じーらぼ!言戯道場 (G-LABO Gengi-DOJO) 管理人:みやもと春九堂(しゅんきゅうどう)


【過去のつぶやき】
 2007年03月の【家元のつぶやき】のバックナンバーです。

 感想など、メール掲示板の方にいただけると、非常に嬉しいです。メールは送信する前に、こちらを御一読下さいませ。
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2007年03月のバックナンバー

てぶら。(2007年03月05日-02:56)
あの川を渡れ!(2007年03月09日-20:42)
ボートで!ゆっくり!渡河さくせーん!(2007年03月15日-09:47)
或る日の衝撃。(2007年03月17日-09:06)
スウェーデン!(2007年03月19日-17:31)
ウォータージェットォーッ!!(2007年03月20日-17:05)
BBって色々略称があるよね。(2007年03月23日-09:32)
画像バトンなるものをまわされました。(2007年03月31日-00:26)


てぶら。


「てぶら」という言葉から、皆さんはどんなものを思い浮かべるでしょうか。

漢字に変換しつつ言葉を組み合わせれば、より明確になるのですが「てぶら」は「手ぶら」と「手ブラ」に変換できると思うんですよね。前者は「何も持たない状態」という意味の結構古くから使われている言葉で、後者は「手で乳房を覆う行為」です。手でブラジャー的な行為をするということから「手ブラ」なんでしょう(笑)。

後者の方の「手ブラ」は、ここ10年くらいでグラビアアイドル業界が元気になってきた中で出てきた言葉だと思うんですが、実に自然に浸透したなぁと感心することしきりです。「手で乳を隠している」というよりも「手ブラ」の方が、陰/淫に感じない爽やかなイメージさえありますもんねえ。


しかし皆さん、今でこそ「てぶら」といえば、「手ブラ」の方ですが、前者の「手ぶら」という表現も十年くらい前までは極めてメジャーなタームだったんですよ。例えばまだそんなに古い記憶ではないと思うのですが、1993年にオープンし2002年に閉鎖した千葉県は南船橋にあった屋内スキー場施設「ザウス」では、スキーやスノボの道具を一切持たずに全てレンタル出来るという「テブラデスキー」というキャンペーンをやっていたんです。

そのCMも実に奇抜でして、掌をヒラヒラさせているロシア人女性という設定のモデルさんが「ワタシハテブラデスキーデース!」と自己紹介兼キャンペーン名を連呼しながら歩いていくというインパクト大なものでして、結構CMも頻繁に流れていたので、この「テブラデスキー」という言葉は、屋内スキー場ザウスという若干オシャレスポットな存在とともに、往時の若者達の脳裏にかなり色濃く焼き付いたんですよね。

まぁ今になれば、本来ロシア語でいうならば「○○スキー」は男性名詞ですから、女性モデルさんを使うなら「○○スカヤ」になるわけで「テブラデスカヤ」じゃあ、あのCMは成り立たないじゃねーかというツッコミも浮かぶわけですけどね(「お前だけだ」という声には耳を塞ぎつつ)

他にもSANYOから発売されていたコードレス電話機「テブラコード留守」は、集音マイクで子機や親機を持って送話口に向かって声を出さなくても拾ってくれるというハンズフリーフォンの先駆けで、当時は画期的なものだったりしたんです。


それが今では「てぶら」といえば、すっかり「手ブラ」になってしまいましたからねえ。いやはや言葉のうつろいというかなんというか。いや別に同音異義語は多くありますが、大半は若干アクセントやイントネーションが違うんで、性格に発音したり、言い直せばどうということもないんですが、僕の判断ではこの二つはアクセントさえも同じなんですよね。

つまり、このまま「手ブラ」が「てぶら」のメインストリームを締めることになり、ザウスが閉鎖したかのように「手ぶら」という言葉の意味が「てぶら」界から消えてしまったとしたら、表記ではともかく音声会話の中で「てぶら」というタームを出した際に大変なことになってしまうかもしれないわけです。

「テブラデスキー」なんて云ったら、どんな変態スキーヤーなんだって話ですし、「テブラコード留守」なんていったら、どんな製品なのかまるでわかりませんからねえ。成人玩具系ですか?

それに、これまでは例えば宴会に女の子を呼んだりするときも「なんか持ってく?」と聞かれて「手ぶらでくればいいんじゃない?」と云えば「わかったー」と応じられるような気軽な会話となっていたわけなんですが、これを「手ブラでくればいいんじゃない?」なんて受け取られてしまった日には、どんな罵倒を浴びせられるかわかったもんじゃありません。

「なにいってんの?!なんであたしがそんなサービスしなきゃいけないのよ?!バッカじゃないの?!死ねば?!このデブ!!」とか云われてもおかしくないわけですよ。あーちょっといいかも?(遠くをみながら)



まぁ「うんわかったー」と応えられて
その後「ごめんねーほんとに手ブラできちゃったー」
こんな感じのスタイルで来られたとしたら
それはそれで大歓迎
なんですけどね。

※リンク先は若干セクシャルな画像のオンパレードですのでご注意を※
(さぁカモナマイハウス!!…って、ありえませんが)



[ 2007年03月05日-02:56 ]  



あの川を渡れ!


「ここで突然ですが、論理ックイズーッ!!」
「いえーーーーいっ!!」

「これから出される問題を、論理的に解釈して、論理的に回答してくださーい!」
「はーい!」

「では問題ッ!」
「はいっ!」

「あるところに農夫がおりました。農夫は川向こうの市場に買い物に行って、キツネ・ニワトリ・小麦を買いました」
「うんうん」

「で、農場に戻るわけですが、川を渡る船がオンボロで1回につき自分と荷物一つしか運べません」
「オウシット!」

「しかも農夫が目を離してしまうと、キツネはニワトリを食べてしまい、ニワトリは小麦を食べてしまいます」
「マイガッ!!」

「というわけで、どうにかしてこの3つを無事に向こう岸に渡して下さい」
「ふむー」

「念のためいっておきますが、キツネを殺して毛皮にしてしまったり、ニワトリをしめて正肉にしてしまったり、小麦をその場で育ててて畑拡張とかいう遠大な計画をはじめてしまったりということはできません」
「うわー!きみはテレパシストか!!」

「さーどうだね」
「まず小屋を造って…」
「ダメです」

「ニワトリを投げて、根性で羽ばたかせる」
「ダメです」

「キツネを媒介とした寄生虫エキノコックスで…」
「関係ありません」

「小麦を粉にして小分けにしたパックにつめて…」
「ダメです」

「じゃあどうすればいいんだよ!!」
「論理的に考えろよ!!」

「論理的に考えたら、キツネが小麦を食わないとは限らないし、そもそもなんで畑を荒らす害獣であるキツネを農夫が買うんだよ!!」
「諸般の事情だよ!!」

「諸般の事情か…それじゃ仕方ないな…」
「うん、仕方がないのだ。さぁ考えなさい」

「でも襲われるかもしれないのわかってて、なんでキツネとニワトリ買うんだよ!!間違ってるよ農夫!!それに頑張ればニワトリだってキツネに勝てるかもしれないじゃないか!!窮鼠猫を噛むんだよ!!噛めよ!!頑張れよニワトリ!!キツネに負けんなよ!!」
「ニワトリの根性はこの際関係ないから!!」

