じーらぼ!言戯道場 (G-LABO Gengi-DOJO) 管理人:みやもと春九堂(しゅんきゅうどう)


【過去のつぶやき】
 2004年02月の【家元のつぶやき】のバックナンバーです。

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2004年02月のバックナンバー

真相はアレの中。(2004年02月01日-04:07)
口車の弥七(2004年02月04日-07:39)
理由なきあの頃 〜俺たち上等伝説〜(2004年02月06日-10:00)
何となく出来そうだったので(2004年02月07日-13:21)
一応勉強はしてみますが(2004年02月08日-19:55)
梅が好きだ。好きなのだ。(2004年02月09日-23:23)
せつぶんとふとまき(2004年02月12日-04:08)
ハッピーバレンタイン(今日はイブ)(2004年02月13日-12:20)
新しい髪型探し(2004年02月15日-22:11)
白昼の怒熊(2004年02月17日-05:29)
十年前の味。(2004年02月18日-07:08)
僕の母校は「トキ中」でした。(2004年02月19日-11:17)
狩子祭り -1-(2004年02月20日-14:08)
ホット・エクスプレス(2004年02月23日-20:06)
髪を切る日(by 槇原敬之) -1-(2004年02月25日-16:14)
髪を切る日(by 槇原敬之) -2-(2004年02月27日-16:52)


真相はアレの中。


先日のつぶやき「エアエッジフォンの方にかけた際は、出るまでに時間がかかるかもー」と書いたわけなんですが、それは普段通り「すぐに取り出せる胸ポケットにしまっておく」ではなく、例えばバッグの中にいれておいたりだとか、例えば、友人のオススメ通りに、ケータイ in the パンツ(ダンサーインザダーク風)にした場合に、そこから取り出すのに手間取る分、時間がかかるかも、ということを云いたかったんですよ。


ところが。



(パンツの中の)ケータイのバイブ振動で(ペニィーが刺激されて)はんはんいっちゃってるから、電話に出るのが遅くなるってことですよね★」というメールが、実に5通。

えーと、どういう思考回路してるんですか皆さん。

ほんとおかしい。おかしいよ。どうなっちゃってるんだよ世の中。そりゃ確かにケータイ、いやさポケベルがはやりたての頃で、しかも消音マナーモードが標準化しはじめた頃に、白昼堂々と「バイブモード」なんていうのは気が引けましたし、女の子が

「このケータイバイブの振動が弱いから、かかってきても感じなくて着信わかんないから困っちゃう」

なんていう会話をしているのを聞いては、無意味にドキドキしたりしていましたけれども、実際にそんなことまでは考えたりしませんでしたよって、あーウソウソ。考えてた。考えまくってた。えろえろな想像しまくりでした!

それに昔、遊人(懐かしすぎ)のマンガに、ポケベルだかなんだかをパンツに入れて、着信して振動したのを「愛のメッセージが届いた」とかなんとか、凄まじくおバカな内容なのがあったりしましたしねぇ……(しみじみと遠い目)


……えーと、すっかり話がそれてしまいましたが、とにもかくにも、ケータイ in the パンツ(ダンサーインザダーク風 ※2回目)にはしていません。勝新じゃあるまいに。そんなところにしまうモノは一つで十分ですよ!


え?「一つってなんだ」って?


こ、小太刀一本とか……。
「友達の友達の話」の最終話も書かねばねぇ……)



[ 2004年02月01日-04:07 ]  



口車の弥七


口車、という言葉があります。これは「相手をおだてたり騙したりして丸め込んだり、思い通りの方向に持っていく巧みな話し方」という意味の言葉です。

また「舌が回る」という比喩表現があります。これは舌をぐるぐるれろれろ回すことが出来るという、超絶テクニシャンっぷりを表しているわけではなく、言葉がよどみなく流れ出るような様を表します。

2つとも、実はあまり好意的な意味での使われ方をしない言葉ではありますが、他にも「口が滑る」や「口走る」や「口が回る」などという表現があったりすることからも、僕は「口車」というものを、リアルな「車」むしろ「自動車」として想像しています。

おそらく構造的には、舌がエンジンで唇がホイール、呼気は排気ガスで、言葉はエグゾーストノートといったところでしょうか。走ったり滑ったり回ったりするあたりから、「街の遊撃手(古)並みのアクロバティックな走行をする車っぽいです。もしくはドリドリドリっとドリフトしまくりの頭文字D仕様車かもしれません。なんとなくですが、安全運転出来る車という印象はあまり受けません。


さて、そんな「口車」なんですが、僕の口車は、基本的にすぐに限界に至る高回転型のエンジンで、排気音も高音仕様。ときどき不完全燃焼して水分を噴出する(しぶき(ぉぃ))あたりから、どうやら「いやーいい加減買い換えかなぁ」というくらいの軽自動車のようです。実際のところ僕は舌が短く、よく舌っ足らずになることがありますし、気をつけていないと声が裏返ったりするんですよね。

まぁそんな感じで、あまり高性能とはいえない自前の「口車」でして、マシントラブルやアクシデントも、懐かしの鈴木亜久里のラルースF1時代並みに頻出するわけなんです。しかもドライバーである僕の脳というか思考がコントロールを取り戻そうとして、なんとかしようとした結果、あっけなく失敗して、余計にめちゃくちゃになってしまうことが時々あるんですよね。時々ですよ。時々。


例えば、先日はこんな事がありました。担当の編集さんと打ち合わせの最中に、家族の話になったのですが、偶然にもその編集さんは僕と同じ家族構成、つまり姉二人の末っ子だという事で、ちょっと盛り上がったんです。で、お互いの甥っ子や姪っ子の話をしたりしていたんですけれど、僕は「下の姉が、今妊娠している」という事を云おうとしたんですよね。

この内容を伝えるならば、発するべき台詞としては「下の姉が妊娠しているんです」「下の姉がおめでたなんです」というものだけで、十分伝わります。ですが会話は盛り上がっていますから、これだけでは味気も素っ気もない。それに会話のリズムというものもありますから、これに幾ばくか装飾を加えるわけですね。すると

「あ、そういえばですね。実は今ウチの下の方の姉に子供が生まれるんですよ。といっても、まだまだ先ですけどね。今三ヶ月?四ヶ月かな?悪阻がひどくて、毎日おえおえらしいです。大変ですよねぇ。甥か姪が増えるのは嬉しいけど、本人も身体大事にしてもらいたいですよね」

なーんて感じになるわけです。これで「伝えたい主題」を核にして状況や感想なんかも織り込んで、相手に伝えつつ、会話のリズムも構成できるわけです。関連事項とはいえ、いくつも話題の材料をちりばめてありますから、相手も会話のボールを返しやすいですし、話題も転がります。

というわけで、台詞というコースを定めつつ口車を発進させたのですが、速攻でマシントラブルが発生してしまったんです。


「あ、そういえばですね」


「実は今ウチの下の方の姉


てにをはの段階でトラブル発生です。ですが勢いづいてしまっている為、補正が効きません。僕の口車は、そう簡単に急制動出来ないんです。というわけで


「子供


と、ここまで続けてしまったんです。「姉」「子供」と、原文と比べると、国語でいうところの助詞が入れ替わってしまっていて、最早なにを云ってるかわかりません。ここでドライバーたる僕の脳というか思考が、補正をかけようと踏ん張ります。

次に続けるべき台詞は「生まれるんですよ」なのですが、「姉が子供に生まれる」なんてまるで意味がわかりません。必死にハンドルコントロールをしようと踏ん張った結果、どういうわけか僕の脳は「似ている言葉に変えて、なんとか文章として意味が通じるモノにしよう」と緊急回避行動を定めたみたいなんです。

いや、まるで他人事みたいにいってますが、本人特に意識しているわけじゃないんですよ。文章にする為に分解して説明していますけれど、実際は一瞬のことですからね。まさにとっさの回避行動、それこそ無意識の行動です。

で、「生まれるんですよ」の代わりに僕の口車からはき出された言葉は




まれんですよ」





どんな出来事だ。



そこまではき出して、ようやく口車は停止したわけなんですが、勿論伝えたいことは何一つ伝わっていない上に、意味不明の話題を投げつけられた相手は、相当のキョトン面です。頭の上に大きなクエスチョンマークがみえるくらいの勢いです。

繰り返しになりますが、実際はコマギレではなく一息の台詞です。わかりやすくつなげなおしてみると「実は今ウチの下の方の姉が子供に咬まれたんですよ」となります。どんな凶暴な子供なんでしょう。ウチの大事な姉になにしやがんだ、と。アレか野生児か、狼に育てられて、モウグリとか呼ばれてたのか、と。しかも「実は今」ってリアルタイム速報か、などなど様々な疑問とツッコミが入ってしまいます。このままではいけません。

そこで口車を再発進させる際には、修正をしなくてはなりません。ところがまだトラブルの動揺がおさまっていないものですから、また微妙なトラブルが発生です。


「や、ちがくって」



少なくとも、物書き見習いの端くれという立場の人間が使うような言葉ではありません。お前は「また遅刻か!」と教師に叱責された、寝坊の言い訳をしようとする男子中学生か、とツッコミたくなります。

しかもリアルタイムで姉が子供に咬まれたという話題の後に、つなげる言葉としては不適当極まりありません。せめて「や、子供に咬まれたって、僕なに云ってんだ?そうじゃなくってですね」と、ツッコミのセルフサービスをして全面的に前の発言を修正する必要があるでしょう。

そんな動揺を引きずったまま走り出してしまったものですから、その後の修正も上手くいくはずもなく「子供が生まれたんですよ」と、未定のことを先走ってしまいました。すると、編集さんは納得したかのように「いやーそれはおめでとうございますー」なんて言い始めちゃって、未定の事実にすっかり祝福ムードです。

ちょっとした誤りから、あと半年以上は腹の中にいるであろう、我が甥か姪の祝福の先物取引をしてしまったような気分です。ダメダメな叔父で正直スマンかった、と謝りたい気分です。


