■ とある結婚式の話 -1-

先日、十年来の友人、いやーまぁ親友と呼んでも差し支えない男が結婚しました。

関係各所でも既に様々なレポートがアップされていますし、本人も公言しておりますので、皆さんもうご存知の事と思いますが、結婚した親友というのは、元『兄貴の館』管理人の兄貴氏です。

まぁなんといいますか、彼と初めてあったのは僕が17歳、彼が二十歳の頃ですから、『春九堂』と『兄貴』という関係以前からの仲。そう考えると、実に色々な意味で感慨深い出来事でした。

彼と付き合っていく内に、ポツリと云われたことがありました。「悪いけど、いつか結婚式を挙げることになったら、友人代表としての挨拶は頼むね」と。まぁその時はお互い結婚なんて、まだまだ先のことだと思っていたのですが、意外とその機会はポロリと転がり出てきてしまったわけです。


『兄貴の館』というサイトの歴史をご存知の方には、いまさら説明するまでもなく、独身時代には元祖・炎多留スト(ホタリスト)として数々の男性サイト管理人を毒牙にかけてきた彼。つまりその性癖のベクトルは男色方向に驀進していたわけですが、プライベートでは歴としたゲイ…?バイ…?ノーマルでありました。

ですから結婚するという話も、花嫁となる女性の紹介も、普通に友人として受け止めたわけですが、このオバカ野郎は「ネットで知り合った」という事をひた隠しにしてやがりまして、どこで知り合ったの?という僕の問いに「…ダーツで…」と欺くというヒドイ隠し事をしてやがりました。まぁその欺瞞工作は秒殺されて、後にさんざんいじられるネタになったわけですけどね(笑)。


さて、そんなこんなで挙式準備は進み、少し前に共通の友人の披露宴があったこともあって、披露宴の段取りやタイムスケジュールの確認、台本書きやらBGM集めなど、忙しい中彼も随分頑張っていましたが、その分、僕におっかぶされる分量も雪だるま式に増えていき、気が付けば二次会の総合司会までやらされることになっていました。

披露宴の挨拶や二次会のMCを考える上で、彼から指摘されたことは「披露宴は会社の社長とかも来てるから、頼むから穏便に」ということ。そして「二次会はネット関係の人も沢山くるけど、会社の同僚とかもいるから『兄貴』だけはカンベン」ということでした。

前者はわからんでもありません。ましてや会社の社長だけではなく、両家のご両親・ご親族の方もいらっしゃるわけですから、そんなところで節度を守らないほどバカではありません。そういうわけで、これは快く了承し、事前に挨拶の原稿も何度か改めて、新郎新婦にチェックしてもらうという細かい配慮をしました。

んが、二次会については進行台本の段階で既に相当無礼講になっていましたし、招待者リストをみるだに「あー…こりゃあムリだな…」と思いましたので、「OKわかった。可能な限りベストを尽くすよ。良くも悪くも」と悪代官の様な笑みを浮かべるに留まりました。


大体、招待者リストに懐かしの801SSなんかで、散々陵辱しつくしたヤマグチさんや、ワタナベさんが含まれている時点で、もう復讐されるのは目に見えているような感じでしたし、ある年の大晦日に、年越しを楽しむために集まった後に出向いたレンタルビデオ店で

「どうせ健ちゃんのカードで借りるんだから、いいじゃん。汚れるの俺のレンタル履歴じゃないし(−_−)」

とのたまい、ホモビデオ(美少年ヨシキ)を借りるという離れ業をやってのけたり

「いま襲われるのと、生フンドシで読者サービスするのどっちがいい?(−_−)」

などと侍魂フンドシを生着用させた上にゲラゲラ笑いながら撮影するという鬼のような所業をされた侍魂の健ちゃんまで招待するあたりで、なにも起こらないわけがありません。なんというか兄貴は明らかに『覚悟の量』を誤っていました。

更に云えば、他招待されている遊び仲間達も「隠し通すなんて無理」と裏では断言していましたしね(笑)。まぁどこまで暴走するかは僕でさえも計りかねてはいましたが、兄貴本人は、より一層、注がれる水の量に対しての用意すべきコップの大きさを間違えていたというところです。

そして結果、注がれた水はコップの許容量を遙かに超えて、溢れだし、広く床を濡らすに至った…といった感じです。いやはや、こういうときに日頃の行いの成果というものは、必ず出るものですね。この日ほど、因果応報という言葉の意味を考えさせられたことはありませんでした。


