じーらぼ!言戯道場 (G-LABO Gengi-DOJO) 管理人:みやもと春九堂(しゅんきゅうどう)


【過去のつぶやき】
 2007年07月の【家元のつぶやき】のバックナンバーです。

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2007年07月のバックナンバー

ビリーズ・モンスターハント #3(2007年07月13日-14:52)


ビリーズ・モンスターハント #3


俺の名前はビリー。ビリー・Bだ。以前はモッティーという名前だったが、クローズドβテストが終わり、オープンβテストを経て、正式サービスになってからというもの、名前を変えた。ああ、テストについてだが俺にはなんのことかよくわからない話だ。

それだけじゃない『ビリー・B』この名前も既に過去のものなんだ。オープンβテスト時に作った俺の籍は、サーバー収容人数オーバーということでログイン出来なくなってしまった。

結果俺は第2サーバーに移転。名前も改めて、イチから新しい人生を歩むことになった。まぁ自分が今ナニを話しているのかよくわからないのだが、とにかくそういうことなんだ。


そう、俺の名前はビリー。ビリー・B’(ダッシュ)だ。以前はワークアウトの世界で超一流のトレーナーとしてハリウッドセレブにも人気絶賛なプログラムを行っていた。テコンドーとボクシングをあわせたマーシャル系ワークアウトも得意だ。

そんな俺だったが、ひょんなことから古くからの友人達に誘われて、モンスターハントの世界に身を転じることになった。モンスターハント。それは様々な武器、そして体術と経験、知識を活かし、自分たちより遙かにでかいモンスターどもを狩るスリリングな職業だ。

俺の仲間を紹介する。まずは俺をこの世界に引っ張り込んだ張本人のミズ。銀色の髪をツインテールにしたロリータガールだ。だがそんな外見とは裏腹に、彼女の使う片手剣はとんでもない攻撃力を有している。うかつに近寄れば痺れたり毒を喰らわされたりした挙げ句、全身をなます切りにされること請け合いだ。ちなみにリアルな中身は男だが、そんなことはどうでもいい。大体中身ってなんのことだ?

そしてゴンザレス。古くからのブラザーである彼は俺と同じ褐色の肌を持つウォリアーだ。陽気な名前に反して、ヤツがブン回すハンマーはまさに一撃必殺。うかつに近寄ればハンマーの衝撃に巻き込まれ、天高くこの世にグッバイ'07になるだろう。実際何度か吹っ飛ばされている。最近は弓も扱い始めたらしい。

最後に紹介するのが我らが猟団のリーダー・ナグだ。この世界では長いキャリアを誇り、様々な武器の扱いに長けたエキスパートだ。異国の反り身の大剣「太刀」を操ればドラゴンの尻尾を易々と断ち斬り、弓を使わせればロビン・フッドはだしの必中精度を見せる。挙げ句最近はガンランスで砲撃に近接にと大暴れする頼りになるヤツだ。


そこに新参として入ったのがこの俺、ビリー・B’ってわけだ。愛用している武器はヘヴィクロスボウ。人力ではひけないほどの強烈な弦を使った高火力の遠距離兵器だ。愛称はナンシー。最高に惚れ込んだ女だが、こいつはとんでもないじゃじゃ馬で、いくつか問題がある。

一つには構えたが最後、走り回ることも出来ない重量であること。いくらワークアウトの世界で名を馳せた俺とはいえ、この重量には閉口してしまう。さらに装填した弾を撃ち尽くした後も問題だ。次弾の装填にひどく時間がかかる。その間に俺は何度吹っ飛ばされたかわかったもんじゃない。

だがそれらの欠点を除けば、極めて頼りになる相棒だ。…いや、まぁもう一つ大きな問題もあるのだが、それはおいおい語ることにしよう。


今俺はこれを自室で書いている。広くなった部屋、オレンジになった名前(※HR30以上になった証だ)、愛用の八代目ナンシーを撫しながら思い出すのは、この世界に身を投じたばかりの頃のことだ。あれから長い苦労を経て、今の俺がある。

『大老殿への出入りを許された上位ハンター』。それが今の俺だ。だがまだこれでようやくハンターの入り口に立ったに過ぎない。俺なんかはまだまだひよっこもいいところだ。

ほろ苦い結果に終わったデビュー戦。最初の好敵手・大猪との激闘の日々。初めての単独出撃。怪鳥の悪夢、蟹地獄。初めてのドラゴンとの遭遇、砂漠への出撃。そして…『軍曹殿』との出会い。

思い出すことはいくつもあるが、俺の記憶がこれ以上の血と硝煙の臭いに曇らされて忘れ去ってしまう前に、少しずつ書き記していこうと思う。


デビュー戦については以前に書いたことがあるので省略するとしよう。2度目の出撃についても、だ。大猪野郎ことドスファンゴ。そいつが俺にとって最初の好敵手だった。初めてヤツと遭遇したとき、俺はそのデカさにビビったもんだ。そしてあっさりと宙に投げ飛ばされ、キャンプ送りになった。