結局、原文通りの意図を伝えるまでに、三回もの言い直しを必要としてしまい、僕はすっかり疲弊してしまったわけなんですが、会話が一段落したところで編集さんが

「日常会話で校正することになるなんて思いませんでしたよ(笑)。みやもとさんには苦労させられそうですね(笑)」


と笑いながら仰いまして……。


いや、まぁその……。


「春九堂の口車、機関完全に沈黙しました!」
って感じでしたね(伊吹マヤ風に)
(皆さんも口車はくれぐれもセイフティドライブを……)



[ 2004年02月04日-07:39 ]  



理由なきあの頃 〜俺たち上等伝説〜


(たまり場の自動販売機(ポッカの当たり付き)前にて)

「そーいえばよー」
「あん?」


「ジャガイモってあんべ」
「なんだよ突然」


「うるせーな。いーじゃんよ」
「ぁあん?で、なんだよジャガイモが」


「あれさー。ジャガイモジャガイモっつーけどよ」
「おう」


「……ちゃんとした名前じゃねーんだよ」
「……ぁあん?!なんだそれ」


「だからよー。ジャガイモっつーのはー、ちゃんとした名前だとジャガタライモっつーんだよ」
「はぁ?!なんだそれ?!」


「ジャガタラだよジャガタラ。ジャガタラのイモだからジャガタライモっつーんだよ!」
「だからそのジャガタラってなんなんだよ!」


「それがよー……」
「なんだよ……」


「どうもよー……外国のことらしいんだよ……」
「うっそ!!お前なにいってんだよ!!ジャガイモ、北海道の特産品だべ!てか、外国ってどこだよ!ジャガタラなんて国ねーべ!?」


「いや、それがよー。昔のジャワ島の事らしいんだよ」
「あぁん?!ジャワ島ってどこだよ!!俺ジャワカレーしかしらねーよ!!」


「よくわかんねーけど、インドネシアの方だよ!!」
「どこだよそれよー!」
南の方だよ!南!
なんだよ、南かよ!!


「……」
「……」


「しかもよー……」
「なんだよ……まだあんのかよ……」


「ジャカルタのことだとか、ジャガトラっつー港の事だとか、いろいろいわれてるらしいんだよ……」
「なんだよそれ!どっちもジャガタラじゃねーじゃん!間違ってんじゃねーかよ!!
しらねーよ!江戸時代のヤツに聞けよ江戸時代のヤツに!!
江戸かよ!!


「……」
「……」


「……俺よー」
「……なんだよ」


ジャガイモ、結構好きだからよー」
「……俺もだよ」


ちょっとショックでかくてさー……」
「……いうなよ……」


「……」
「……」


「……」
「……」


「……ちっくしょおおおぉぉぉ!!上等じゃねぇかコラアアァァァ!!
やんのかコラアアァァァ!!!」




「ジャガタラーーー!!!」



「メイクイーーーーン!!!」



「男爵ーーーー!!!」





「馬鈴薯ーーーー!!!」






「ジャガイモーーッッ!!」

(オチなんか、ない)



[ 2004年02月06日-10:00 ]  



何となく出来そうだったので


出来ないなりに作ってみました。


codebase=http://active.macromedia.com/flash4/cabs/swflash.cab#version=4,0,0,0
id=chop width=320 height=240>




















※ゲームにはなっていません※


さぁ僕はここまで作った!


ゲーム化まではあと数歩だ!


やる気とスキルのある貴方を
(アクションスクリプト:FlashMX)


じーらぼ!は待ってます!!
(詳細はメールなどで……)



[ 2004年02月07日-13:21 ]  



一応勉強はしてみますが


えー。flashゲーム作りを協力してくれる職人さんを募集した訳なんですが、残念なことに、今のところ応募は一通もありません。うーむ、やっぱり難しいよねぇ……。

でも、嬉しいことに「動いてる太々君」には多く感想をもらいましたね。「ゲームになるなんて楽しみです!」とのことですが、このままじゃゲームにはなりそうもありません。がっくりじゃよー。

ていうか皆さん、「家元なら出来ます!」なんて、皆さん明確な買いかぶりですよ。

確かに「豚もおだてりゃ木に登る」とはいいますけれども、熊をおだてても木に登ったりはしませんからねー(笑)。





codebase=http://active.macromedia.com/flash4/cabs/swflash.cab#version=4,0,0,0
id=skyhigh width=320 height=240>
























空は飛びましたが。
マッハで飛んでます(笑))



[ 2004年02月08日-19:55 ]  



梅が好きだ。好きなのだ。


唐突だけど、僕の梅干し好きは、皆さんもご承知の通りのことだと思う。

「唐突だけど」と前置きしたけれど、ここに書く記事で「唐突じゃないこと」の方が少なかったりする。まぁそれはおいといて、僕は梅干しが好きなのだ。なんでそこまで好きなのかは、自分でもよくわかっていないのだが、とにかく好きなのだ。これはもう嗜好としか言い様がない。


正確には梅干しというか、梅干しの梅肉部分が好きなのだ。といっても「種が好きで好きで仕方がない」という人の話は、あまり聞いたことがない。

余談だが、梅干しの種を割ると核が入っている。核は通称「天神様」といい、上手に作ってある梅干しだと、天神様まで美味しく食べられるのだが、滅多に食べる人はいないだろう。それに梅の核には青酸ガスになる成分が含まれているから食べない方がいい、といわれたりもしている。よって僕もあまり食べることはない。

そもそも核を「天神様」と呼ぶのも、青酸ガス成分で腹痛を起こしたりするから食ってはいかんぞ、と戒める為についた名前だったりする。『梅を食うとも核(さね)食うな 中に天神 寝てござる』という言葉があるくらいなのだ。種を割って天神様を起こして食うとバチがあたるぞ、というわけですな。ちなみに天神さまと梅の関係については、菅原道真(死後、天神として祀られた)が、梅をこよなく愛したという事に由来していたりする。


まぁそんな雑学はおいといて、梅干しの梅肉部分が好きなのである。で、梅肉部分をすり潰したり、刻んだりして料理に使うことが多い。

梅肉は鶏肉や鮭などと相性がいいし、出汁で溶いてドレッシングなどにしてもよい。あんにして豆腐などに使っても絶品だし、大根おろしに混ぜて、ジャコをまぶし、そのままご飯に乗せても泣くほど美味いのだ。昆布と併せてお湯で溶けば、梅昆布茶だ。それ以前に、お茶漬けにしてもいいではないか。

というわけで、梅肉を主に料理に使う僕なのだが、種からはがして叩く(ペーストにする)という作業は、ちょっと面倒くさい。鰹節と合わせて醤油を少しかけて熱湯を注いでかき回す、という以前に紹介した滅茶苦茶簡単なうどんを食べるにしても、その前の梅肉ペーストを叩くのが面倒で、超簡単とは言い難くなってしまうのだ。


そこで思案したのが、梅干しの梅肉が既にペーストになっているというものだ。瓶詰めで時々売られているのを見かけるし、チューブのもあるという。そこでソレを買えば済む話ではないかと思ったのだが、よく見かけるモノはどれもこれも小さいし少ない。こんなもんあっという間に使い切ってしまうだろうということで、少しでも内容量の多いモノを探すことにしたワケである。

早速インターネット上の、あらゆる検索手段を使って捜索したところ、いくつかの候補が挙がった。大体が200gか300g内容のチューブか、100g程のパッケージ詰めか瓶詰めのようである。梅のみのもの、梅と梅しそ入りのもの、梅とかつお節入りのものがあるようだ。

しかし内容量は大体わかったものの、問題は味だ。梅はすっぱいだけでも、しょっぱいだけでもダメ。かといって合成着色料やら化学調味料まみれなんてのも、出来れば避けたいところ。となると、あとはもう食べてみるしかないのである。

そういうわけで、思い切って三社の梅ペーストを購入。その内2社の製品が届いたので、早速試食してみているわけだが、ペーストの便利さにすっかり惚れ込んでしまっている。もう最高。超便利。何にでもかけたり溶いたりしまくりである。大根おろしと梅ペーストを混ぜたモノが美味くて、一日で大根をまるまる一本大根おろしで食べてしまったほどだ。

で、やはり、会社によって味が微妙に違ったりもする。どれもこれも美味しいのだが、使い勝手と価格をコミで考えて、出来れば一社お気に入りをみつけて、長くお付き合いしたいなぁと思っている次第である。「コレ!」というモノを見つけたら、紹介したいと思うので、梅好きの同士はお楽しみに。


ちなみに、今日のコレを読んでて、唾液が沸いた人は負けです(前にもやったな、これ(笑))


[ 2004年02月09日-23:23 ]  



せつぶんとふとまき


もう一週間前の話になるけれど、節分というものがありましたね。

節分とは、文字通り季節の分かれ目のこと。つまり、この日を境に春になるわけですね。「春分の日」というのもありますが、それはまた別なんですよね。

んで、節分といえば「豆まき」。これは豆を「魔目」もしくは「魔滅」とかけて、災厄を象徴する「鬼(正確には「オニ」ですな)」を祓うという行事です。これを「鬼やらい」ともいいます。

この鬼やらい、平安の昔には「追儺の鬼」といって、鬼役の人が都を駆け回り、それを石つぶてを投げつけて厄払いをするという、ちょっとバイオレンスな行事だった過去もあったりします。豆の方がいいよねぇ。

というわけで炒った豆をまく、この行事。豆をまくのは、その年の年男や一家の主なんですが、まぁ家族総出で「鬼はー外ー福はー内ー」とやりたいところです。そんなことやる家は少なくなっちゃったかなぁ。

で、豆はというと年の数だけ食ったりもします。妊婦さんは豆を安産のお守りにしたりもするそうです。こういうのは地方によって、色々な伝統があったりしますよね。まぁ年の数だけ食べるというのは、ほとんど全国共通でしょうか。