さてさて、そんなこんなで迎えてしまった当日。二次会の司会もあるので、若干派手目なシャツとネクタイにスーツをまとって出陣。会場ではさまざま打ち合わせをしたかったのですが、会場では兄貴は既にテンパり気味。

さすがに顔見知りとなっている兄貴のご両親にも挨拶をしたり、式から参加の友人達と打ち合わせをしたりしている内に、ろくすっぽ本人とは打ち合わせも出来ず、まぁこのままドカーンといきゃいいかと披露宴に臨みました。

高砂に座った新郎新婦は一世一代のめでたき日を迎えて、それはそれは立派に見えたものですが、この時点で兄貴は既に胃痛でぶっ倒れそうな表情をしており、その姿に感動しながらも「…大丈夫だろうか」と心配したことは云うまでもありません。そして近づく出番に、僕自身も胃痛MAXとなっていました(笑)。


新郎新婦の紹介VTRや、乾杯の音頭や、それぞれの上司の挨拶などがあったりした後、程なくお色直しとなり、再入場後一発目に僕からの挨拶がとなりました。

まぁ一応原稿は用意しておいたものの、こうした席では前に挨拶をした人の語ったモノと重なるエピソードは限りなく排除すべきものですし、後に続く人もいるので、その人のためにエピソードやタームを残しておかなければならないという事もあります。

オマケに挨拶・余興の一番手ですから、お祝いに来て下さっている皆さま方の耳目をかき集めつつ、次の方がやりやすいような空気を作らねばなりません。

そんな重要なポジションをヒョイと任されたわけで、出番が近づけば近づくほど「祝い」の気持ちが「こんちくしょーおめー覚えてろよー」という「呪い」気味に傾きかけたのは、致し方のないことでしょう(笑)。これから挙式を考えている読者諸兄諸姉も、こうした挨拶をお願いする時の人選や順列などは、よくよく考えてからにしてくださいね(笑)。


まぁそんなこんなで挨拶も済み、無事披露宴の大半は終わり、新郎新婦からの挨拶を持ってお開きとなったわけですが、最後の新郎からの挨拶で、僕が挨拶で語ったエピソードに触れつつ、非常に言霊のこもった好い挨拶をした兄貴に、不覚にも感動してしまいました。

なにしろ数年来の友人の式に参列したときは、新郎新婦が入場口に姿を現しただけで涙腺を決壊させた僕です。自分の挨拶があったので、それどころではなかったということを加味しても、ここまでガマン出来たのが不思議なくらいでした。

とにかくテンションを抑えて、この後の二次会もあるのだからと気を張っていたのですが、披露宴会場から退出する際、新郎新婦の見送りを受けるわけですが、その時に握手した兄貴の手が、何かを堪えるように震えていたのを悟ってしまったものですから、もうダメです。

情けない話ですが、「この後二次会の司会もあるからと思って、抑えてたけど、今だけごめん」と云って、思わず号泣してしまいました。いやー、そんだけ嬉しかったんですよ。ほんと十数年の付き合いというのは、語り尽くせぬものがありますので。色々ありましたから。

あとで聞いた話では、僕が号泣したのを受けて、列に並んでいた人達がものすごい勢いでもらい泣きをしていたそうです(笑)。

結婚に向けて相当ダイエットを果たした兄貴ではありましたが、それでもまだデカいわけで。披露宴会場の出口で、巨大な肉塊が暑苦しく抱き合いながら号泣しあっている姿が、もらい泣きを誘うとは、披露宴ならではですよね(笑)。日常でそんな場面に遭遇したら、とりあえず警察か猟友会に通報されるだけですから。


とまぁ、そこまで抑えていた感情やら涙腺やらが決壊してしまった後、二次会が控えていたわけですが、とりあえずまずは精神状態を元に戻して、二次会を盛り上げられるようなテンションに戻すのが大変でした。

それでも、忙しく二次会会場で音響関係やら進行の打ち合わせを式場スタッフさんとしたり、マイクテストをしている内に、少しずつ気持ちも戻りはじめ、ネットつながりの友人達が続々と姿を見せ始めてからは、もうガタガタいってられません。

パシっとテンションを切り替えて、新郎には内緒にしていた新婦との仕込みやら進行、タイミングなどを打ち合わせつつ、号泣した素の顔など忘れて、がっちりと「春九堂」に切り替えて、二次会に臨みました。

(長くなったので次回に続きます)

(C) G-LABO Gengi-DOJO.