おっと、キャンプ送りとは体力が底をついた状態のことだ。強制的に野営地に搬送されてしまう。パーティー全体2度までは許されるが3度目はない。任務失敗で酒場に戻されてしまうというのが、この世界の掟だ。

それでもナグ・ミズと3人で出撃すれば敵一体に対して3人構成になる。近接アタッカーが2名、そして中・遠距離から狙う俺というコンビネーションで、やがて大猪に負けることはなくなった。


パーティーでのミッションにおいて何よりも大切なことは『キャンプ送りにならない(死なない)こと』だ。高台にあがってしまえばヤツお得意の突進も当たることはない。ヤツの頭に、顔面に、脇腹に、ケツにと、発狂したように銃爪を掻きむしっては再装填し、再びトリガーを引き続ける。最初はそれでよかった。ナグもミズも「上々だよ」と笑ってくれた。

だが、俺もわかっていたんだ。これじゃあいけないのだと。俺の愛銃・ナンシーは遠距離兵器だ。だがそうはいっても射程距離というものがある。近ければ威力は増し、適正距離ならば倍近くのダメージを与えることもできる。だが遠ければ威力は減衰し、場合によってはダメージを与えるどころかはじかれてしまうこともあるのだ。

高台からヤツらのケツを射抜く。これなら確かに死ぬことはない。だが、こっちに近寄ってこない限り、ダメージを与えることはできない。こんなことでいいのか?答えは数秒さえ待たずに出る。「No」だ。

自ら流した血と返り血で身を汚しつつも、敵を確実に屠る近接の二人に対して、俺はナンシーの移り香を身に漂わせるだけ。そんなことでハンターでございなんて云えたもんじゃあない。だから俺は高台から、その身を降ろすことにした。男に、そして「ハンター」になるべく。


デビュー戦で俺を転がしてくれた猪ども。ヤツらとの戦いで「適正な距離」はわかっているつもりだった。銃弾(矢)が当たったときのダメージフラッシュが最大になる中距離。ここだ。照準越しに大猪野郎のケツが広がる。外す距離じゃない。外すタイミングじゃない。ここからが俺の、本当のハンターライフのはじまりだ!

俺は弾倉が空になるまでナンシーに嬌声を上げさせる。すぐに次の弾を装填して構える。もちろん猪野郎はこっちに向かって突進してくるわけだが、俺の方に振り向いた隙だらけのケツにナグとミズが攻撃をたたき込む。

悲鳴を上げてひるむポーク野郎。だがそれでも突っ込んでこようと足を踏みならしている。突進のサインだ。だが俺はもうそこにはいない。ナンシーを背負い込んでその場を全速力で離れているからだ。

ポーク野郎の側背に回り込む形で位置取りをすると、俺は再びナンシーを構えた。弾丸は十分に入っている。前回り受け身で素早く一回転。距離を詰める、やや適正距離からは遠いがかまってはいられない。俺はナンシーとともに声をあげて回頭中のヤツに鉛を叩き込む。

ケツに1発、腹に3発、顔面に2発。最後の一発は、突進してくるヤツの顔面にクリティカルした。ヤバい!!銃をしまう間もなく俺は横に転がり込んだ。1回、2回、立ち上がると五体には全く異常がない。かわした…かわせたんだ!

しかもナンシーはまだ俺の手の中にある。遙か彼方で回頭中のポーク野郎を見据えながら、俺は次弾を装填した。走ってきたナグとミズがポーク野郎を容赦なく斬りつける。みればヤツは悲鳴を上げて逃げ出しはじめている。弱っているんだ!

エリアの端からヤツの姿が消えると、ナグが叫ぶ「寝に行くつもりだ追うぞ!」。そうヤツらモンスターはある程度のダメージがいくと巣穴に眠りにいったり、水場に水を飲みに行ったりして体力を回復するのだ。待ち伏せされる危険性もあるが、弱っているならば大きなチャンスでもある。


エリアを知り尽くしたナグの先導でヤツのねぐらに向かう。走りながら俺はいつになく自分が昂揚していることに気がついていた。確かな手応えがあった。落ち着いて適正距離から射撃すれば、それは確かなダメージになるんだ。構えたままでは鈍重な動きになってしまっても、受け身で素早く移動することで回避もできれば間合いを詰めることも出来る。

考えてみれば当たり前のことだ。だがそれが今までの俺にはできていなかった。高台に登って安全圏からちょっかいを出し続ける。メインの攻撃は近接のアタッカーまかせ。それはまるでママのスカートの後ろから紙屑を投げ続ける甘えたガキのようなもんだ。