あ、さて。舞台は節分の日の、みやもと家。現在、父上・母上、そして僕という構成の我が家ですが、しっかりと豆まきを行いました。といっても掃除するのが面倒なので、母上の提案で、机の上にパラパラとこぼすというだけでしたが。鬼も福もなく家の中で済ませてしまっているあたり、今年の吉凶は知れたモノですよね。

ま、それはともかく。いざや豆を食わんとしたのですが、今年57歳の母上はショートカットしつつ十の位分の5、一の位分の7、合計12粒を食べ、今年29歳になる僕は29粒を食べ、今年62歳になられる父上はなんと62粒をテーブルの上に数えて出し、母と僕が止めるのも聞かず、一個一個再度確認しながら口に放り込み、話しかけられて途中で数がわからなくなり、さらに途中で心が折れたのか、翌朝半分以上が残ったまま放置されているという結果になっていました。

まぁそんな感じで、そこまでは相も変わらず「ほっかほか家族」な、みやもと家の夕餉の風景――だったのですが、今年はこれだけでは終わらず、最近寿司屋チェーンやコンビニが流行らせようとしている「太巻き丸かぶり」なるイベントが投入されたわけです。

これは、もともとは関西方面で明治あたりに始まったイベントらしく、今年の恵方(福の舞い込む方向)に向かって、無言で太巻きを丸のまま一本食べるという豪快極まりないイベント。ちなみに太巻きが「鬼の金棒」をイメージしていて、追い出すのではなく鬼ごと食べてしまうとか、恵方から福を丸ごと身体に押し込む、とか色々いわれているようですが、どうも詳しくはわかりません。

なにはともあれ、この「太巻き丸かぶり」なるイベントは、みやもと家には初登場。どうやら父上が出先で、巻き込まれたか何かで、太巻きを貰ってきたようです。太巻きは、一般的な五目巻きのようなのですが、両親ともに食べたくない様子。というわけで僕がトライすることになりました。

恵方は確か東北東ということで、家の間取りを考えつつ東北東らしき方向を向き、太巻きを用意します。勝手なことに両親は、すっかりギャラリーを決め込み「もっと右向き」「まっすぐまっすぐ」などとスイカ割りのような事をいいつつはやし立てています。

「で、こっからどーすんの?」と僕が確認すると、


父「そのまま無言で、太巻きを丸かじりにするんだよ」


僕は云われるがままに、口に太巻きをくわえます。酢飯と海苔の風味が口の中を一気に満たして、ちょっと豪勢な感じです。チープンゴージャスです。ですが「さて、かじろう」と思った瞬間、横ヤリが入りました。


母「そうそう、一息で食べるのよ


……一息?

さぁ困りました。一口というのは物理的に無理ですが、一息というのは、つまり噛み切ったりせずに、そのままもしゃもしゃと咀嚼しつつ押し込めという事です。ちょっと目を白黒させてしまいましたが、まるで獲物を飲み込み始めたヘビの如く、もしゃもしゃと口いっぱいに頬張り、食べきりました。

そして飲み下すと、あわててお茶をすすり、母上に「いや、一息って難しいよコレ」と半ばクレーム気味に言い募ったのですが、母は極めて冷静に


「バカねぇ。冗談だったのに


と、けんもほろろ。挙げ句


あんな食べ方するから太るのよ


と、鬼のようなダウン攻撃。さっき卓上で済ませてしまった、効果なしの「鬼やらい」が早速功を奏したかのようです。


そんなわけで、みやもと家初の「太巻き丸かぶり」は僕の心に微妙なキズを残して終わったわけですが、これって海苔が上あごにはっついたり、咽頭の方にはりついたりして、おえおえになる人とか、詰まらせてギャグマンガみたいな最期を迎える人がいそうで、非常に怖いです。下手をすると無病息災を祈るはずが、冥福を祈ることにもなりかねません。

こんな危険な情事ならぬ、危険な行事は素人にはお勧め出来ない、お前らは牛鮭定食でも食ってろと、食べられなくなった吉野家牛丼にオマージュの一つも捧げたくなりますが、ちょっと調べたところ、こんなイベントもあるとのこと。

……まぁアレだ、これはこれでイイもんだよね。うん、ほら、アレだ。女の子が一生懸命頬張ってる姿とかは、ほら、イイもんですよ。うん。ああ、いやその(イヤラシイ意味とか、そういうのは全く)ないんですよ。ねぇゴトウさん?(巻き込み、しかも長州風)

で、今年の結果はどうなったんだと検索かけまくったりしたのですが、どうやら記事にはなっていない様子。どうしたんだ毎日新聞。今年の結果と試合写真をみせてくれよ毎日新聞。取材にはいかなかったのか毎日新聞。どうしたんだ貝塚太一(昨年取材にいった記者さん)

まぁそういうわけでして、一週間も前の話を今更蒸し返したわけなんですが



今年の結果が気になり過ぎてネタにするのを
忘れてたわけじゃないんですよ?

(去年のしか出てこない……)



[ 2004年02月12日-04:08 ]  



ハッピーバレンタイン(今日はイブ)


本日は「13日の金曜日」です。

「13日の金曜日」といえば、ジェイソンですよジェイソン。かつてホラー映画大好きっ子だった僕にとっては、レザーフェイス、フレディ、ブギーマン、ジャック・ニコルソンにならぶ、ヒーロー中のヒーローですよ。

ある時はナイフで、ナタで、オノで、農作業用フォークで、チェーンソーで、そして拳でクリスタルレイクキャンプ場から、ニューヨーク、果ては宇宙まで。色々アレな若者達を、文字通りばったばったとキルったりジェノったり、時々キルられたりする話ですよ。名作ですよ名作。いやぁ、いいっすよねー、ジェイソン。


そんな僕ですから、明日の「14日が土曜日」なんてのは、かなりの勢いで、どうだっていいんですよ。ああ、バレンタインですか?HAッ!笑わせないでください。アレですよ、毎年僕がバレンタインデーには世の中に呪詛を送り続けていると思ったら大間違いですよ。

今年は学GOの方でバレンタインデーのネタを書いているものですから、そりゃーもー調べに調べまくりましたからね。そりゃぁ調べる過程で、日本のバレンタインデーのあり方に、色々思うところもあったりしましたけれど、基本的には肯定的にとらえているんですよ。

バレンタインデーの風習自体は、キリスト教文化のエリアのものではありますけれど、それはクリスマスだって同じ事ですしね。「愛する人/大切な人に贈り物をする」って素敵じゃないですか。

確かに聖バレンティヌス神父は、兵士の結婚を禁じた時のローマ皇帝に背いて、兵士の結婚を取り持ったかどでダイナマイト逮捕&処刑という末路を辿った「男女の愛」の象徴ですが、「贈り物をする」というのは、獄中の聖バレンティヌス神父に、彼の信奉者達が贈り物をしたというところに端を発するらしいですからね。

というわけで、「愛する人/大切な人に贈り物をする」という風習になったわけなんです(実は他にもそれまでの、ちょっとアレな土着の風習を正すべく、キリスト教がコレを広めたというお話もあるわけなんですけどね)

というわけで、別にカップル限定ってことも、「女性が男性に」と限定することもないわけなんですよ。友達同士でカードを贈りあったり、家族にカードや花を贈ったりしてもいいんです。

「女性が男性にチョコレートを贈る」なんてのは、デパートの伊勢丹とメリーチョコレートが始めた、日本だけのイベントなんですから。しかも、これだって欧米のウーマンリブ運動にかこつけたキャンペーンですしね。「女性も積極的に」だなんて、今更ねぇ?もう男女の恋愛のあり方なんて、男性以上に女性が積極的であるなんてのは、至極当たり前のことになってるじゃないですか。

だから、そんなのに踊らされる必要はないんですよ。こんなキャンペーンは、もう過去の事なんですよ。第一これ、1958年のことですよ?古すぎます。時代はもう21世紀ですよ。ちょっとこういう時代錯誤な考えのキャンペーンは見直すべきです。欧米の風習を取り入れるなら取り入れるで、換骨奪胎しないで、本来の姿で行うべきですよ。


まぁそんなこんなで、別にチョコレートがどうこうなんてのは、どうだっていいんです。あ、勿論いただけるなら遠慮せず、熊吠えしながら小躍りして喜びますけどね!(台無し)

あ、話が大幅に逸れましたが、そういうわけで今年のバレンタインは、肯定的に僕もとらえておりましてですね、ええ。お世話になった方にカードを贈らせていただいたりしたんです。通常郵送なので、当日に着くかはわからないんですけどね(笑)。なんていうか「こういうバレンタインもアリでしょ」っていう感じですね。うん。

まぁ問題なのは、カードを贈った相手の大半が、



2年前のバレンタイン企画の
「お返し」ってことですよね。
(遅すぎだよ……そもそも忘れている人もいるだろうな……)



[ 2004年02月13日-12:20 ]  



新しい髪型探し


髪を切りたくてウズウズしています。

最近どうにもこうにも半端な時間しかとれないので、ゆっくり散髪に行きたいのに行けない日々が続いています。そういうわけで、髪の毛の長さも中途半端な感じ。

僕は髪の毛を短くしておかないと気が触れる人なので(例:前髪が出来てしまい、おでこに触れる→「うひゃぼふぇみゅあーーー!!(狂)」)、結構短い期間で散髪に行くのです。

行く先はといえば、当たり前ですが床屋。理髪店です。何故限定するかといいますと、以前、美容室の綺麗な美容師のおねーさん達が「お客さんが好みのタイプだったら、胸のボタン一つ余計に開けて接客しちゃうんです、うふふ」なんていう事を話している記事を週刊誌で読んでしまい、鼻の穴おっぴろげまくって、美容室にトライ!と意気込んだモノの、いつも通りにオーダーしたら、男性美容師さんに鼻息も荒くモヒられてしまって、心が2・3本折れたという散々な目に遭ったりしたからなんですけどね。

まぁそれ以来、すっかりヒキコモリになってしまい、馴染みの床屋で済ませているわけなんですよ。そもそも僕は、ヒゲ野郎だったりもするので、カミソリでヒゲを整えて貰ったりもしてもらいたいわけでして、ついでに顔剃りもしてもらっちゃったりするとたまんないわけです。そういう意味でも美容師さんのところではなく、理容師さんのところに行きたいわけですよ。


さて、そんな僕のヘアスタイルはといいますと「トップのみ立つ程度で、左右・バックともに額の生え際ラインまで極限まで短いバリカンで刈り上げ」というものです。いわゆるアメリカの戦争映画に出てくる海兵隊員のような髪型なんですが、今回はトップが5cm以上あるくらいまで伸びているので、いつもとは違ったアレンジが出来るんじゃあないかと思ったんです。

そういうわけで、グーグルさまにお伺いを立てます。検索ワードは「短髪 ヘア カタログ」です。すると、実際に「短髪ヘアカタログ」なるものがヒット。何の気なしにクリックしてみると、そこに現れたのはゲイな皆様のスペシャルマガジン「G-men」の企画タイトルでした。

衝撃と脱力感に崩れ落ちる僕。結局、本編の内容はわからずじまいだったのですが、どうやら関連情報をみたりするところ「短髪野郎」などのワードは、ゲイワードのアレがナニらしいということが発覚。

それでも、なんとか当初の目的のモノを探そうと、google様に次々とお伺いを立てたのですが、検索ワードに「短髪」が絡むと、どうしてもソッチの世界ロケットダイブにしてしまうのです(助けてHIDE!)