「うーん。1回につき1個しか運べないのね」
「そう。まぁ一袋、一羽、一匹だな。単位は関係ないよ、ナゾナゾじゃないんだから」

「うーん…まずキツネを船にのせて」
「ふむふむ?」

「次にニワトリをのせて」
「ほうほう?」

「潔く沈没」
「だめだー」

「だめだよなー」
「うん、ダメだ。運べよ」

「どうもこのキツネとニワトリと小麦ってのがわかりにくいんだよ。なんか他のにしてくれ」
「むう、それもそうか。ならばこれでどうか」
「ふむふむ?」

「あるところに一組の男女がいた。2人は恋人同士だ。ある晴れた日、郊外にピクニックに出た2人は、逃走中の強盗殺人犯に出くわしてしまう」
「うわーシビアだな…」

「強盗殺人犯は警察に追われている。カップルはまずいところに出くわしてしまったわけだ。そして2人は銃で脅され、逃走の為の人質となってしまう…」
「うむ…」

「あとはお定まりの展開だ。追う刑事、逃げる犯人。逃走劇の最中、籠城した廃屋で女は強盗殺人犯に襲われてしまう。愛する男の目の前でな」
「うわ…ひどいな…」

「無論、男は激怒する。だが犯人は銃を持っていて、襲いかかるも逆にボコボコにされてしまった。しかしそこに刑事が追いつき、ついに犯人を捕らえた」
「おお」

「警官は2人の被害者と、犯人を護送しなければいけない。だが、現場は郊外の僻地。川を渡る吊り橋は犯人が落としてしまっていて、古いボートで対岸に渡るしかない」
「ふむふむ」

「しかし、籠城中に犯人にタコ殴りにした男は負傷していてボートをこげないし、女の方も無理だ。犯人は手錠を掛けられているからボートを漕ぐことはできない」
「深刻な状況だな」

「その通り。だから結局刑事がボートを漕ぐしかないんだが、ボートは2人乗り。強引に乗りこめば転覆は免れないだろう。つまり刑事が何度か往復して彼らを無事に運ばなければならない」
「ふむ…」

「だが、刑事が彼らの元を離れれば、手錠をかけられているとはいえ犯人は女を殺して逃走するだろうし、負傷しているとはいえ男は、手錠をかけられている犯人に復讐をするだろう。彼の目は殺意に燃えている」
「ドロドロだな…」

「さぁどういう手順で往復すれば、彼らを無事対岸に届けられるだろうか」
「うわあ…ヘビーだなぁ…」
「まぁ考えなさい」
「うーむ…」

「まず、ジャックを…」
「ジャック誰?!」
「カップルの男」
「なに勝手に名前つけちゃってんの?!」

「ダメかー」
「もうこれ以上わかりにくくしないでくれ」

「まず刑事が銃を抜いて、全員射殺。その後自分のこめかみに銃をあてて…」
「そういう話じゃねえよ!」

「えー、じゃあ。刑事が銃を抜いて犯人を射殺。2人に「は、はやく逃げるんだ!!」とかいうの」
「刑事はなにがなんでも銃を抜かなきゃいけないのかよ!」

「いやほら、アメリカだしさ」
「勝手に国まで設定?!」

「それに実は刑事も復讐鬼なのよ」
「勝手に設定すんなよ!!」

「じゃあもう4人で仲良く暮らせよ!!」
「だからそういう話じゃないの!!」

「大体、ドロドロし過ぎててよくわかんなくなったよ!」
「ええー?!お前がわかりにくいっつったから変えたんじゃないかよ!」

「元の問題に合わせるとどうなるのよ?!」
「えーと、刑事が農夫で、犯人がニワトリで、男がキツネで、女が小麦」

「なら最初っからそういえよ!!」
「いい加減にしろーーーーー!!!!」



皆さんは正解がわかりましたか?
(初歩の問題なんで、そんなに難しくないですよん)



[ 2007年03月09日-20:42 ]  



ボートで!ゆっくり!渡河さくせーん!


タイトルは「ビシバシチャンプ」風に読んで下さい。

というわけで、これまでのあらすじです。


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――今でも思い出す。あの19××年5月第一週末の2日間。あれは僕らの人生で最悪の出来事だった――。

久しぶりの休暇を取った僕とエイミーはA州郊外にドライブに出かけた。バスケットにランチを詰め込んで、自然公園をハイキングするつもりだったんだ。だが、野生のリスにパンクズをやったり、木々の空気を吸い込んだりできた時間はあまりにも短かった。

山の天気は不安定だ。突然の雷雨に僕らが駆け込んだ廃屋――元は自然保護官が使っていたのであろうログハウス――には先客がいた。穏やかではない表情の男、いや“獣”が。

僕らが廃屋に入った瞬間から彼は待ち伏せていたのだろう。出会い頭に僕はショットガンの台尻で殴られ倒れてしまった。エイミーの悲鳴。そして僕の頭に突きつけられたショットガンの銃口。傍らには札束のはみ出したボストンバッグがいくつも転がっている。

男はゲイルと名乗った。
「まだ弾は残ってる。殺すのは簡単だが、ヘマやって車を壊しちまってな。お前らの乗ってきた車をいただくことにする。雨が上がったら出発だ。それまでは生かしといてやるよ」

そして思い出したように付け加えた。

「ここにくるまでに3人殺してきた。2人は銀行で騒いだバカ共で、1人は相棒だったヤツさ。分け前でゴネやがったからな。いや4人かな、来るついでに間抜けなポリの車に1発ぶち込んでやったからな。ここまで来る途中でラジオで俺の事を云ってなかったかい?指名手配逃亡中の強盗殺人犯ってのは俺のことだよ」

こうして僕らは彼の云うところの「人質」にされてしまった。

何時間が経っただろう。雷雨は未だ去ることがないようだった。窓の外から見える空は嵐のもたらす暗さだけではなく夜に染めはじめられていた。暖炉の薪が切れはじめたところで、ゲイルはエイミーに裏の納屋から燃料を探して持ってくるように命じた。外はまだ豪雨だったが銃で脅されては従う他ない。

エイミーは玄関から出ると、雨の中を納屋まで走った。ゲイルは窓からその様子を監視していた。エイミーはずぶぬれになって帰ってきた。そんな彼女の姿を見たゲイルは、ワイヤーで後ろ手に縛りあげられ、床に転がされている僕に脂ぎった笑みを浮かべながら云った。

「随分セクシーになっちまったじゃねえか。サービスのつもりかい?」

――そしてヤツは銃を持ったまま彼女に近づき……これ以上あの事について話すのは困難だ。エイミーに逃げろと叫び続けた僕は、あの獣に散々蹴りつけられて意識を失った。僕が意識を取り戻したのは、エイミーの泣き叫ぶような僕を呼ぶ声と、争う物音と2発の銃声だった。

歪む視界の向こうにエイミーの泣き顔をみる。そしてその向こうに揉み合う見知らぬ人影が暖炉の炎に揺らされていた。ようやく視界が戻ると、人影は大声で逮捕時の権利を読み上げているようだった。

「刑事さんよ!私たち助かったのよ!!」

エイミーは泣きながら僕にそういった。見れば口の周りに血が付いている。殴られたのだろうか。そして彼女のシャツは破かれ、胸がはだけられていた。僕は混乱し、それから全てを察した。どうやってこの場を突き止めたのか、刑事がゲイルを逮捕したこと。それによって僕らは助かったということ。そしてエイミーはおそらくゲイルに――「エイミー、すまない」僕はそうとしか云えず、エイミーは泣きながら、ただかぶりを振るだけだった。

獣を捕らえ、僕らを救ってくれた刑事はニックと名乗った。ゲイルはあらん限りの罵詈雑言を繰り返して僕らやニックを罵っていたが、今や立場は逆転していた。ワイヤーを解かれた僕、そして後ろ手に手錠をかけられ転がされているゲイル。

もし法が許すならば、僕はゲイルをその場で八つ裂きにしただろう。ヤツがエイミーにしたであろうことを考えれば、ただ殺すだけでは物足りないくらいだ。だが、今それを実行することはできない。ニックがいるし、そしてエイミーもいるからだ。だが、(チャンスさえあれば……)僕の胸にはその思いがどす黒く固まっていた。

