなんです。
さらに、そこに加えて僕はそこの筋肉が弱っているので、テイクバックのトップでグリップしたダーツが安定感をなくしてしまうことが、しばしばあるということがわかったんです。
さてはて、これはどうにかしなければならないだろうと、さまざまなバレルを借りたり買ったりして色々試してみていたのですが、まず指が太いのでグリップゾーンが大きいので、長いバレルの方が安定して持てるということが一点、そしてもう一つは太さのあるバレルならば、テイクバックのトップで「挟み」の力が弱くなっても安定感がなくならないということがわかったんです。
さらに追求していくとグリップするところがR(曲線)を持っていると、ただでさえ「挟み」が弱くなったときに、ダーツを左右から支える力が弱まって均等でなくなってしまうのに、前に出しながらインパクトの瞬間に力を伝えようとする間に左右からの圧力に前後の微妙なズレが生じてしまうということもわかったんです。
当然そんなグリップでリリースしてしまえば、ダーツはブレながら飛んでいくか、ひどければ大暴投になってしまいます。となるとグリップ位置はストレートがよく、なおかつ十分な長さをとるためには、全体もストレート構造が望ましいということになるわけなんですよ。
さて、ここからがまた大変でした(笑)。とりあえず長いバレル(全長50.5mm)を使ってみたのですが、ソフトダーツではダーツの重さに重量制限があるので、長くなれば細くなるんですよね。同じ重さ・同じ量の粘土を使って円筒を作った場合、長くすれば細く、短ければ太くなるというのと同じものです。
じゃあ今度は色々な太さを試してみようと思ったのですが、同じ重量で太いストレートバレルとなるとこれがなかなかない。かといって比重の軽い真鍮製のブラスバレルを握ってみると今度は太すぎる。ようやく見つけたのが、TrinityのSaturn20g(直径7.2mm)だったのですが、太さはジャストサイズながら長さが4.3mmと短い…。他にも全長47.5mm 直径6.4mmのunicorn CC885:ボブ・アンダーソン20gなども試してみたのですが、イマイチしっくりこない。
とまぁ、こんな風に散々悩んだ結果「だったら作っちまえばいいじゃん」という非常に短絡的な結論に落ち着いたわけです。しっかし、この安易な考えが、現在の「夏休みの自由研究に軽い気持ちで選んだらすっかりドツボにハマっちゃったよ、うわーん」的な状態に陥る結果になったのですが(笑)。
最初に用意した長いストレートバレル、MEDALISTソフトダーツ全米第2位(1位は副社長の人です(笑))のスコット・バーネット選手モデルは、長さがバッチリで細さの割りには刻みとの相性がよく、現在のメインバレルになっています。そしてそこにTrinity Saturn20gの太さがあればいい。
これまでの研究の結果から非常に単純に考えれば、これがベストチョイスなはずです。CADは使えないのでイラストレーターを使って、早速これを図面モドキに起こしてみることにしました。
まずはバレルをスキャナーに静置して1200dpiで取り込むという超豪快な方法で精密な静止画を撮影。拡大しまくって刻みのピッチなどを確認するところから始めました。そしてそれを元にイラストレーターでカチカチカチカチとやって作ったのがコレです。


ところがこれはもうまるで設計図としてはダメダメでして、このいい加減な図面から数字を叩き出して色々計算してみたのですが、そもそも元の図面がいい加減ですから、どうにもならなくなってしまったわけですよ(笑)。
そこでCADソフトを手に入れて、今度はまず一からCADの使い方を勉強し始めて、必死になってなるべく精細な図面を作れる様に努力し始めたんです。しっかしこれが非常に難解極まりなく、そうかといって友人が「教えようか?」と云ってくれてるのを「教えて君になるのはイヤじゃ!」と拒絶したりしつつ、参考サイトやらなんやらを調べて、血の涙を流しながら、ちまちまと進めること数日。ようやく今度は見られる様な図面が出来上がったんです。
しかし、ここからが本当の地獄のハマリ道でした。今度はエクセルを立ち上げてデザインした設計したバレルの重量を求めてみようと思ったんですが、まず円柱の体積の求め方を忘れている(笑)。さすが文系に進路を取り、バリバリの文系職についてしまっただけのことはあります。算数レベルの事を忘れているんですから。