そのまましばらく検索を続けていたのですが、気がつけば頭の中には、男色ディーノの入場テーマ曲である、布袋寅泰の「スリル」が大音響で鳴り響き、次々とソッチ系のWebサイトを閲覧しまくり状態に。

なんというか、目的が「短髪ヘアスタイルで、今までとは違う感じ、なおかつ自分でも納得できるヘアスタイル探し」から「いかにしてゲイな方達の琴線に触れるヘアスタイルを極めるか」というモノにかわってしまっており(最初は「そういうヘアスタイルを避ける為に知っておく」だったのですが……どこでかわったんだ)、自分でもかなり手遅れ気味だと感じつつも、マウスをクリックする手は止まらないというダメっぷり。台詞にすると「お、堕ちていく感覚ッ?!」という感じです(なんだそりゃ)


で、最終的には、やはりゲイな方々御用達の理容室に行って、似合うヘアスタイルにしてもらうというのがベスト(なにが?)という結論に落ち着いたわけなんですけどね。問題はそういう店がどこにあるかってことなんです。

昔、ドレッドヘアにしようと思って問い合わせた下北沢の理髪店は、その筋では有名なところでして、検索でも情報がひっかかったりするのですが、実は残念なことに数年前に店がガス爆発を起こすというマグマ極まりないことがあったりしまして、今はもうリアルに消失してしまっているんです(しかも元店員さんの掲示板への書き込みで知ったというダブルマグマ現象)

既にない店の情報では困るわけでして、さらに掘り下げていったわけですが、その過程でさらに、そちら側の世界の情報をかきわけていくことになり、最早ノンストップヒデキ状態。様々な専門用語を覚え、それらをグーグル様に放り込んではお伺いをたてるものですから、ウチのブラウザのグーグルキャッシュは、どんどん薔薇色に変わっていきます。ウホッ!どころか、ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホッッッッ!!!という感じ。野生か!とツッコミたくもなります。

そんなこんなで、ブラウザキャッシュどころか心身共に薔薇色に染まり始めた頃に、ようやく色々マスコミにも取り上げられたり登場したりしている「要予約」な、お店を発見する事が出来ました。カット&顔剃り5000円ということで、お値段もまぁまぁですし、利用者の感想などを見ても、評判がいいので、暇を見つけてトライしてきたいと思います。


いやーしかし、なんでも調べてみるもんですね。まさかこんなことまで情報が見つかるとは思いませんでした。これで思う存分、新しいヘアスタイルで、短髪ライフを満喫できるってもんです。


で、どうでもいいことなんですが、今「たんぱつ」と入力したら、


変換候補に

「短髪野郎祭」

と出てきました。




検索しかしていないのに、何故か
引き返せないところに立った気がします。

(いや、そっちにはいかないよ。いかないぞ。いけないって!)



[ 2004年02月15日-22:11 ]  



白昼の怒熊


やり場のない怒りってありますよね。

例えば路上に落ちているガムを踏んでしまったとき。周辺に吐き捨てた野郎がいるのかとサーチアンドデストロイ体制になっても、探しても基本的には無駄ですし、かといって周辺にいる人に「貴様かお前かキミかーッ!!」と無差別に襲いかかり、十分に噛んで柔らかくしたフェリックスガム(100円分)を、自分の口から被疑者達の顔に直接擦り付けて回るわけにもいきません。

こういう場合、やり場のない怒りと、靴の裏にへばりついたガムだけが自分の身に残ることになります。これは相当辛い出来事です。また、木っ端や石なんかでガムを剥がすという行為が情けなさを倍増させて、やり場のない怒りは、さらに倍です。


さて、そんな「やり場のない怒り」ですが、先日こんなことがありました。昼過ぎに打ち合わせが入っていたので、バイクで出かけていたのですが、途中で昼食を済ませてしまおうと、国道沿いのラーメンチェーン店に入ったんですよ。

駐車場にバイクを止めたときから、イヤな予感はしていたのですが、案の定店内は昼食時の大混雑。まぁそうはいっても、こっちは一人ですからカウンターの席さえ空けば問題なく入れます。

ちなみに入場待機席にいるのは10人ほど。内訳は家族連れの4人と、カップル2組と、仕事仲間であろう男性2人組。これで待機席も満席です。大繁盛ですな。そして傍らには呼ばれる順番と人数を書き込むノートがおいてあります。

早速僕はノートに自分の名前を書き込んで、人数のところに「1」と書いたことに微妙な切なさを感じつつ待機状態に入りました。数分もしないウチに、家族連れが呼ばれて席に向かいます。順番的には後3組です。奥の方のテーブルをみると、セッティングの最中です。カウンターが空けば全員入れるかなーという感じです。


さて、女性店員さんが呼びに来ました。待機客のリストをみつつ「*名でお待ちの**さまー」という感じで誘導するのですが、男性2人組と、一組のカップルが呼ばれた後、女性店員さんが硬直しています。

なんだ?と訝しがっていると「あの、お客様お名前を書いていただいてますでしょうか?」と、残ったカップルに聞きます。どうやら名簿では次は僕なのですが、来店順は待機席に座っているカップルの方が、明らかに先です。そこで確認となったわけなのでしょう。

聞かれたカップルはというと、手持ちぶさたにケータイをいじっている中年前の女性と、週刊誌を流し読みしている中年の男性。で、その男性が雑誌から目も上げずに「あー書いてないよ」とか云いやがりました。

その瞬間、僕がカチっと来たのはいうまでもありません。見ればカウンターは空いているのに、先に入店していたにも関わらず、記名していなかったというこのアホどものせいで、僕はラーメンにありつけないのです。かといって見ず知らずのカップルに、唐突に鉄拳制裁を加えるわけにもいきません。そんなことをしたら傷害事件でダイナマイト逮捕されてしまいます。非道い場合は返り討ちの危険性すらあるのです。

それにしても、お前何しに来たんだよという感じです。待機してる人達は、皆記名しているんです。多分この中年カップルらより後に入店したけれど、しっかりとリストに記名した人たちは先に座っているはずです。ざまぁないです。お前らは一生そこで待機してろという感じです。

そういうわけで、この中年無礼バカップルはどうでもいいから、僕をカウンターに座らせてくれよと訴えたかったのですが、続いて女性が「ねーまだなのー?もう随分待ってんだけどー」と、同じくケータイから目も上げずに云いやがったんですよ。もう、お前死ね(暴言)

可哀想に女性店員さん動揺してます。そりゃそうです。そつなく混雑した店内を切り回していると思ったら、記名してない中年無礼アホバカップルをすっ飛ばして待機客を席に案内してしまい、挙げ句不機嫌になられてますし、オマケにその後ろに控えているのは、全身カーキ色に包まれた妙に戦闘的なクマ(僕のこと)です。

オマケに空腹ですから「ラーメンが食えないなら、お前を食わせろごあぁーッ!」とか云いながら襲いかかられる危険性すらあります。いわば生命の危機です。こんなところで腹を空かせたクマに襲われるなんて、彼女の人生の予定表にはないはずです。げへへ観念して喰われちまいなー。(←?)