ニックは無線で応援を呼ぼうとしているようだったが、どうやら揉み合ったときに故障してしまったようだ。

「このままこうしているわけにもいかない。駐車場まで降りれば、私の車に無線があるんだ。そこで応援を呼ぼう。立てるかいジャック。エイミーも酷く弱っている。一刻も早く病院に連れて行くべきだ。君自身もね。ジャック、君が彼女を支えてやってくれ。いけるな?」

僕はエイミーの手を借りながら全身を蝕む痛みを叩き伏せてなんとか立ち上がると、僕らは夜明けと同時に忌まわしい廃屋を後にして出発した。

自然公園内には濃い霧が立ちこめている。だが、その途中の川の前に来て僕らは愕然とした。今朝来たときに渡った吊り橋がなくなっているのだ。そして川の水は大きく増水している。

「なんてことだ……」

うめくように呟く僕にゲイルは云いはなった。

「あんたらがこの自然公園のどっかで楽しんでいるときだろうな。俺が吊り橋を落としたのさ。ポリ公が追ってこねえようにな」

そして下品な笑い声をたてる。しかし、ならばニックはどうやってあの廃屋まで来たのだろうか。

「もう少し上流まで行くと、川幅が広くなって流れが緩くなっているところがあってね。そこにボートが繋いであったから、それで渡ったってわけさ。しかし……」

云い澱むニック。ニックの示す方向に歩いていくと、そこには確かに艀に縛り付けられた小型のボートがあった。だが「緩い」といっていた流れは確かに橋のあったところに比べれば川幅が広い分緩くはあったが、増水の影響で決して楽な流れではなかった。エイミー1人では渡れないだろう。

かといって僕もゲイルに殴られたときに骨にひびでも入ったのか、痛みで漕ぎきる自信はない。おまけに霧で対岸が見えないような状況だ。ボートは2人乗りが限度だ。

「よし、私が何度か往復して君らを運ぼう」

ニックの提案に、僕はまずエイミーを連れて渡ってくれるよう頼んだ。ゲイルを見張る役目を買って出れば、ニックは彼の銃かゲイルの持ち込んだ散弾銃を僕に渡すはずだ。ならばニック達が対岸に行った間に、ヤツに復讐を遂げることができる。「逃げようとして襲いかかられたんだ。僕を体当たりで川に落とそうとして……揉み合う内に銃が暴発して……」言い訳のセリフを考える。そう、銃さえ手に入れれば――。

だがニックは僕の提案を受け入れなかった。

「いや、それはダメだ。ジャック、今の君は復讐心に捕らわれすぎている。こいつは人でなしの獣だが、逮捕され司法の手に委ねなければならない。それが私の役目であり、合衆国の法だ。いくら犯罪者とはいえ、みすみす殺させるわけにはいかないよ」

だが、かといって僕とニックが先に行くことはできない。エイミーは脅えきっているし弱っている。喩え手錠をされていたとしても、ゲイルはエイミーを川に突き落として銃を奪うくらいのことはしてのけるかもしれない。まかり間違えばエイミーを人質に取られる可能性もある……。

手錠をされた状態では、ゲイル一人では逃亡出来ないだろうが、エイミーを楯にされてしまうようなことがあったら状況は振り出しに戻ってしまう。銃を持たせたとしても彼女とゲイルを残すのは危険だ。ニックは考え込んでいるようだった――。


----------


「というわけで解答編ー!」
「いえーい!」

「随分と沢山のメールをいただきましたが、今回はほとんどの皆さんがボケずにしっかりと解答してくださいましたね」
「もう少しボケがくると思ったんだけどね」

「論理的に考えると全員が乗れる船を探すのがベストですっていう解答くらいかな」
「でも論理的でも大したボケでもないね」

「失礼なこと云うなよ!!」
「だってそんなボートないんだもん。仕方ねーじゃん」

「いや正論だけどさー。じゃあ君の解答はどうなんだよ」
「あー、冷静になって考えてみたんだよ」

「ふむふむ?」
「その結果が上の『これまでのあらすじ』なんだけどね」

「そっち冷静に考えたの?!」
「いやー勢い余って3000字近く書いちゃったよ」

「バカ過ぎる上に元の問題まるで関係なくなっちゃったよ!」
「えーだってキツネ・ニワトリ・小麦じゃわかりにくいっつったらキミが言い換えてくれたんじゃん」

「いやそーだけどさ、なんでここまで肉付けしてんだよ。挙げ句解答には辿り着いてないし」
「やー、力尽きたね!はっきりいって!!」

「あー、なんかこう、今すっごいバカな子を相手に話してる気がする」
「そんなに誉めるなよ」

「つっこまないかんな。んじゃ解答編いくぞ」
「うむ。最初に運ぶのはどれだ?キツネか?ニワトリか?小麦か?」

「せっかくだからお前の設定の方使うよ…」
「う、うん…わかったからそんな風に屠殺所に運ばれる家畜を見るような目で見ないでくれ…悪かったから…」

「まず最初に、えーとニック刑事?が運ぶのは、犯人のゲイルだね」
「なんで?」

「まぁ武器を持っていなければ一人じゃ逃走出来ないしな。それに残しておくのがジャックとゲイルもダメ、エイミーとゲイルもダメならば消去法では一つだろ」
「うん、まぁそうか」

「そういうわけで、ゲイルとボートに乗って対岸に行って、ゲイルをボートから降ろして」
「そこで射殺か」
「しねーよ!混ぜっ返すな!このブタ!!」
「…うわあ…悪かったよ…」

「続けるぞ。そんでニックだけで元の岸に戻る。まぁ次のエイミーとニックはどっち連れて行っても構わんよ」
「え?なんでだ?向こう岸に渡しちゃったら結局同じじゃないのか?」

「ところがそうじゃないんだ。ここでは仮にエイミーを連れて行ったとするぞ。対岸についたらエイミーを降ろして、対岸側にいるゲイルを再びボートに乗せるわけだ」
「…?…確かにそうすれば対岸側でトラブルは起こらないけど…」

「まぁまぁ。そんで元の岸に戻ってゲイルを降ろし、ジャックを乗せて、再び対岸へ渡るんだ」
「すると対岸側はジャックとエイミーのカップルになるね」

「そう、その通り。そんでニック刑事が一人で元の岸に戻って、ゲイルを乗っければ任務完了ってわけだ」
「ははあーなるほどなあ…よくわかったよ」

「解説されればそんなに難しくもないだろ?」
「うんうん。いやーなるほどねえ…完全犯罪だな!」

「そうそう、完全犯ざ…え?」
「そういう組み合わせで往復してジャックとエイミーを先に対岸に運んでおけば、最後ニック刑事はゲイルと2人きりだもんなあ。しかも霧も深くて対岸は見えない。流れも若干荒れてるわけだ。さすがに銃で撃ったら銃声で怪しまれるだろうけど、なんのこたあないゲイルを途中で川に放り込んじまえばいいんだもんなあ。後ろ手に手錠かけられてちゃ、さすがの狂獣ゲイルもおだぶつだわ。『合衆国法は確かに犯罪者にも権利を認めている。だが獣の権利を守る法律はないんでな』とかいいながらジャボーンってね。挙げ句オールで頭を一撃二撃ですよ。流れが速いからあっという間に流されるだろうし、途中で色々ぶつかるだろうから傷痕の区別もつかないだろうしね。いやーやるなあニック刑事!ハリウッドもびっくりだな!!」

「……えーっと……」
「いやはや、おかげで全ての謎がとけたよ!ナイス解答!サンキュー解答!!」

「あのー…」
「じゃーまた面白い問題あったら教えてくれなー!!」

「……」


----------


〜エピローグ〜

「こちらC市警のニック刑事だ。A州立自然公園内で指名手配中の強盗殺人犯ゲイル・カールトンを発見。逮捕した。同公園内にて人質にされていたハイカーのカップル2名を救出。だが被害者および犯人を護送中、ゲイル・カールトンはボートから飛び降りて逃亡した。救助を試みたが川は昨日の嵐で増水しており、流れは速く救助はできず。追跡も困難と判断。K川下流に非常線を張り、犯人の確保を要請したい。また自然公園に至急救急車と応援を要請したい。繰り返す。K川下流に非常線を張り、犯人の発見確保を要請。自然公園に至急救急車を要請したい。被害者は負傷しており体力も消耗している。頼んだぞ」