ちなみにココまで読んで「…なんだっけ?」と思っている方の為に書いておきますと「半径×半径×円周率3.14×高さ」でございます(笑)。意外と覚えていないもんなんですよこれが(笑)。なんやら最近は円周率は「約3」で済ませているそうですが、出来うる限り精密な金属加工をしようとしているのに、そんな事は許されません(笑)。
そんなこんなでようやく出た体積。しかしこの時点で大きな問題が起こったんです。僕の作ろうとしているバレルは全長50.5mmの直径7.2mm、つまり体積は2055.0672立方mmになるんですが、純タングステンの比重19.3g/立方cmで重量を出すと、39662.8gというとんでもない数字が出てきてしまったんです。
「おいおいバレル単体で約40キロって!」と驚いたんですが、さすがにこれは気づきましたね(笑)。比重は1立方cmあたりの重量なので、体積を求めているのが立方mmだから、そのまま体積に比重をかけちゃいけなかったんです。立方ですから3乗倍ですからねー。いやー忘れてるってのはおっかないもんです(笑)。
そういうわけで出した体積を10の3乗倍、つまり1/1000にした結果、出た重量が39.7g。ソフトダーツのレギュレーションはフライト・シャフト・ティップも合わせて20g以内ですから、そこから考えたらとんでもない重さです。約2倍ですから。こんなもん投げたらボードがぶっ壊れて修理代10万コース確定です。
「えーーーーーっと……これは一体…」と、しばし頭を悩ませたのですが、考えてみたら同じ直径サイズのTrinity Saturn20gはネジ穴を前後にほとんど貫通させるような中空洞仕様じゃないかと気づき、今度は慌ててネジ穴の肉抜き重量をとることを考えました。
しかしここでまた困りました。ダーツプレイヤーとしてダーツのネジ穴の規格は「2BA」と呼ばれるものだとは知っているのですが、どこの資料を見てもネジ穴の直径なんかは書いてありません。
そこでまた調べまくった結果、ユニファイ規格の「10-32」と呼ばれるネジサイズだということがわかったんです。しかし今度は名前がわかったものの、実際のサイズがわからない。こうやってどんどん深みにハマっていった結果、ようやくそのサイズがわかりました。
その間に、ネジ穴を開ける道具が「タップ」という名前であったり、ネジ穴の山と山の距離を「ピッチ」と呼んだり、ネジ穴の細いところを「下穴」、太いところを「外径」と呼んだりすることもわかったりして、どんどんムダ気味な知識をつけていきました(笑)。
結果的に「10-32 unf」は外径4.826mm/下穴4.0mm/ピッチ0.793mmということがわかったのですが、図面にその通りにネジの断面図を作ってみたもののこんな複雑な多角立体の体積を求める方法はさすがにわからず、「まぁ均等に順序よく太い細いの繰り返しだろうから平均値を直径にすりゃいいや」と直径4.413mmの円柱として考えることにしたんです。このあたり、さすがに新しい知識を求める限界になりましたね(笑)。
で、早速バレル全体を貫通させればいいんだと計算してみたんですが、貫通させても重量は約24.8g。刻みなどの加工もあるのでもう少し減るかもしれませんが、相変わらず重すぎです。「なにこのデブバレル」とがっくりしたものの、考えてみれば当たり前のことなんですよね。作るのが難しいor実現出来ないからこそ市販製品にないわけですから。
まーそれでも、それならば比重の軽い金属を使えばいいと思い立ち、様々調べてみることにしました。結果出てきたのは銅とタングステンの合金であるところの銅タングステン、同じく銀との合金である銀タングステン。
それぞれ比重が混合具合によって変動するものの13.6〜15.0とあるので、これならどうだと計算式に放り込んでみたのですが、銅タングステンのもっともタングステン比率の低いものならなんとかなるものの、銀タングステンは重量オーバー。
まさかダーツバレルの製作設計でまでダイエットを迫られるとは思いませんでしたが、大体比重14g/立方cmくらいの合金でならば、そこそこの感じでソフトダーツの重量レギュレーション内に収まり、なおかつ僕の希望する重量にあてはまるかなーというところまでは辿り着いたわけです。
しかし、これはまだまだ続くハマり道の中程あたりに過ぎなかったのです…。
(長くなったので続きます)