それにしても、このド腐れ中年無礼アホバカップルはカップルは文字が読めないんでしょうか。ヤツらが座っている待機席の目の前においてあるノートスタンドに「お待たせしてしまい申し訳ありません。こちらにお名前と人数をお書きの上お待ち下さい」って書いてあるんです。本当に目の前なんですよ。

結局店員さんは、僕よりこの、腐れ中年無礼文盲アホバカップルを優先的に案内することにしたようです。まぁ当たり前といえば当たり前なんですが、それでもこのド腐れ(中略)ップルの態度は腹立たしいことこの上ありません。今すぐ煮立った湯に放り込んで味付けしてたっぷり煮込んでそのまま喰わずに棄てたい気分です。

そんな僕の想いを知ってか知らずか、店員さんは「すぐにお席の方用意させていただきますので、お名前よろしいですか?」と、自らペンを持ってノートに向かいます。するとこの不確定名ド腐れップルのオスの方が、またもや週刊誌から目も上げずに(コイツらは文字が読めないので、読んでいるのではなく眺めているだけのはず)云いやがりました。


「名前?ああ、ウエって書いといて。ンムフフフ」



聞いてしまいました。こんなアホなセリフを。思わず脳内に「蘭丸!槍をもてぃッ!!」と、炎上する本能寺における織田信長が叫ぶほどのアホなセリフです。勿論蘭丸が持ってきた槍は、ド腐れップルを、オスメスともに滅多刺しするのに使います。きっと廃油のようなドス黒い体液が出て来るに違いありません。

まったく、どの面下げて女性店員さんに「上様」なんて呼んでもらうつもりなんでしょう。いいから目の前の国道に飛び出してトラックに轢き殺されてこいって感じです。そうすれば「お気の毒様」くらいのことは云ってやりますから。僕にもそのくらいの優しさはあります。


まぁそんなこんなで、やり場のない怒りと脱力感と空腹に、精神も肉体も消化器系臓器も蝕まれてしまった僕なんですが、その数分後には店員さんの努力で、カウンターに着席してオーダーをする事が出来ました。まぁ、そのオーダーの際に勢いで三人前相当のオーダーをしてしまったんですけどね。



「やり場のない怒り」も厄介ですが
「怒りのやり場」を間違えると
もっと厄介なんですね。

(その後の打ち合わせは、胃に血がいってしまって意識朦朧でしたしね……)



[ 2004年02月17日-05:29 ]  



十年前の味。


まずいラーメン屋が近所にありました。

過去形になっているあたりから察してもらえると思うのですが、既にありません。とはいうものの、巨大なトラックが突っ込んで店が消滅とか、隕石が降ってきて周囲数キロにわたって消失とか、そういうわけではなく、ぶっちゃけた話が「潰れた」というわけです。


さて。ラーメン屋に関わらず、値段に見合わないマズイ食べ物を出す飲食店は、客に嫌われます。下手をすれば怒りをかうことすらあります。まぁそうはいうものの「テメぇ!なに不味いモン喰わせてんだよ!」とは、なかなか云えません。

仕方ないので、そういう場合は、食べきらない・レジでこれ見よがしにため息をつく・「あの店だけはありえない」と悪評をたてる、というような手段で、報復に出ることが多いと思われます。

しかし、そんな「報復をしよう」と思うレベルを超越したマズさのラーメン屋が、近所にあったのです。


話は十年ほど前に遡ります。当時この土地に引っ越してきたばかりの僕は、美味い店探しに余念がありませんでした。特にラーメン屋や定食屋は重要です。美味しいコーヒーを飲ませてくれる喫茶店も重要ならば、仲間内で集まるときに使う美味しい居酒屋なんかも外せません。そういうわけで、筆頭にもあげているように、ラーメン屋探しには特に余念がなかったわけです。

遊びに来た友人の協力の甲斐もあって、数ヶ月後には、ご近所殆どの店をチェックし「美味い」と云えるラーメン屋も見つけていたのですが、至極近所にあるのにも関わらず、一店だけ試していない店があったのです。

仮にその店をDラーメンとしておきます(イニシャルかどうかはご想像にお任せします)。そのDラーメンに、何故行かなかったかというと、同じ通り沿いの手前に、「美味い」といえるレベルのラーメン屋さんがありまして、すっかりそちらの方の常連になっていたからなんですよね。

しかし偶々そのときは、そちらのラーメン屋さんが定休日でして、その先にあるDラーメンを試そうということになったのです。

さて、入店して着席すると、まず妙に広い店内に違和感を覚えました。いや広さは普通なのですが、客がいないのです。本当にいない。僕と友人の他に、もう一組の客がいるだけです。

「大丈夫かなぁ」などと、やや首を傾げながらメニューを見始めたのですが、妙に豊富なラインナップにますます不安が高まります。しかし、よくよく見てみると豊富というよりは、トッピングのレベルで値段を変えて種類を水増ししているような感じです。

不安がそろそろ確信に近づき始めていましたが、それでも無難なラーメンを選んだつもりでオーダーを通してもらい、待つことしばし。僕と友人のそれぞれの目の前にラーメンが運ばれてきました。


「いただきます」とお互いにいいながら、割り箸を割って、一すすり。そしてレンゲでスープを一飲み。


何とも云えない沈黙がテーブルを包み込みました。


今でも鮮明に思い出すことが出来ますが、まず麺はこの短時間でどうやったらここまで伸ばす事が出来るんだというくらいまで伸び放題。みそ味のスープは地獄のようなくどさとしょっぱさで、明らかに味噌を溶くスープが足りない上に味が細い。具はどれも業務用レトルトなのはいいのだけれど、湯煎かレンジかの処理もしていない上に、泣けてくるのは焼き海苔が最初から湿気ている。

とまぁ他にも上げればきりがないのですが、とにかく非道い内容でした。無言で友人と僕はお互いのどんぶりを交換して、味を比べてみたのですが、これまた友人の頼んだ醤油ラーメンも非道かったんですよ。これスープじゃなくてお湯で溶いてるだけちゃうんかと泣きたいほどです。

結局2人で顔を見合わせ、敗北感一杯の「ダメ面」で心境を伝えあった後、無言で麺だけでもとかっ込み続け、そそくさと金を払って店を後にしました。で、その帰りの車中。車に乗り込んだ直後に「まぁ及第点は出せないよな、あれは」と、感想を云おうと思ったのですが、どういうわけか舌が回らず

「みゃあ、くうだいれん……れん?いや、てん。は、だしゃなぶははははは

と、突発的な言語障害に陥ってしまい、何故か笑い出して言葉を続けることが出来なくなってしまいました。そしてさらに友人も

「おまえなにいった、いいた、いたいんぶははははははは

と、言語障害に陥り、最早車内は収拾のつかない感じです。どうにか会話を成立させようとするのですが、最早なにを云っても笑ってしまって、まともな会話になりません。

結局、その夜は笑いっぱなしの脱力しっぱなしという、かなりアレな状況で別れたのですが、2人の統一見解としては言語障害級のマズさという事で、落ち着いたんですけどね。挙げ句僕に至っては、翌日から非道い下痢と高熱で寝込むというオマケまでついてきました(これは無関係だと思いたい)


これが約10年前の出来事なのですが、その後、僕はDラーメンには一切近づかずに生きてきました。

ところが、一ヶ月ほど前のこと。たまたま出向いたDラーメンの前を通りがかった僕は、他のラーメン屋が休みだったこともあって、入店してしまったんです。

いや、それには実は深い理由があるわけでして、ええ。というのも10年一昔といいますが、時が流れるのははやいもので、10年の間に常連だった手前のラーメン屋さんは、食中毒を出して保健所のダイナマイト検査を受けてしまい、閉店。店舗ごと破壊され、今は大手ラーメンチェーンの店舗が建っているという有様なんですよね。

で、他にも、ここ10年で潰れた店、新しくできた店、新しく出来たのに潰れた店と、さまざまな栄枯盛衰があったわけです。そんな10年間を、Dラーメンが微動だにせず営業を続けてきた、というのは実はすごいことなのではなかろうかと思ったんですよね。

実は10年前の味は幻だったとか、僕らの体調が悪くて美味いはずが不味く感じられたとか、僕らが食べた直後に調理主任がかわって大繁盛しているとか、そういうことではなかったのだろうか、と。そう思ったわけです。

そういうわけで十年ぶりに足を踏み入れたわけなんですが……ええと、まぁ、その。


味の方も微動だにせず変わっていませんでした。



不味い。とにかくマズい。10年ぶりに、あのときの敗北感が押し寄せてきます。くくあーなんじゃこのラーメンはぁああぁぁ!?最早この店が営業を続けていられるのは「ご近所七不思議」の一つです。そうとしか言い様がありません。もしくはなんか危険な副業をしているんだ、間違いない!(白い粉とか売ってるんだ!)


結局このときも、敗北まみれになって料金を払い、店を後にしたわけですが、話はそれで終わりませんでした。

その数週間後。つまり先週のことなのですが、買い物から帰宅した母上が、こんなことを仰りました。

「随分前にあなたが食べて死ぬほど不味かったって話していた店あったじゃない。あれ、潰れたわよ」

……なんですと?いやいや僕、数週間前に食べたばっかりだよ、相変わらず不味かったよと話をしたのですが、どうやら潰れたのは本当の事らしいのです。

全然お客さんも入っていなかったし、まぁいつかいつかと思っていたけれど、遂にって感じねぇ――などと母上は感慨深げに話しているのですが、僕は全く別のことを考えていました。

確かにDラーメンは10年前に不味かった。それも言語障害級の不味さだった。そして10年後も不味かった。やっぱり敗北感を感じるほどの不味さだった。

ですが、それでも10年以上の営業を続けてきたという実績があることには変わりはありません。この10年間、お客さんにラーメンを提供し続け、営業を続けることが出来るくらいの利益を上げてきたわけです。

そうすると、やはり10年前の味は特殊であって(黎明期)、その後調理主任がかわって、平均か平均以上の味になって店は繁盛(転換期)。そしてその後10年にわたって繁盛を続けたが(黄金期)、調理主任が出奔してしまい、味は徐々に10年前の味に戻ってしまい(衰退期)、客も離れ、倒産も決定し、自暴自棄になった店主が10年後(時系列でいうと数週間前)に、10年前に並ぶほどの不味さのラーメンを僕に出した(晩年期)……というようなストーリーが頭に浮かんできました。

ただ、頭に浮かんだ後、そんなに自分の味覚に自信があるわけじゃあないことと、いくらなんでも被害者意識が強すぎるだろうという、ツッコミをセルフサービスした次第ですが、可能性としては「ない」というほどでもないわけです。

そんなわけで、先日、既に営業していない店舗の前をバイクで通り過ぎたときに、一つの文明の末路を見届けたような気分で、黙礼をしてしまいました。



バイバイ、Dラーメン。
あの不味さ、忘れないよ。

(それもどうかと思うんだが……他に言葉がみつからない(笑))



[ 2004年02月18日-07:08 ]  



僕の母校は「トキ中」でした。


“アル中”はイヤだ (スポニチ)

珍しく時事ネタなんですけれども、簡単に説明すると、新設された中学校の名前を公募したところ「北アルプス中学」という名前が気に入ったらしく採用を検討されたんですが、生徒達が「略称がアル中になるからイヤ」と猛反発してボツになったというニュースですね。