ニックはそう云うと無線のマイクを車内に戻し、タバコに火を付けた。エイミーと僕はニックに渡された毛布にくるまって、へたり込んだまま彼を見上げる。

「そういうことだよ。残念だがね。増水で川の流れは思いの外速い。それにあの先、吊り橋から向こうは急流になっていてね。滝もあるし流れが複雑になっているんだ。今日みたいに増水したときは、何年かに一度転落したハイカーが、死体であがることもある。水が引いて流れが緩やかになった後でね」

そして紫煙を霧に混ぜるかのように吐き出す。そしてニックは続けた。

「ジャック、キミはコンタクトレンズ使用者かい?」

突然の質問に、なんのことかわからなかったが僕は応えた。

「いいや、両眼共に2.0だ」
「そりゃあいい。エイミー、キミは?」
「私は……コンタクトレンズなんだけど、あいつに襲われたときにコンタクトがはずれちゃって……」
「そりゃあなおさらいい。被害にあったコンタクトレンズは今度私がプレゼントしよう。ひどい週末から生還できたお祝いにね」

そういって薄く笑うと、ニックは僕に向き直って続けた。僕はこの刑事が何をいっているのかわからなかった。エイミーは毛布に深くくるまったまま俯いてしまっている。確かに助かりはしたが「お祝い」だって?あまりにも無神経な発言じゃないだろうか。

抗議しようか迷っていると、そんな僕の気持ちを察したかのようにニックは言葉を続けた。

「じゃあジャック。視力のいい君には霧の向こうでの出来事が見えたはずだね」

そして僕はこの時ニックが言外に云おうとしていた“全て”を理解し、胸に居残っていたままの、あのどす黒い塊と共に次の言葉を吐き出した。

「……ああ、見えていたよ。川の中央あたりでゲイルは突然立ち上がり、川に飛び込んだ。逃げ出すためにね。あんたは彼を助けようと片方のオールでボートを動かしながら、ゲイルにもう一方のオールを差し出したようだったが、届かなかったのかヤツが拒否して逃げたのか……ゲイル・カールトンは流れに飲まれるように、ボートから離れていった。僕が見たものといえば、こんなもんだ。喩え宣誓したとしても、僕が見たものはかわることはないさ」

「OK。君に素晴らしい視力を与えてくれたご両親に感謝しないといけないな。さて、応援が来るまで、もう少し時間がある。ジャック。エイミーをしっかり支えて上げてくれ」


――こうして19××年5月第一週末2日間は幕を閉じた。救急車で運ばれた先の病院で、僕とエイミーは別々の個室にいれられた。

検査の結果、僕は肋骨を2本と右腕を骨折していることがわかり、短い週末休暇は2週間の入院へと変わった。エイミーも打撲があったが幸いにも大きな怪我はしておらず“後遺症”なども残らないとのことだった。

2週間の間に僕らは何度か刑事達の訪問を受けたが、話せることも話すことも何ら変わらなかった。エイミーはあの事件について触れられることさえ嫌がったし、警察側も衰弱した被害者に必要以上に踏み込むことはなかったようだ。

退院の当日、ニック刑事が見舞いにやってきて、エイミーに約束のコンタクトレンズと花束を渡し、僕には新聞を見せた。そこには以前逮捕されたときのものか、ヤツの写真がでかでかと掲載され『水死体で発見』と見出しされていた。日付は僕たちが入院した3日後のものだった。

「凶悪犯とはいえ残念な事故だった。そして残念な事件だったよ」
「それでも生きて帰れましたし。あなたのおかげですよ。ニック刑事」

「そういってもらえると、こちらも気が楽になるよ。貴重な週末休暇がこんなことになってしまって……A州立自然公園はもうこりごりかね」
「ははは、あなたの郷土愛に対しては申し訳ないけど……そうですね」

「うん。やっぱりそうか……実は私の父は、あそこの監視員として働いていたことがあってね。子どもの頃から私も随分あそこでキャンプをしたりハイキングを楽しんだりしたものなんだ」
「そうだったんですか……」

「ああ、君達を救助した山小屋があったろう。あそこから先の森の奥は実にいいんだ。樹齢千年を越えるのも沢山ある。それに洞窟や珍しい野草もね。シーズンによってはシカが訪れる泉もあるんだ。もちろん人間だって飲める水だ。ははは、だから私はゲイルが自然公園に逃げ込んだ足取りを追う中で、ヤツが隠れそうなところといったら、あの山小屋かその先の洞窟だろうと思ったんだ」
「なるほど……」

「いつか君達をまた案内できればと思ったんだがね。近道をすればそう遠くもないんだ。でも、あんなことがあった場所だ。やっぱり二度と近寄りたくはないだろうね」
「お気持ちだけで……僕も……それにエイミーもね」

「うん、そうだろうな。わかった。それがいいだろう。」
「でもあなたには本当に感謝しています。本当にありがとうニック刑事」

「ああ。おっと、右手は大事にしたほうがいいな。ここは左手で」

そういうと僕らは左手で握手を交わし、エイミーはニックとハグすると彼は去っていった。彼の車を見送ると、僕らも病院を出た。

「さて、じゃあ懐かしの我が家に帰ろうか。仕事も待っているしね。とんだ週末休暇になってしまったよ」
「そうね……でもこうして助かったんだから、感謝しなくちゃいけないわね」

「車はいずれ引き取りにくるとして……とりあえずはタクシーを呼んで駅までかな?」
「あらジャック。そんな必要はないわ。車も適当に処分してもらえばいいし、タクシーでそのまま帰りましょう」

「おいおい、エイミー。タクシーで帰れないこともないけど、結構かかるんだぜ?それに高級車じゃあないけれど、あれでも結構な値段がしたんだ。そう簡単に処分なんてできないよ」
「そうねえ。でもこれを見ても同じ事が云えるかしら?」

そういうとエイミーは先ほどニックが持ってきた新聞の別のページを広げて、ある記事を見せた。見出しは『強奪された現金は川の中に? K川下流で宝探しブーム』とある。

「まだ見つかってないらしいわ。でも、あれから2週間も経つんだから、もう見つからないかもね」

云いながらエイミーは、ニックに渡された花束からメッセージカード入りらしい封筒を取り出し、器用に封を開けるとそこから取り出した紙片を確認し、そして僕に見せた。

「タクシーで帰って、車を処分して……それから骨がちゃんとくっついたら、夏の長いバカンスを楽しんでも十分にお釣りがくるんじゃないかしら」

僕は一瞬で網膜に焼き付いた紙片のゼロの数を、もう一度記憶の中で確認しながら目を丸くした。そしてエイミーを抱きしめながら、その後に彼女が耳元で囁いた

「これでも40%なのよ」

という言葉は聞き流すことにして、エイミーの肩越しに見えたタクシーに腕を挙げた――。


<了>



我ながら「なにやってるんだろう」
って思うときがあります。

(ボケから派生させて何千文字書いてんだよ…)



[ 2007年03月15日-09:47 ]  



或る日の衝撃。


6割半っくらいまで回復した自信が出てきました。

なんつーんですかねえ。なかなかマイボディに宿った病魔というヤツはしぶとくって、撃退した撃退したと思ってもまたぶり返しやがるんですよ。なんというか、まるでゾンビ関係の方みたいです。ジョージ・A・ロメロもびっくり、みたいな。やっぱ頭か、頭を撃ち抜かないとダメなんですかね。

