■ 赤身肉への欲求。

さまざまなところで散々云われていることなんですけれども、日本人の牛肉食文化のスタートは遅いんですよね。

淡白な魚肉の文化に慣れてきた民族である我々にとって、牛肉の独特の臭気、特にまだ食肉の扱いに不慣れであった頃というのは、品質も鮮度よくなかったでしょうし、独特の獣臭ってのは耐え難いものだったと思うんですよ。

そもそも肉の臭気というものは、やっぱり西洋でも気になるモノだったわけで、その臭いを消すために、胡椒という香味調味料の価値が物凄いことになっていたわけですからね。

で、そんな状況があって我が国では、ネギなどの香味野菜と一書に濃い味付けで、なおかつよく火を通すという「牛鍋」的なモノからがスタートラインになったのではないかというのが僕の見解だったりします。

ちなみに「食肉」という意味では、縄文の昔から犬を食べ続けてきた民族なので、割と長いんですよね。貝塚からも犬の骨は多数出ていますし。歴史上たびたび食肉禁止令が出たりしてるわけで(生類憐れみの令なんかもその最たるモノですね)、他にも馬だのなんだのを喰ってはいたんですよね。


そんなわけで、牛食肉の美味さというと日本人はサシの多い、いわゆる霜降り肉をありがたがる傾向があるわけで、「肉の柔らかさ」と「脂身の美味さ」で判断してしまうわけですが、本来は肉の旨味というのは、赤身肉に含まれるイノシン酸なわけですよ。

どうもにも日本人の牛肉に対する旨味の評価っていうのは、柔らかく脂がのっている方が美味しいという、魚肉の旨味と一緒にしちゃってる感じなんですよね。

で、僕の場合、その牛肉赤身のイノシン酸をたっぷり楽しみたいと思うと、時々川口にある某ステーキハウスに出かけて、そこの素晴らしい赤身肉のレンガ大のステーキを頬張るわけなんですが、それ以外で、赤身肉のマックスの美味さを楽しめるのは、個人的に韓国料理のユッケだと思っているわけなんです。

なんつうかやっぱ素材の味を楽しむなら刺身よねって感じで(※本当は火を通した方が旨味は活性化するらしいです)。そりゃ食べ放題でユッケのある店に行ったら、容赦なく在庫切れになるまで食い尽くすわって感じで大好きなんです。


でもね、ユッケに使われる部分て「新鮮で柔らかい赤身でなきゃだめ」というだけであって、ユッケのタレなんかは十分に自作出来るし、正直一皿700〜1000円もの価格をとられるのは暴利以外のナニモノでもないと思うんですよね。

これは余談なんですが、焼肉全般にいえることなんですが、あんなヤクザな商売はないですよ。だって肉類にせよなんにせよ加熱調理ってのはプロが火加減をどうこうするからこそ最良の状態で提供してもらえる「仕事」があるわけじゃないですか。それが火加減もろくすっぽ調節できない加熱器(七輪炭火だろうがガスコンロだろうが同罪)で、プロでもなんでもない素人に調理を任せるわけでしょ。店側の仕事は「食肉の仕入れ」「切り出しと下味」「お運び」だけですよ?そこにどういうサービス料や調理料を加えたら、あんな価格をつけられるのかと。食肉・精肉業界は色々調べたりしてるんで、牛自体の等級もあれども、それでもあの価格はあまりにもおかしいわけです。コンロだなんだの設備使用料なんかもコミになってるっていいますけれども、じゃあ何割が所場代なんだって感じです。まったくもって、どんだけ上乗せしているんだって話ですよ。従って僕の中で、焼肉店の飲食店の評価ってのは本気で最低レベルです。ましてやオーダーしてから出すのが遅いだのなんだのってのは全くもって度し難い。高級焼肉店だとかなんだとか云われてるところには一切お金を落としたくないわけです。

さてはて閑話休題。まぁそんなこんなでユッケを自分で大量に作って喰おうと考えたわけですが、加熱しない以上、精肉が新鮮であることがキモなわけなんですよね。そうなると、やっぱスーパー売りの精肉とかは若干怖くて使えないわけです。

そんなわけでやっぱ自分で仕入れて売ってる個人営業の精肉店で買い求めるのがベストかなと思う次第です。ユッケを作るのには、赤身で柔らかい部位的にはランプ肉がいいわけですが、スーパーの精肉コーナーじゃあ、あまり見ないですもんね。

てなわけで、タウンページのサイトを開き、地元住所を放り込んで精肉で検索。すると結構あります。確かにバイクや車で地元を巡っていると、色々な精肉店をみることがあるわけで、なるほどこんな店名だったのか、あーあそこの店だなどと思ったりしながらリストを見ていたわけですが、その中に、近所なのに知らない店がありました。

その名も「ブッチャー佐々木」

いやあ、スゴいインパクトですよね。明らかに入店早々になんかされそうです。いや、あってるんですよ。ブッチャー(Butcher)ってのは屠殺業者や肉屋を表す英単語ですから、間違ってないんです。

ちなみに稀代のヒールレスラーであるアブドーラ・ザ・ブッチャーとは「定冠詞付の肉屋アブドーラ」というわけなんですよ。だからミートフォークを凶器に使うわけなんですよ。アメリカではその名前にちなんでステーキハウスを経営していたりするんですよ。

まぁそんなエピソードはどうでもよく、ブッチャー佐々木ですよ。なんかこう期待できそうじゃないですか。それこそ血も滴るような新鮮なお肉を売ってくれそうじゃないですか。そんなわけで、近々新鮮な牛ランプ肉を求めて、ブッチャー佐々木に潜入してみたいと思います。



もちろん移動の際のBGMは
ピンク・フロイドの『吹けよ風、呼べよ嵐』ですよ。
ふしゅるるるるー!!シュッシュッ!

(地獄突きの空手フォームをしながら)

(C) G-LABO Gengi-DOJO.