いや、この学校の生徒達はすごくまともだと思います。これが採用された日にゃ、日本には他にも南アルプス・中央アルプス、そして一般にはまだ広く認知はされていないものの、東アルプス(秩父山地)というものがあったりするわけですから、これに便乗して南アル中・中央アル中・東アル中なんてのが出来かねません。

「中央アル中」なんて、似非チャイニーズコントの「ナイアル。アルアル」みたいな感じになってしまいそうじゃないですか。挙げ句西アルプスまで出来てしまったら、東西南北+中央にアル中が出来る始末です。どんな国ですか、我が国は!いつからロシアになったんですか!(暴言)

そんなわけでして、心ある在校生徒のおかげで「アル中」は不採用となり「北稜中」という涼しげな名前に決まったそうです。よかったよかった。


ところで、これは村の教育委員会が公募して2/100件だったにも関わらず、村長さんなどが「斬新でいい名前だ」と内定したらしいんですね。

じゃあ一番多かったのはなんて名前なんだよと気になるところですが、先生方も生徒達の反対意見を説得しようと随分頑張ったとのことで、よっぽど気に入っていたんでしょう。記事末のコメントからも無念さが伝わってきます。

ここまで気に入っていたということは、おそらく村側としては、「諸君らも、この北アルプスの峰々のように、男子は雄大に、女子は美しく、そして何よりも我々を抱いてくれる北アルプスのように、大らかな心をもった生徒になっていただきたいと思います」っくらいの挨拶は考えていたに違いありません。

校歌なんかも新しく作るはずですから、地元で有名な音楽の先生とかが「♪朝焼けに 映える白峰 我が学舎の 上にそびえたつ ♪見上げる晴天 誉れも高き いつか頂目指そうぞ ♪嗚呼 北アルプス 我が母校」っくらいの校歌を考えていたかも知れません。いや、考えていたに違いない。間違いない。

しかし、それ以上に確信があるのが、生徒達を説得するレトリックです。

絶対に

「どうしてアルプス中がイヤなんだ。いいじゃないか、我々の村の誇りなんだから。アル中がイヤだというなら、略称を変えればいいじゃないか。そんなのは自分たちの意識一つだと先生は思うぞ!」

「じゃあ先生!アル中の他に、どんな略称があるっていうんですか!」

「き、北アルプちゅ(中)とか……」

というようなヤリトリがあったに違いありません。間違いない。

そして先生は一瞬場を凍り付かせた後、鬼ブーイングを浴びて退場するんです。でも、心のどこかで生徒達も「ぷぷっ……北アルプちゅだって!」とか思ったに違いないのです。まず間違いない。


まぁ、既に「北稜中」で決まった今、生徒達は一安心して、新設校で気分も新たに新学期を迎えると思うのですが、一番気に入っていたであろう村長さんが

「若いもんは、ワシの気持ちをまるでわかってくれない……」

とか打ちひしがれながら、飲んだくれて、


リアルアル中にならないか
非常に心配です。

(頑張れ村長。)



[ 2004年02月19日-11:17 ]  



狩子祭り -1-




マナーアップバットマン(まなーあっぷばっとまん)/19XX年11月5日生まれ 年齢不詳 身長173cm 体重不明

 2002年に唐突にデビューするも、その正体はおろか、経歴・国籍までが不明。さまざまな材質の樹木を薬剤と、強烈な圧力で圧縮して成型した「圧縮バット」を常に携行する。
 圧縮されている木材は、古代の宗教家が、その下で頓悟した菩提樹であるとも、磔刑にされた十字架であるとも、愛の告白をした者が必ず結ばれる伝説の樹であるとも云われている。なお愛用の下駄は、圧縮バットと同じ素材で出来ているとのこと。
 学生服を着用しているが、学生かどうかも不明、本人曰く「これは理想的な戦闘服である」との事だが、真相は定かではない。
 過去については黙して語らぬが、発言の断片から戦士であったのではないかと推測され、また各地の元傭兵などからも目撃証言があげられている。なお裏付けの為に取材に向かった調査員は、その後消息不明となっている。

↓本日の主役、正式デビューです↓

クリーンナップカリコ(くりーんなっぷかりこ)/19XX年2月14日生まれ 年齢不詳 身長161cm 体重不明

 2003年4月にバットマンの妹として登場。2004年2月に正式デビュー。兄のバットに対し、より凶暴な「分割ガマ」を両手に携える。如何ほどの切れ味なのかと質問したところ、彼女の手が瞬間的に視界から消え、筆者の頚部を右から左に冷たい感触が通り過ぎたような気がしたが、コメントは出されなかった。
 顔面を覆うガスマスクは、本人によると「あらゆる汚臭を避ける為よ」とのこと。セーラー服にルーズソックスという出で立ちについては「木は森の中に生えるっていうじゃない」と、微妙に正解なのか誤解なのかわからない応答であった。
 声やスタイルから察するに、まだ年若い女性とみられるが、発言の端々からは、特に薬物(毒物)などに対する専門知識が飛び出すことがままあり、実際のところは不明。
 尊敬する人はマリー・アントワネット、エリザベート・バートリ、そして実兄のマナーアップバットマンとのこと。



宮城県にお住まいの太郎さん(10代男性の方)からの御相談
最近、勢いで坊主にしたのですが
坊主にした事によって自分が禿であることが判明してしまいました。
一分一秒でも早く元の髪型に戻したいのですがどうすればいいのでしょうか。

【クリーンナップカリコ嬢からのお応え】
カモフラージュなさい。
髪を伸ばしたいならワカメを沢山食べろっていうのは、迷信らしいわ。ただ「お風呂に入る前にアロエの葉肉を毎日塗りたくって出る時に洗い流す」っていうのは効くらしいわよ。ハゲた……失礼、薄毛のおじさまが、自慢げに教えてくれたから間違いないわね。でも、そんな民間療法とか効くかどうかは分からないし、今の時点で結構恥ずかしいから、今の状態を何とかしたいのよね。

それなら薄毛の部分が模様であるかのように誤魔化……失礼、カモフラージュすればいいと思うの。貴方のタイプは、ザビエル・カッパ系?マクドナルド型?それともフロムおでこ?ひょっとして荒くれイレギュラータイプなのかしら?

もしもカッパ系だったら、もう簡単。他の部分も丸く何箇所も剃って、水玉模様にしちゃえばいいの。マクドナルド型だったら、もっと生え際のMの字を鋭角に剃りこんで、ギザギザ模様にするとモダンな雰囲気でステキね。

フロムおでこだったらそうね。触角とかつけて「この触角の為に、髪の毛が生えてないんだ」って言うといいわ。ミステリアスな雰囲気も相まって、人気者になる筈よ。荒くれイレギュラーだと、ちょっと対処のしようがないわ。ごめんなさい。

もしも創作意欲がないとか、個性を強く打ち出すと立場が悪くなるような職場にいるんだったら、カリコはこれをお勧めするわ。大丈夫。TVCMで見たんだけど、何か巨乳の美人が色々あなたの頭について心配してくれるらしいわ。楽しそうじゃない

薄毛というのも立派な個性よ。それをどうするかは貴方次第。工夫次第で、オシャレにもコンプレックスにもなると思うの。あんまり悩むと余計に被害が拡大するから、楽天的にオシャレなカモフラージュに専念してね。いい?それじゃ、ごきげんよう☆



北海道にお住まいのちゅかさん(10代女学生の方)からの御相談
私は学校の勉強に関しての記憶力が異常に悪いです。
(同人関係の事なら異常に良いのですが。)

何か脳に障害が有るのでしょうか。

【クリーンナップカリコ嬢からのお応え】
やる気を出しなさい。
カリコは医者じゃないから断言できないし、あんまり不安なら病院に行く事をお勧めするけど、貴方の脳に障害は無い筈よ。学校の勉強に関しての記憶力が、異常に悪いっていうのは、貴方の苦手意識の所為じゃないかしら。

学校の勉強って、反復が重要よね。漢字の書きとりも、年号の暗記も、数学の計算も、全て反復。確かにつまらないわね。でも、カリコはいい事知ってるわよ。反復が嫌にならない為には、ドーパミンを沢山出せばいいの。ドーパミンって脳の中で自然に出てくる、所謂脳内麻薬なんだけど、ドーパミンを沢山出せば、きっと退屈だった学校の勉強もスイスイできるようになるわ。詳しくはこのあたりを読んでね。全ては自己責任よ?胎児や乳児じゃないんだから。

肝心のドーパミンを出す方法だけど、そうねぇ……あ、その前に云っておきたいんだけど、くれぐれもおクスリとかで何とかしようと思わないでね。リスクが高すぎるわ。貴方も学生の身空で檻とか塀の中の中で生活とかしたくないでしょ?

そうそう、ドーパミンを出す方法だったわね。実はそんなに難しくはないのよ、頭に力を入れればいいの。往年の勝新太郎さんなんかは、耳をウエーブさせる事ができたらしいんだけど、それだって練習したからできるようになったはずよ。それを考えたら頭に力を入れて、ドーパミンを搾り出す事なんて、とても簡単じゃない?

でも、自在に操れるようになるまで、数ヶ月から数十年はかかるでしょうから、次回のテストの時に間に合わないと思うけど。ひょっとしたら努力次第で半年後には「フンッ」って力を入れただけで、ドーパミンが沢山出てくる体になると思うわ。

そんな努力をしたくないなら、視点を変えればいいんじゃないかしら。勉強の内容を同人に反映させるの。っていうか、むしろ勉強した内容で同人を作ればいいじゃない。

面白い作品を作ろうと努力すれば、同時に学校の成績に反映されるなんて、ラッキーでしょう?さらに、そんな斬新な内容だったら絶対人目を引くから、いい事だらけ。

とりあえずカリコとしては「プルテウス幼生 はじめてのおつかい」なんていうテーマでつくったりされたら、すっごく好みね。とっても気になるわ。きっと大評判よ。頑張って新しい同人界を開拓してね。それじゃ、ごきげんよう☆



神奈川県にお住まいのからあげさん(10代女学生の方)からの御相談
はじめまして!
バイトの先輩に紹介してもらって3歳年上の人とメールをしているのですが、すぐに話題がなくなってしまいメールが途切れてしまうんです。どういう会話をしたらいいのかわかりません。こう言う時ってどうしたらいいですか??