まぁそれでも一歩進んで二歩下がり、追い詰められたロープ際で反動を利用して1.5歩踏み込むことでリードブロージャブ的なストレートに体重を乗せてカウンターを喰らわすというような、90年代チャクリキジムの様な戦法でじわりじわりと回復の振り幅を伸ばしてここまで辿り着いたっていう感じです。


ちなみに今回の諸症状はというと

・強烈な鼻水
・くしゃみの連続
・泣きが入りそうになるほどの頭痛
・鼻の奥の痛み
・全身の関節の激痛
・全身の筋肉の痛み
・全身の悪寒
・数年ぶりに悪夢を見て魘されるほどの発熱
・鼻水が止まったと思ったら大量の鼻汁にジョブチェンジ
・唾液の嚥下さえもためらうほどの喉の痛み
・痰が喉にからみ咳と呼吸困難


ってな具合でした。初期症状の内は花粉症が悪化したのかとか思っていたりもしたんですが、普通にインフルだったんじゃねーかというセルフツッコミでしたね。まぁこれも季節モノってことなんでしょう。


しかしながら現在少々気になる現象が起きているんですよね。何度もこの単語を並べてしまい、お食事中の方や汚系単語に嫌悪感を催す方には大変申し訳ないのですが、鼻水から鼻汁へジョブチェンジしたのは割と速かったんですが、これがまるで止まらんのです。

俗に「鼻汁に色が付いてきたら回復の兆し」なんていうことをいったりもするわけなんですが、その状態になってからえらい長いんですよね。さらにいうと、痰のような色味になってきたりすると、もうそれを出し切ってしまえばOK的なレベルまで回復した感じにいつもならなるんですが、これがなんか今回は違うんですよ。

なんというか、ばっちぃ話で本当に申し訳ないんですが、鼻汁の色がいつもとまるで違うんですよね。一時期は鼻のかみすぎで毛細血管が破裂したり粘膜が傷ついたりしたのか、白っぽい中に思い切り血が混ざってマーブル状になったりしていたんですよ。

といってもこれはそんなに珍しくはないんです。元来鼻の粘膜があんまり強くないこともあってが、よく鼻血がでるんですよ。前にも書いたことがあるんですが、因数分解の問題をを一生懸命解いている最中に鼻血を出したこともあるくらいですからね。多分今の話の流れとはあんまり関係ないと思いますけど。


んが、今回はそのマーブル状態を越えて、完全に混ざり合ったピンク色がかった茶色みたいになっちゃったりしたんです。これは驚愕ですよ。何が起こったのかわかりませんでしたからね。きったねー話でホントにホントに申し訳ないんですが、血の混ざった膿みたいだったんですよ。

ただね、皮膚ならば炎症を起こたり傷がついたところに雑菌が入る→白血球頑張る→そうなってもおかしくないというパターンはわかるんですが、見えない奥じゃないですか。しかも痛みを感じるのは鼻と喉の接合点エリアなんで、まるで確認できないわけですよ。

さすがに不安になって、メッセンジャーに上がっていた友人に「あ、あのう…突然ですが、鼻汁が今その…ピンクなんですけども…これってアレですかねえ…?」とかわけのわからない話しかけ方をしちゃったりするくらいでした。まぁ「大丈夫じゃね?いざとなったらレッツ耳鼻科ってことで」という普通のリアクションしかいただけなかったんですが。


が、自体はそれだけですまなかったんですよ。さらにそれを越えたここ2日くらいは、オレンジの様な黄色のような茶色のような色のが出てきちゃいまして。「色が変わったら回復の兆し」どころか「おいおいこれどうなっちゃってんだよ?!」と半ばパニックに。

ですが「うーむひょっとしたら、患部が鼻と喉の合流部分だから、痰と鼻汁の境目がなくなって、これは果てしなく痰よりのアレなんじゃないだろうか」とか思い直してみたりもしたんです。さすがに31歳ですからね、もうそこなへんはオトナの判断ってヤツですよ。

ところが、鼻をかむときって左右交互にやるじゃないですか。で、僕は最初に左手で左穴を塞いで右穴から先にやるという、いわゆる「左ジャブ(塞ぎ)・右ストレート(噴出)」のオーソドックススタイルなんですよね。ちなみに右手塞ぎ左穴噴出はサウスポースタイルです。


というわけで、右穴からどぱーんと出したところ、そんな不可思議な物体が飛び出してきてしまったわけなんですが、左穴から出した側はというと、無色透明の至ってスタンダードな鼻汁だったんですよ。これはもうこれまで以上ののパニックです。

だって痰ならば喉がイカれているわけですから、それが鼻から出るならば両穴から同じモノが出て然るべきじゃないですか。貫通した喉の方は1つに合流しているわけなんですから。なのに右穴からだけですよ。これってもう明らかに右穴の未確認ブラインドゾーンに何らかの異変が起きているワケじゃないですか。


これは怖いです。長いこと人間やってますし、風邪の経験も少なくはない、むしろ多い方だとは思うんですが、初めての経験です。さすがにビビりながら調べてみたら、やっぱり「耳鼻科医に診せた方がいい」という症状の中に「片方からだけ出る」というのがあったりして、なんともかんともうへえって感じなんですよね。

まぁ今の僕は治りかけの真っ最中ですんで、どんな症状がでてもおかしくないというようなところもあると思うんで、あんまり神経質になることもないかもしれませんが、色々調べてみればみるほどに「慢性」とかのほうも思い当たるフシがあったりもするので、そう遠くないうちに耳鼻科の診察を受けてみようかなと思っています。


でも考えてみたら僕は耳鼻咽喉科で喉の方はよくお世話になったりしたんですが、幸いにも耳と鼻に異常があったことって今までないんで、耳鼻科に通ったことってないんですよね。鼻洗浄くらいはしてもらったことがある程度なんですが。

なんというか鼻の異常も初めてならば、耳鼻科で鼻を診てもらうのも初めて。未体験ゾーン尽くしですよ。しかも医者運があまりよくない、これまでの人生を振り返ると若干不安にもなってしまうんですけどね。

だって、こないだインフルエンザ検査で鼻の奥に長い綿棒的なモノを入れられただけで、物凄い激痛と恐怖を味わったというのに、治療方法を見たら「副鼻腔洗浄」だとか「穿刺」とか書いてあるんですよ。怖いっつーの。なにしはりますのんっつーの。まぁでも健康生活には変えられないので、勇気を出して飛び込みますけどね。



…は、鼻フックとかされるのかなぁ…。
(し、しげきてきだねえ)




[ 2007年03月17日-09:06 ]  



スウェーデン!


ちょい悪フジの連載にも書いたんですが、最近CS放送局のとある海外ドキュメンタリー番組にハマっているんですよね。

その番組というのはディスカバリーチャンネル『アンソニー世界を喰らう』シリーズなんですが、これがホントに滅法面白いんです。アンソニー・ボーデインというNY在住のベテランシェフにして小説家が世界中を回って色々な「食」にトライするという、いわゆる旅グルメ番組なんですよね。

まぁそれだけならどうということもない番組なんですが、なんというかいかにもニューヨーカー的な若干下品で皮肉屋なアンソニーがナレーションをしていて、オープニングは映画のパロディなんかも多く、有名レストランだなんだのタイアップではなく、とにかくそこにある普通の食べ物をもりもり食わされるわけで、なんというか日本のグルメ番組のような臭いがしないんですよね。

そしてゲテ喰いとかも普通にあったりするんですが、それもまた仕込み云々ではなく、ありのままのその国で喰えるものを食べるというだけで、あんまりバラエティ臭もしないんですよね。オーバーなリアクションもなく、そのあたりも好感がもてるってところなんでしょうか。