だが、今の俺は違った。戦いのファーストステップを確かに踏んだのだ。はやる心のままに俺は密林を駆け続けた。


見覚えのある風景。そこは密林の奥にあるヤツのねぐらだ。遠くに野郎のデカケツが見える。ナグの指示で全員がアヒル歩きで接近する。奇襲をするつもりなのだ。フィンガーサインで近接二人が先に近づき、俺は適正距離で銃を構えた。さっきの手応えがまだ両の掌に残っている。いける、いけるはずだ。

緊張する空間の中、ナグが抜刀するやポーク野郎に斬りつけた。続いてミズも斬りつける。血飛沫と共に悲鳴が密林にこだまする。だが次の瞬間、俺のスコープに映ったのは怒気をみなぎらせたポーク野郎の豚面だった。

こっちに来る!――今までの俺ならばあっさりと銃をしまい込んで高台目指して一目散に駆けだしていただろう。だが今の俺は違う。じっくりと狙いを定めて機会をまつ。2発、いや3発か。この間合いならば、それだけ喰らわせたら逃げればいい。それからまた側背に回り込んで鉛を喰らわせてやる――。


ポーク野郎の突進を待つ俺。



遠くから聞こえるヤツの鼻息に加えて、どこからか耳障りな羽音が聞こえたような気がした。だが今の俺には関係ない。照準の向こうでヤツが走り出した。適正距離まであと3秒くらいか。1秒…今だ!1発…2はぶぐぉぁっ?!何が起きたかまるでわからなかった。突如背中に感じた強烈な痛み。そして全身に一気に衝撃が広がる。

2秒…全身に電流が走ったような感覚。俺は思わず銃を落とし、倒れ込んでしまった。身体が痺れて動かない。まるで動けない。

3秒…わずかに残った視界の向こうからはポーク野郎がものすごい勢いで走り続けてきていた。

3.2秒…目と鼻の先の距離。

3.5秒…そして俺は全身にとんでもない衝撃と激痛を感じながら地面を転げ回った。ポーク野郎にはねとばされたのだ。

衝撃で全身の痺れもとれたらしい。よろよろと起きあがるとヤツを探す。撃たなければ。ナンシーを構えたままヤツを探していると再び衝撃が俺の身体を襲った。水泳のターンよろしくポーク野郎が戻ってきて俺をまたはじき飛ばしたのだ。


ランゴスタに麻痺らされた俺。



突進ごっつぁんです。



起きあがると、目の前で星が回っている。脳震盪だ。連続で大きな衝撃を喰らえば当たり前のこと。こんな状態でもう一度喰らってしまえば、キャンプ送りは免れない。やはり俺はまだ、ただの足手まといなのか…。

と、全ての覚悟を完了しようとしたとき、密林の奥から断末魔が響き渡った。ゆがむ視界の向こうでナグとミズが刀を納めている姿と大猪が倒れ伏す姿が見える。仕留めたんだ。俺は頭を振って意識を戻すと、早速猪を解体している二人に話しかけた。


「すまん、結局足手まといになっちまって…だがヤツにとどめをくれてやろうとしたときに、突然倒れちまったんだ。一体俺はどうなっちまったんだか」

「ああ、見えていたよ。ランゴスタ。どこにでもいる巨大な羽虫さ。あいつのケツについている針に刺されると、全身が麻痺しちまうことがある。おおかた後ろからやられたんだろう。ほら」

ナグが指さす方向を見上げると、そこには確かに見覚えのある虫がいた。記念すべきフィニッシュショットのチャンスを逃した俺は、遠くを飛ぶ虫野郎に向かって何度も愛銃を吠えさせた。

皮肉にも高台からの遠距離射撃に慣れていた俺の腕は、確かに虫野郎に命中させて粉微塵に吹っ飛ばしたが、その光景を映す視界の歪みは、脳震盪の後遺症によるものではないことだけは確かだった――。
というわけで、長らくお待たせしました。身体を起こしていられる間にちまちま書きためたり、病院のなげー待ち時間に携帯のメモリにストックしたりしていた『ビリーズ・モンスターハント』の続編です。

クローズβテストからオープンβテストを経て、正式サービスの開始。気がつけばHR(ハンターランク)31になっています。やり過ぎだという声も聞こえる昨今ですが、他にやることもないんですよね…。

なにしろ寝ていても起きていても痛い、背もたれに思い切り身体をもたれさせていれば、なんとか椅子に座っていられるという状態。ですが、マウスもキーボードも身体を起こさなければ使えないわけで、そんなに維持してもいられないもんですからね。せいぜいコントローラー使って、スカイプでしゃべりながらゲームでもやるのが関の山って感じなんです。

そんなわけで、病院の待ち時間が長ければ長いほど続編が続きますが、健康に戻ったらパッタリ止まるかもしれません(笑)。ちなみにサーバー2の自由区でやってます。見かけたらお声がけくださいね。



まぁ今更どうでもいいんですが
『ビリー』って名前もかなり今更感が
漂う感じになってきましたよね。

(まぁもうこの名前に愛着あるんでいいんですが(笑))



[ 2007年07月13日-14:52 ]