【クリーンナップカリコ嬢からのお応え】
会いなさい。
メールが途切れてしまうのには、いくつか理由があるわ。まず一番の理由は、まだあんまり会って話をしてないんじゃないかしら?会う事は、とっても大事よ。メールじゃ鎌も使えないじゃない。一戦交える事で、人の距離ってグっと縮まるものよ。

会ってからもメールが続かないっていうのなら話は別ね。ひょっとして相手はメールが苦手なんじゃないかしら?特に携帯電話のメールは苦手な人が多いから、自分の感覚を押し付けるのは問題があるわよ。

カリコも以前、延々とメールの返信をしてくる人がいて「自分が止めなきゃ、永遠にやり取りが続いてしまうかもしれない」って恐怖した事があったわ。そんな時は流石のカリコも鎌を持つ手がじっとりと汗ばんだわ。

メールは苦手、電話代は高い。そうね。そんな時は、別の通信方法を使えばいいと思うの。あ、貴女今伝書鳩とか思ったでしょう?考えが甘いわよ。鳩だとマンションとかアパートじゃ飼えないじゃない。

今熱いのは念波よ。夜空に向かって、お互いの気持ちをぶつけ合うの。始めは難しいと思うから、複雑な言葉とかは使えないでしょうね。だから慣れるまでは、モールス信号を使いなさい。モールス信号というのは、点と線の組み合わせでできた言葉。念波初心者のあなた達でも、長いか短いか位だったら簡単にやりとりできる筈よ。

ただ気をつけて欲しいのは、貴女が誤解されてしまう事。きちんと説明しないと念波じゃなくて電波な人だと勘違いされるわ。そんな誤解を生まない為にも、まずはきちんと会って事情を説明しなさい。わかった?それじゃ、ごきげんよう☆



[ 2004年02月20日-14:08 ]  



ホット・エクスプレス


電車の暖房ってあつすぎませんか。

もうね、暖かいを通り過ぎて暑い。むしろ熱いっくらいの勢いかも知れません。なんだこりゃ常夏か、と聞きたくなります。

加えてに床暖房というか座席暖房というべきか、よくわからないんですが、電車車両の暖房って、シートの下から出てるんですかね?どういうわけかシートが異様に暑いじゃないですか。あれにもちょっと困ったモノです。


僕は普段からあまり電車は利用しないのですが、先日風邪を引いたのか花粉症なのか悪いモノを食べたのかわからないのですが、用事があるのに意識朦朧としておりまして、なんとかバイクではしりだしたものの限界を感じて、駅の近くにバイクを駐車して、電車移動に切り替えたんですよね。

寒風の中にも暖かい春の陽が差し始めたとはいえ、まだまだバイク乗りにとっちゃ冬真っ盛りです。夕方から夜にかけての移動が予想される場合は、ガチガチの防寒装備が当たり前です。

その日もバイクで移動するつもりだったものですから、ウインドブレーカーの上下セットアップを着込んで、その上に防寒コートという出で立ちだったんですよね。


ちなみに俗に気温がヒトケタの中を時速60kmで走りますと、バイク乗りの体感温度は零下に達するといいます。なんといいますかイメージでいいますと「バナナで釘が打てる寒さ」って感じだと思ってください。

で、その状態を「寒い」と思わないくらいの装備ですから、そりゃ平常時なら「あたたかい」、ないしは「暑い」んですよ。そのくらいの防寒効果でないと下手すると意識が遠のくことがあるくらい寒いんです。


と、するとですね。その日の装備もやはり「暑い」わけなんです。オマケに身体は熱っぽくて、さらに暑さ増量中です。この時点で「大盛り」っくらいですね。それで改札から一番遠いホームまで急ぎ足で歩いたりしたもんですから、余計に身体は熱くなってきます。じんわり汗がにじみ始める感じです。喩えるならば「特盛り」っくらいです。

まぁ、到着したホームは吹きっさらしですから寒いわけですよね。でもこの状態で、服の中は「ちょうどいい」程度ですから、「特盛り」がクールダウンされて「大盛りちょいサービス」程度に冷めた程度。暑いことにはあまり変わりありません。

そして電車がホームに滑り込み、座席に座ると、もうそこは常夏バケーション状態。いやバケーションなんて爽やかな言葉は似合いません。常夏・赤道直下といった風情です。とにかく暑い。いやもう熱いんです。

無論ウインドブレーカーのジッパーを下げたり、コートを脱いだりして放熱するわけなんですが、人が大量に乗り込んで来てしまい、放熱しても追いつかないくらいの熱さなんです。

「過剰な暖房+人いきれの熱さ+人々がまとっている防寒装備による相乗効果+デブ(僕ね)という環境ですから、既に熱さは「特盛り」をすっとばして「超盛り汗だく」という感じです。

常夏・赤道直下なんていう表現も通り過ごして「ここは熱と熱とがぶつかりあい、さらに熱を生み出す『熱さの殿堂』!まさに灼熱のワンダーランド、常夏地獄・赤道垂直落下といった風情であります!!」古館節をふるいたくなる感じです。

もうあと2駅満員状態が続いたら、いわゆる臨界点を迎えてしまい、全てを脱ぎ捨てて数十年ぶりに「中の人」を露出させてしまうところでした。


まぁなんとか無事に目的地について用事を果たすことも出来たのですが、帰りの電車がまた混雑しておりまして……おまけに乗りがけに風邪薬を飲んでしまったので、まんまと眠気を催してしまいまして……。

ほら、眠くなると体温あがったりするじゃないですか。僕なんかは、その現象を「コドモ体温」と呼んでるんですけど、まぁ眠ってる最中って結構汗もかいたりするわけですから、やっぱり体温上がってるんですよ。

で、そういう状況を全て重ねると「過剰な暖房+人いきれの熱さ+人々がまとっている防寒装備による相乗効果+デブ(僕ね、僕)+睡眠による体温上昇+意識喪失による放熱処理不足」っという感じになりまして……。

なんといいますか、ええ。


寝汗が肌を伝う感触で目を覚ましました。


しかもその量が半端じゃないんです。ウインドブレーカーの裏地部分がもうベッタリ肌に張りついてるし、中に着込んだTシャツなんかも、すっかり重たくなってるし。お前電車の中で、なにハードな運動したんだよ。車内だぞ車内って感じですよ。

まぁバイクを止めた駅のそばまで電車はもう来ていまして、車内は随分空いていたんですけれど、混んでいる間中、腕組みしながら眉間にシワを寄せて(下手したらヴァーヴァーとイビキをかきながら)、だらだら汗流しているデブ(僕だってばよ)を見て、他の乗客はどう思っていたのかなーとか考えると、今度は別の汗が流れそうですよね。


で、そんな汗かいたまま適当な処理も出来るわけもなく、バイクで家まで帰ったものですから、着いたときにはすっかり冷え切ってまして(気化冷却+汗吸った衣類が普通に冷えた)……



案の定、いま風邪引いてます。
(だから電車はキライなんだよー……)

文中に「睡眠時は体温が高くなる」という表現がありますが、睡眠中の体温は低下するそうです。石原さん、どうもありがとうございました!


[ 2004年02月23日-20:06 ]  



髪を切る日(by 槇原敬之) -1-


髪を切りました。

前回までのあらすじ

デブはウザい。さらに長髪はもっとウザい(松本引っ越しセンターのフシで)。その信念を貫き通して短髪を貫く春九堂。しかし同じヘアスタイルにも飽きが来始めた彼は、短髪にバリエーションを求め、インターネットで検索を開始した。

――キーワードは「短髪 ヘアカタログ

どういうわけか目の前に繰り広げられたのは目眩くゲイ・ワールド。調べれば調べるほど、ソッチに染まり往く春九堂。そして「たんぱつ」と入力するだけで、漢字変換ソフトの入力省略変換候補に「短髪野郎祭」という文字が躍る頃、彼は決意する。

――それならソッチ系のお店で切ってもらえばいいんじゃん。

好奇心と自分(のヘアスタイル)を変えたいという意思が導いた、間違った決意は、一体どこへ向かうのであろうか……。


というわけで、ソッチ系の専門店を発見したところまではよかったんですが、都合が合わず結局その店の予約はしないで、別のところで髪を切ることになったんです。

で、別のところといいましても、いつも通っている床屋さんではないんですよね。昔の知り合いに駄目で元々(メールアドレス変わってる可能性が大なので)という感じで、相談のメールを出したんです。あ、ちなみにその「昔の知り合い」というのは、おゲイな方なんですけどね。

え?なんでそんな人と知り合いかって?……まぁまぁ人生は謎に満ちているものなんですよ。ハハハハハ。

そんな余談はさておき。メーラーデーモン食らうかと思いきや、帰ってきたのは「おひさしぶりこー(はぁと)」から始まる、超絶ハイテンションなメールでした。文面を読み進めていく内に、僕の中には「メーラーデーモンの方がよかったんじゃないか」という想いが沸いて出てきました。それも結構な勢いで。


――メールに書いた相談。それは即ち「○○さんのお知り合いで、デブのヘアスタイルをモテモテ短髪にしてくれるような美容師さんとか理容師さんいないッスか?」というもの。そして彼からの返事は「あたしも立ち会うから一緒に行きましょっ!」という無意味にサービス満点なものでした。やっぱりメーラーデーモンの方が(以下略)。

そういうわけでして、先週の土曜日に久しぶりに会う友人と待ち合わせをして、行って来たんです。お店に。あ、いや理髪店ですよ?しかも微妙に風邪っ引きの状態のままだったんですよね。風邪で意識朦朧としているような状況がたたって、まさかあんな事になるなんて、その時は思いもしなかったんです……。