まぁそういう「地」の食べ物がメインなので、それこそ日本では専門店にいかなければ食べられないか、場合によってはそれでも食べられないものが多かったりするんです。例えばシチリア島では臓物や脂身・クズ肉を混ぜ合わせた煮込み料理などがあったんですが、これなどは日本中に溢れているイタリア料理の店でもまず出てこないものでしょう。なにしろグーグル先生にお伺いしても一件もヒットしませんでしたから(笑)。

他にもアラスカのイヌイットの方々のアザラシ狩りに同行し、その後その狩人一家の家でアザラシの生食に同席するというシーンもありました。これはある意味ショッキングな映像ではありますが、野菜類を育てられない極寒の地で暮らすイヌイットにとっては貴重なビタミン類の補給方法です。

そしてこの番組ではなんの演出もなく、シーンが始まる前にアンソニーが少しだけ注意のナレーションをいれて、後はこれまでの食事風景と変わらない、なんというかスナップショット的な映像で流されました。こういうところが好きなんですよね。NHKスペシャルの「人間は何を食べてきたか」みたいな側面もあったりするんです。そして無論これも日本国内で食べられるものであるわけもありません。


そんな「地」でしか食べられない食べ物のうち、先週土曜日の連載で紹介したのがスウェーデンのホットドッグ的ファストフードの「トゥンブルレ<tunnbrodsrulle>」だったんですが、このトゥンブルレにも使われているスウェーデンの薄いパンなんですが、なんか日本国内にも売ってるとか売ってないとか、そんな話をちょいと小耳に挟んだんですよ。ちなみにトゥンブルレ自体はコチラで現物を見られます。

で、このパンの名前は「Tunnbrod」というらしいんですが、検索してみると作り方のレシピなんかは出てくるんですよね。番組ではtunnbrodsrulleでトゥンブルレと発音も字幕もでていましたんで、これは「トゥンブル」とかそんな感じなのかと思っていたら、どういうわけか「シンブレッド」って読むらしいんですよね。まぁ「o」は実際ウムラウトがついているのでoe発音なんでしょう。

そしてそれで検索したら出てきましたね。ありましたありました。ここのところなにかと話題の大型のスウェーデン家具店舗IKEAに売っているようです。しかし船橋と江北にあるとはいえども、いずれも我が町さいたまからは遙か彼方。それだけのためにいくのはちょっとどうかなーとか考えてしまうのもまた確かです。


ですが体調がよくなるにつれ、トゥンブルレへの欲求は日に日に高くなる一方。なまじっかトゥンブルレに使う他の食材がありふれたものだけに、このパンだけが強烈なネックになってしまっている感じです(笑)。

連載記事の方では「こんな感じでやれば作れるんじゃねーの?」的な感じで小麦粉を使った妄想レシピを考えてみましたが、レシピを見る限り本物はグラハム粉やらライ麦粉を使うらしいですね。やっぱりそうすると風味が違ってくるんだろうなあ。

うーむ、せっかくここまで調べたんだから、追い込んでみたいよなあ。でもグラハム粉ってなんでしょうね。グラハム・ハンコック(「神々の指紋」作者のおっさん)なら知ってるんですけど(笑)。

そんな感じで、かなり悩んでいますが多分6割くらいの可能性でIKEAに出向くことになると思います(笑)。なんか他にも見るべきモノがあれば絶対行くんですけど、インテリアとか興味ないからなぁ…。



そんなわけでIKEA経験者の皆さんからの
僕の背中を押してくれるような情報を
心よりお待ちしております!

(考えてみたらスウェーデンってミートボールとチーズとABBAしかしらない…)



[ 2007年03月19日-17:31 ]  



ウォータージェットォーッ!!


僕は時々「挑戦者」になるんです。や、別にする必要もないんですけどね。

僕が生まれて少年時代を過ごした昭和の頃から比べて、平成そして21世紀における我が国のトイレ事情というものは随分と様変わりしたと思います。第一の波は水洗トイレの普及、そして第二の波は洋式便器へのシフト、そして今、第三の波としてファミレスやその他施設などの「公共トイレ」へのウォシュレット(シャワートイレ)の普及という革命がじわじわと起きているようです。

特にファミレスのトイレのウォシュレット普及率は相当なものです。少なくとも未だに和式便器を据え付けてあるという店には、ここ数年出遭ったことがありません。個人経営の小さいラーメン屋さんなんかだと、まだ和式だったりもしますけどね。

中にはそういう公衆トイレにあるウォシュレットは「どんな人が使ったかわからない」という潔癖性的思考から、一切使わないという方もいらっしゃるようですが、僕は逆にその「どんな人が使ったかわからない」という側面に対して、挑戦魂を著しく刺激されてしまうのです。


時に皆さんはウォシュレットの噴射強度をどの程度のレベルに設定しているでしょうか。しょぼしょぼと濡らす程度の【弱】?洗浄に必要な最適量とされる【中】?それとも男らしく逆流さえも怖れぬ【強】?

僕は迷う素振りさえみせず、いつでも強で使っています。ウォシュレットを初体験してから、かれこれ20年になるでしょうか。初体験の衝撃から、ウォシュレットに対して恐怖感を抱いてしまい、数年間徹底して避けていた時期もありましたので、常用するようになってからは15年くらいといったところでしょう。そこそこのキャリアだと思います。

そして、若干腹がいつでも下し気味だったりもするので、便意が来て、そこに便器さえあれば問題なく用を足すというワイルド寄りなライフスタイルから、多くの場所・多くのトイレと身体をかわしてきたつもりです。別に誇れることでもなんでもありませんが。

そんな僕の実体験から云うとですね、もちろん便座自体の性能差や、そこのトイレの設定や元栓の開き量などにもよるのでしょうが、ウォシュレットの噴射強度って一定じゃないんですよね。だからもちろん【強】の噴射強度も違うわけなんですよ。


そんなんですから、トイレで個室に入って便器がウォシュレット付きだとわかると、思わず「ほほう…貴様の力量…見せてもらおうか!」と、ふつふつと自分の中の挑戦魂が疼いてしまうんですよね。そして容赦なく強度を【強】に設定して、予想以上の水量に驚いたり、「国際警察機構のエキスパートとはその程度が戴宗!」などと衝撃のアルベルト風に勝ち誇ったりしてしまうわけです。すみません、バカで。

加えて、最近ではもう一段階上の挑戦魂が発動していまして、とりあえず用を足したら水量設定は変えないで試してみるんですよね。つまりその設定は前に使った人が噴射した水量になるわけじゃないですか、その水量をそのまま試すことで、前に使った人の*強度とかそこから僕が勝手に認定する「漢度」がはかれるって寸法です。すみません、バカで。

ぽちっとスイッチを押して出てきた水量が「ちょろちょろー」程度だと、もう鼻で笑ってしまいたくなるような気分に駆られますし、中程度なら「所詮その程度か!」と思います。そして「じょばじょばじょば!!」という強だと「ぬぬ!やるなお主!名を名乗れ!!」とか思ったりするわけです。すみません、バカで。


ですが、中には強者の便器もあるもので、そのままスイッチをいれたら一般的な【中強】クラスの噴射が「じょばじょばじょば」と来たので「ぬぬう、やりおるわ!だが、まだまだあ!!」と、手元に触れた水量調節つまみを捻ったら、思いの外まだ回ししろがあって、思いっきりMAXまで捻ったもんですから、これまで体験したことのない様な強烈な噴射が僕の*に「ずがんッ!」と直撃しやがりましてね。思わず声をあげそうになりましたからね。ほんと世界は広いというか油断がならないもんです。すみません、バカで。

ちなみにこれまでの対戦結果から統計的に考察しますと、基本的には【中強】程度の水量で使う方が一番多いようですね。次に【全開一歩手前の強】ってところでしょうか。不思議なことに、これまで【弱】はともかく【最弱】に設定してある便座には遭遇したことがありません。