都内某所にある、その店。仮に名前を「バーバー バーバラ」としておきます。そして……そこで僕は……僕は――


<以下次回>


[ 2004年02月25日-16:14 ]  



髪を切る日(by 槇原敬之) -2-


髪を切りました。

前回までのあらすじ

銭の花は白い、けどその根は血のように赤いんや!というくらい、デブはウザい。でもデブの長髪はもっとウザいんや!(細腕繁盛記のフシで)。その信念を貫き通し、短髪をキープし続ける春九堂。しかし同じヘアスタイルにも飽きが来始めた彼は、短髪にバリエーションを求め、インターネットで検索を開始した。

――キーワードは「短髪 ヘアカタログ

どういうわけか目の前に繰り広げられたのは目眩くゲイ・ワールド。イッツアレインボーワールド。イヤッフー!ハッハー!(壊)

短髪を求めて調べれば調べるほど、ソッチに染まり往く春九堂。そして「たんぱつ」と入力するだけで、漢字変換ソフトの入力省略変換候補に「短髪野郎祭」という文字が躍る頃、彼は決意する。

――それならソッチ系のお店で切ってもらえばいいんじゃん。

好奇心と自分(のヘアスタイル)を変えたいという意思が導いた、間違った決意。ていうか、そもそも最初は「ソッチ側の方に間違えられるようなヘアスタイルは避けたいなぁ」という考えのハズだったのに。

どうしてどうして僕たちは出会ってしまったのだろう〜♪とリフレインが叫んでしまったりするくらいの、間違いっぷりである。初志貫徹ならぬ初志忘却横転側転急転回だ。そう、これは事故。英語で云うならばハプっ……ハププっ?……ハ、ハプニング?――とにかく、そういうヤツだ。

やはりBGMにカルチャークラブの「カマカメレオン」をかけていたのが間違いだったのだろうか。

――カーマカマカマカマカマミーリーオーン♪
(本来は Karma karma karma karma karma chameleon である)

ぬぅ。空耳かも知れないが(明らかにそうだ)100万もカマがあったら、そりゃ事故もおこるというものではないか。諦めるしかない。そうだ、仕方ないんだ。彼は間違っていない。ぼくまちがってないよ。まちがってない。ほんとだよ(思考停止気味)


とにもかくにも、第2段階として春九堂が選んだ手段は、ソレ専門の店を探し当てるということだった。しかし見つけた店に予約の問い合わせをしたところ、スケジュールがあわず断念。

そして春九堂は第3段階の手段、秘策中の秘策に遂に手をだした。それは数年前に知り合った、おゲイの方――仮に名前をヒロ君としておく――にメールを出すことだった。

「どこか短髪が得意な、おゲイな理容店しらない?もしくは、そういうお友達いない?」

と。

ためらいがちに送信ボタンを押した春九堂。だが、まだメールアドレスが機能しているのかも、そもそも生死はどうなのかとかすらもわからない状況なのだ。

しかし春九堂は、メールの不達を告げるメーラーデーモンによって「そんなアドレスねーヨ」と云われることを、どこかで期待していたのだった……。

だが数時間の後、春九堂が受信したメールは、冒頭の挨拶が「おひさしぶりこー(はぁと)」で始まる、超絶ハイテンションなメールであった。文面を読み進めていく内に、春九堂のの中には「メーラーデーモンの方がよかったんじゃないか」という想いが湧く。それも結構な勢いで。

しかし下り坂を転がり始めた「運命の輪」は、結構いい感じで加速しはじめていた。しかも進行方向は、当初の予定からは、かなりあさって気味だ。

既に止まる術を喪失してしまった「運命の輪」は、春九堂を乗せて一体どこへと向かうのであろうか……。



……彼女?、通称「ヒロ君」とは僕が彼……彼女?を呼ぶときだけのあだ名なんです。ウイッグをつけ、化粧をして煌びやかに接客するときの「彼女」の名前が「ヒロコ」というわけですね。

でも僕と「彼」は「客とスタッフ」という関係ではなく、ごく普通の友人関係、というかお互いに「プロレス」という趣味で意気投合し、店がはねた後に飲み歩くという「男同士」の関係だったんですよ。だから僕は彼の望むままに「ヒロ君」と呼んでいたんです。で、彼は僕のことを「春(しゅん)ちゃん」と呼ぶんですな(笑)。(※コレは勿論サイト上で公開する為の便宜的処置であって、実際はお互いの名をモジっている呼び方ですぞ)

ヒロ君は僕のことをいたく気に入ってくれていまして、それがその、まぁアレだ、うん、ほら男同士の友情だけではなく、その向こうの「彼のエリア」の琴線にふれてしまったこともあったらしく、何度かお誘いを受けたりしたこともあったが、僕がノンケであるという理由から、涙ながらに自分で、その心を閉ざしたりということもあったりしたとかしないとか。げふごふ。結構仲が好かったりしたんですよ。


さて、それ故なのか、久しぶりに連絡したにも関わらず、ヒロ君からのメールは至って好意的でして、お店を紹介してくれる上に、「あたしも立ち会うから一緒に行きましょっ!」という、実に彼らしい無意味にサービス満点なヤル気をみなぎらせたものでした。

で、彼……彼女?の紹介してくれる店というのは、一般的なお店ではなく、気に入った客の予約しか受け付けない個人経営のヘアサロンとのこと。腕の方はもうお墨付きで、何人も常連客がいて、彼……彼女?も、その一人だというんです。

そういうわけで週末の約束を取り交わした彼らは、都内某所駅前で待ち合わせをすることになったんです。しかしここで問題が発生。実は彼……彼女?と最後に会ってから、春九堂は随分と太ってしまって……いや巨大化してしまっていましてね。印象も随分変わったであろうから、お互いにすぐにわかるかどうかは微妙だったんですよね。

でもヒロ君……ヒロコちゃん?は、すぐにわかったようでした。改札から手を振りながら近づいてくる彼を見て、僕も「あんまりかわってないなー」と、久しぶりの再会にちょっと嬉しくなったりしましたね。

ヒロ君は、黒のスラックスに、サテンかシルクのような白の開襟シャツ。赤のカーディガンを羽織り、黒のショールをかけていまして、当たり前のことではありますが、お店に出ているときとは全く違う男らしい格好です。一見、長身痩躯ですが、中は趣味のウエイトトレーニングとボクササイズで鍛え上げられているんですよ、これが。まぁ普通に「いい男」でして……まぁ、女の子が放っておかないと思える外見です。

で、対して僕はといえば、風邪気味だったもんですから着ぶくれ状態。自分で作った太々君パーカーに下はカーキのペインターパンツ。カーキ色のコットン地のN3Bという出で立ち。フードについているファーがテディベアの毛みたいな色なので、余計にクマっぽいんですよね。おまけに鼻づまりでハァハァしちゃってるもんだから、余計にアレな感じでして……。まぁ、公安関係の方とか、猟友会の方が放っておかないと思える外見です。


しかしまぁそんな外見の彼が嬉しそうに笑顔で近づいてきて第一声が、やっぱり「春ちゃーん!おひさしぶりこー!」ですからね。ホントかわってねぇ。まぁいいんですが(笑)。ですが、その後が、もうエンジンフル回転

「んもーすっかり丸くなっちゃって!ますますボク好みじゃないのー!どうしちゃったのどうしちゃったのよもー!このモコモコ(フードのファーね)かわいいー!くまたん?ね、くまたんイメージしてるの?もーかーわーいーいー!(フードをかぶせたり脱がせたり)あらやだ髪の毛相変わらずぴょんぴょんねー(髪の毛つままれたり)。あらもう、おなか相変わらずかたいわねー!んもーさわっていい?ね、さわっていい?(既にさわってる)でもボクも負けてないわよ?みる?みとく?脱いでいい?ね、脱いでいい?


誰か彼を止めて。



風邪で朦朧としているものですから、抵抗も出来ずとりあえず相づちを打ちながら、されるがままだったわけですが、一通り旧交を一方的にあたためられた後、近況なんかを話しつつも、なんとか話題を切り替えて、お店の話になったんです。

なんでも、その理髪店「バーバー バーバラ(仮名です)は、要予約な本格的な専門店。基本的にはスタイリストとしての仕事の方が多いらしく、紹介を受けて自分のお店でやることもある、という程度。場所なんかは基本的に一切非公開。でも腕は確かだし、勿論ご本人もおゲイな方。そして、なによりもSG系がお好みとのこと(※SG系=スーパーガッチリの略。筋肉質で体の大きなガッチリ体系に脂肪が蓄積するとSGになる。デブとは違う。デブはムチポチャないしポチャという)

あーそれじゃただのデブの僕じゃ、やってもらえないかもねーなどと云ったのですが、「春ちゃんなら絶対気に入られるわよ!大丈夫!自信あるの!任せて!!」と無闇に自信たっぷりなヒロ君。意識朦朧としている中でも思いましたね。「なんだろう、この嵌り込んでいく感覚って」と。

そしてとりあえずタクシーを拾うと、僕らは早速「バーバー バーバラ(仮名です)」に向かったんです。

都内某所の、やや入り組んだ瀟洒な住宅街の一角に、その店はありました。白い小さなアトリエのような空間。一見するとお洒落な民家なのですが、藤か蔓薔薇だかのからんだ白いパイプアーチを抜けると、しっかりとそこには「カット・ヘアメイク バーバー バーバラ(仮名です)の看板が。

そしてヒロ君がチャイムを押すと、インターフォンからややハイトーンな男性の声が返事をしました。「あー待ってたよー。今あけるねー★」


そして僕は、ようやくココまで来て気づいたのです。ノンケの僕。お店にまで出てるプロフェッショナルなオネエ系おゲイなヒロ君。そして今扉を開けた向こうから現れるであろう、スタイリストでSG系好きなおゲイのバーバラさん(仮名です)


vs



あはは。なーんだ。



もう後戻り出来ないんだね。



<以下次回>


[ 2004年02月27日-16:52 ]