それに紳士的に考えれば、次の使用者が【強】になっていて目ん玉飛び出るようなことになったりしないように、使い終わったら【最弱】にしておくというのも、エチケットの一つとしてはありだと思うんですよね。でもそういうのに遭遇したことがホントにないんですよ。

そう考えると、やはり男にウォシュレットというのは、*の強度を試し合い、競い合う戦場なのかもしれません。文字通り「温水戦場便座」なんちて。すみません、バカで。


ところで、男性の場合はウォシュレットは*専用なんですが、女性の場合はビデとしてデリケートゾーンにも使われるわけじゃないですか。そもそもウォシュレットだってもとはビデから派生したわけですからね。つまり使用頻度としては男性より多いわけですよ。

そうすると男性よりウォシュレットは身近なわけですから、前述したような『使用後には【最弱】に設定』というような、男の世界にはないエチケットも存在するんじゃあないかと気になるわけですよ。どうなんでしょう女性読者の皆さん。皆さんはウォシュレットの強度をどのあたりに設定するのが普通なんでしょうか。そしてやっぱり前の人が使った噴射強度に関心を寄せたりするんでしょうか。



真剣に考えはじめてしまいましたので
よろしかったら是非教えて下さい。

(すみません、バカで)



[ 2007年03月20日-17:05 ]  



BBって色々略称があるよね。


連続でシモ関係の話で恐縮なんですが。

来月5日発売の『Mr.Bike』の連載エッセイに書いたんですが、先日バイクで近所を走っているときに検問にあったんですよね。その時僕は非常にこう、その、便意、しかも大に襲われながら家路を急いでいる最中だったんですよ。

にも関わらず検問で足止め。まぁその詳しい話は来月5日全国主要コンビニエンスストアに並ぶであろう掲載誌『Mr.Bike』の記事に譲るとして、若干ヒドイ目に遭いながら、危機的状況を回避してきたわけなんですよ。

で、その記事を書きながら思ったんですけど、皆さんはミスタービッグベンをどんなタイミングで出していますか?便意を感じたら即って感じでしょうか?それとも少し待ってって感じでしょうか?


そもそもビッグベニーって、どんなに短くても2・3分は個室に入ることになるわけですから、タイミング的にも難しいと思うんですよね。それに人間の腸(小腸+大腸)っていうのは平均9.2mという結構長いもんでして、大便って出さなければ出さないで結構詰めていられるモノらしいんですよね。

それに肛門括約筋の収縮によるビッグベンコントロール力は、二足歩行をしている人体の発達の影響もあって、リトルジョーの外尿道括約筋の収縮によるリトルジョーコントロール力より強いらしいんですよ。もちろん排泄欲求の頻度や膀胱と腸の容量比にも関係があるわけなんですけれども。

まぁそれはともかくとして、便意自体は本能ですが、ビッグベンの排出行為ってのは意外と長いスパンで、その人の判断に任されているんじゃないかと思うんですよ。ごめんなさいね、なんでこんな話に深々と斬り込んでるのか自分でもよくわからないんですよ(笑)。


でも実際、以前会社の同僚に「俺は便が軟らかいから、出したくなっても2・3回は我慢して、ビッグベニーを硬くしてから出すんだ」と豪語する人がいたりしたり、逆に「一日2回以上は出すね。もちろん便意即出だよ」という人もいたり、女友達では「10日に1回お通じがあればいい方ねー」なんて人もいたりして、実に千差万別なんですよね。

僕はどうかといえば、胃潰瘍をやってから若干ソフトBB(ビッグベン)になったんですが、子どもの頃はとにかくハードBBだったもんで、よく裂けてたんですよね。拭けば血が付くのが当たり前みたいな感じで。

だから「BB=痛い=怖い」というところがあって、あまりBBしたくなかったんですよ。で、大殿筋と肛門括約筋を締め上げて我慢するという幼少期に必須とされるトイレコントロール以上のコントロール力を身につけたりしてしまったんですよね。

ところが結果として、そうやって便意をやり過ごしても、次の便意が来るまでに腸内にはさらにBBが追加されるわけですし、腸の滞在時間が長ければ水分を吸収されるわけですから、モアハードBBになるわけで、するってえと痛みも倍増するという悪循環になったりしていたんですよね。思い出すだに*が痛くなるような過去です。


ところで、なんでこんなことを突然言い始めたかと云いますと、前回の記事で女性読者の皆さまにウォシュレットについて御意見を求めたところ、送ってくれた皆さんは極めてノリノリで書いてらっしゃるんですよ。ってことは、皆さん普段話さない事だけに、実は結構興味関心があったりすることなんじゃなかろうかと思ったわけですよ。

まぁビロウ≒禁忌的な話題なんで、どんなに仲のいい友人同士になっても、結構際どいエロ話はしてもビロウ話はなかなかしないじゃないですか、いや別にどんなに仲がよくなろうとも互いに知る必要もないことなんですけどね(笑)。

そこで、そんじゃあちょっとデータとってみようじゃないか、と。そして大いに語ってもらおうじゃないか、と唐突に思い立ったので、こんなものを作ってみました。題して『THE BBアンケート』です。

ハンドルネームとメールアドレス欄がありますが、必須ではありません。匿名アンケートになります。皆さん普段語れないBBやウォシュレットに対する思いの丈を思う存分吐き出して下さい。



この際だからマニアック過ぎる
カミングアウトも大歓迎です!

(未知の扉が開かれそうだ…)



[ 2007年03月23日-09:32 ]  



画像バトンなるものをまわされました。


アンカーにバトンを渡そうとした瞬間、大塚君は大きくバランスを崩した。どだい無理な話だったのだ。彼は3日前、足首を捻挫していたのだから。「トラック半周だろ。200mくらいどうってことないさ」心配する僕の肩を軽く叩きながら大塚君はそう笑った。でも彼の走りはいつものそれではなく、いつもなら他の走者を大きく引き離すはずなのに、追いつかれないようにするのが精一杯といった感じだった。そしてゴールを目前にして、彼の足首は限界を超えて、そして自分の持ち主の体重を支えることを放棄したのだ。大塚君は大きくバランスを崩し、バトンを握って伸ばした手も彼の身体ごと引力の呪縛に捕らわれて、そして地面に叩きつけられた。会場が息を呑み、大塚君の周りの風景がまるでスローモーションのように見える。その中で赤いバトンは地面に叩きつけられ、それから2回大きくバウンドして僕の目の前に転がった。校庭の視線全てが僕と僕の足下に吸い付けられているのがわかった。胸が苦しくなる。ルールでは落としたバトンは走者が拾わなくてはならない。怪我を隠したままクラスの期待を背負って走った大塚君が全てを託したバトン。そのバトンに僕の視線も惹き付けられる。胸が苦しい。「足のこと、みんなにはコレで頼むな」そういって自分の口に立てた人差し指を添えてはにかんだ大塚君の表情が脳裏によぎる。胸がさらに苦しくなった。大塚君はまだ倒れている。胸が苦しい。むねが――そして意を決した僕は――


その赤いバトンを思い切り蹴り飛ばした――。


バトンは低空を矢の様に突き進み、倒れたままバトンの行方を追っていた大塚君の口に命中した。中空になっている樹脂製の筒は彼の半開きになっていた口にすっぽりと収まった。

その瞬間あいつ「んがぽっ」とか云ってやがんのな。「んがぽっ」だってよ。どんなイキモノの鳴き声だよ。新種の珍獣かお前は。もう爆笑したね。大爆笑。腹筋切れるかと思ったね。もうクラスのヤツも他のクラスのヤツも、違う学年のヤツも先生達も笑ってたね。応援の父兄や道行く人まで笑ってた。お日様も笑ってたね。ルールルルルッルーだね。今日もいい天気だね。



 ◇ ◇ ◇



そんなわけでバトンって苦手なんですよね。あ、上の話は全くのフィクションで、僕の人生において、こんな出来事はまるで起こってはいないわけなんですけども。じゃあなにが「そんなわけで」なんだって話なんですが、そのあたりの疑問とかは放置しておいて、タライことN.U.D.E.の和治君から、画像バトンなるものを渡されました。

なんでもこの画像を使って、なんか記事を書けって事らしいんですけど、拡大縮小以外の編集はしないでくれってことらしいんですよね。これは厳しい。厳しすぎますよ。超ラクガキしたい。もうむやみやたらに矢印とかフキダシとかつけまくりたい。

特に植え込みのあたりを赤丸で囲んで拡大画像のところに人面なぞりを入れて「心霊写真です」って言い張りたい。さらに水晶玉持って「でーてーいーけー!」とか野太い声で除霊とかしたい。あーもう、なんでこう「ダメ」って云われれば云われるほど、アイデアがぼろぼろ出てくるんでしょうね。

まールールはルールですからね。一切編集はしちゃいけないということなんで、それを遵守しつつ何か考えましょう(0.2秒経過)はーだめだーなんも思いつかねー。もう既に20以上のサイトやブログを回ってきているバトンですからね。なんかこう、なにやってもカブっちゃうんじゃねえかと。そんな諦めにも似た感情がこみ上げてきてしまうわけですよ、当方的には。



まーね、この写真だけでも確かに色々な物語は浮かびますよ。中央左上のバス「O BUS」ってなんなのだと。そりゃあ「BUS」でバスですけれども、ヘボン式に読めば「ブス」ですよ。しかもその前に「O」って。そのまま読んだら「オー ブス」ですよ。どこの失礼な半端に日本語覚えた外人さんだと。お前はボビー・オロゴンかと、そんな感じですよね。

そしてその手前の青年達。なんで揃ってチェックのシャツ着てるんでしょう。しかも赤と青って。なんかコンビなんですかね。それともカップル?右を青木君、左を赤石君としたら、やっぱり女子のノートには「青木×赤石」とか書かれちゃうんでしょうか。怖いなー、怖い。怖すぎますよそれは。

それになんで赤石君はちょっと斜に構えてるんですかね。青木君は延髄を抑えてますし。直前に赤石君から強烈なテッカンコーでも喰らったんでしょうか。ちなみに発音的にはテッキャンコッが正しいらしいですよ。ムエタイ独特の絡みつくようなハイキックね。日本語でいうところの上段回しかけ蹴りみたいな感じになるわけですが。うん、どうでもいいですね。



そしてさらにその手前の園児達。いやひょっとしたら外見が園児なだけであって、実は全員Over60なのかもしれませんけど、敢えてここはノーマルに捕らえて園児。これはもうみんな明らかにバス見てますよね。バス。やっぱ子どもは大きい乗り物とか無条件に好きですからね。でもね、この辺りはネタにもならない。なるわけがないですよ。

唯一僕の観察眼に引っかかったのは、後列にいる赤い服の子ですよね。この子だけ見ている角度が違うんですよ。それに遠近感を加味して考えてみても、他の子達に比べて一回り大きいような気がするんです。隠しきれないですね。この存在感は。

で、その視線を追い掛けてみると、おそらくはやたら陽当たりのいい青木君の延髄あたりか、その上なんですよね。集団の中にとけ込んでいながらも、静かに射抜く視線。スナイパーですよスナイパー。きっとアレですね。ジャッカルですよ、ジャッカル。え?知らない?『ジャッカルの日』はフレデリック・フォーサイスの名作ですから、是非読んで下さい。映画化も2回されてますから。



そしてこのスナイパーの左隣。先生か保母さんだとおもうんですけど、彼女も視線がいい具合に子ども達とは違う所を見てるような気がするんですよね。むしろスナイパーと同じ所をみている気がするわけですよ。

画面左端の子と手を繋いだりして、自分の職務を全うしているかのようにみせながらも、やはり射抜くかのような視線。怖いですね。女性スナイパーですからアレですね。御堂、御堂真奈美。え?知らない?『ジーザス』は七月鏡一&藤原芳秀の名作ですから、是非読んで下さい。続編的な『闇のイージス』も面白いですから。

そう考えるとアレですよね、赤石君と青木君もなんか同じ所を見ているような気がするんです。となると、スナイパーも保母さんも同じ処をみているということなんじゃないかと。てことは、ターゲットは赤石・青木ではなく、その向こう、つまりバスの後から2番目の窓の座席に座っている人物なんじゃないかと思うわけです。うわー、長々書いてきましたけど、物凄くどうでもいい話ですね。我ながらビックリですよ。




まぁ総じて結論はっていうと、園児達の帽子がなんかマスカットっぽくって、一番最初に思い付いたのはイソップ童話の「すっぱいブドウ」だったとかってな話です。なんだこのつぶやきシロー的なサゲは。



 ◇ ◇ ◇



「じゃあ、俺行くから」。そういうと大塚君はバスに乗りこむべく僕に背を向けた。彼の言葉はくぐもっていて、どこか遠くから聞こえるようだった。何か云わなきゃいけない。なにか。いや「なにか」なんかじゃあない。僕が彼に伝えたい言葉、いや伝えなきゃあいけない言葉は決まっていた。僕は彼に謝りたかったのだ。謝らなければいけなかったのだ。『あの日』のことを。でも僕は顔を下に向けたまま肩と背中を震わせることしかできなくて、ようやく全てを振り切って顔を上げた瞬間、最後の乗客だった大塚君を乗せたバスは、その扉を閉じてしまった。圧縮空気の音に最後のきっかけを奪われた僕は、車窓を見上げて狭い車内を歩く大塚君の影を追う。大塚君が座った。窓越しに声をかければ気づいてくれるかも知れない。僕は彼に謝らなくちゃいけないんだ。ふと顔を降ろすと『あの日』アンカーで走る予定だった青木の姿があった。彼は微笑みながら身振りで何事かを大塚君に伝えようとしているようだった。「大塚君!大塚君!」僕も窓越しに彼に呼びかける。だけど、これから高速道路を走って西へと向かうバスの窓は開かない仕様になっているようだった。大塚君も青木君と僕とに気づいているのだが、窓が開かないとジェスチャーして、少し困ったような仕草に笑顔を混ぜた表情を見せた。青木君はしきりに首の後に掌をあてて、ぽんぽんと叩いてみせている。まるで再放送していた昭和テレビドラマで、髪の長い俳優が照れたときにするような仕草で。そんな青木君をみて、大塚君は何度か頷いてみせた。意思が通じたのだろうか。そして見上げたままの僕にも親指を立ててみせると、バスはゆっくりと走り出す。僕らは大塚君に大きく手を振って、彼を見送った。いつまでも、いつまでも。

「なあ、青木。お前大塚になんていってたの?」
「ん、いや、首の後を思いっきりトーン!ってやれば、バトン抜けるんじゃね?って」
「そっか…最後までくわえっぱなしだったもんな。大塚」
「ああ。なんか昔『地獄先生ぬ〜べ〜』に出てきた気を吸い取る気功師みたいになっちゃってたもんな」
「…わかりにくいよ」
「…うん、俺もそう思った」

園児1「せんせー、あのおにーちゃん、なんであかいのくわえてたの?」
保母 「たっくん。おとなにはね、いろんな事情があるのよ」
園児2「じじょーってなーにー?」
園児3「せんせーばすいっちゃったねー」
園児4「せんせーおしっこー」
園児5「せんせーなんでないてるのー」

園児6(スナイパー)「……(任務失敗)……」







なんかもうくっちゃくちゃです。
首の後を思いっきりトーン!

(もぉヤケ。後は頼んだぞまおっち!)
ってなわけで、次は元クサレ団地妻こと漫画家萩原まおさんにバトンを回します!



[ 2007年03月31日-00:26 ]