【過去のつぶやき】
2008年07月の【家元のつぶやき】のバックナンバーです。
感想など、メールか掲示板の方にいただけると、非常に嬉しいです。メールは送信する前に、こちらを御一読下さいませ。 |
2003年
|
|
|
● 初恋の再会(2008年07月26日-05:02)
世間一般的に『萌え』とは、主に架空のキャラクターに対して性的ないし嗜好的な好意を持つ事を意味するわけですが、この『萌え』という表現などまだなかった頃に、僕の『初萌え』はありました。
出会いは小学校二年生頃ではないでしょうか。相手は漫画のキャラクターでした。といっても僕が小学二年だった頃、つまり1982・3年頃に流行していた漫画のキャラクターというわけではありません。キャラクターとしてメジャーだったわけでもなく、別の世界ではある意味メジャーな存在、そんな少女が僕の『初萌え』の相手だったんです。
本のタイトルは『恐竜化石のひみつ』。当時の小学校の学級文庫や図書室に寄贈されたり購入されたりしていた『学研まんが ひみつシリーズ』の一作でした。当時『ひみつシリーズ』といえば、学校においてある数少ない漫画だったこともあり、またその内容も非常に面白く興味深いものばかりだったので、大変な人気シリーズでした。
どういうわけか当時は恐竜ブームだったことも憶えています。郷里の長野にも、アスレチックと恐竜の巨大模型(一応等身大ということになっていたような)が設置された『恐竜公園』などという屋外施設が出来たりしていましたしね。なんだったんでしょう?
ちなみに本の内容はというと、文字通り漫画仕立てで恐竜の化石を紹介しつつ、実際の恐竜がどんなものだったのかなどという事を紹介していく知識まんがだったわけなんですが、その中に化石学の母ともいうべきイギリスの化石研究者、メアリー・アニングのエピソードがあったんです。
イギリスの南部沿岸に生まれたメアリー・アニング(1799-1847)は10歳にして両親を失い、幼いうちから採集した化石を観光客に売ることで生計を立てていた人物です。やがてイクチオサウルス・プレシオサウルス・ディモルフォドンなどの、世界初となる全身骨格化石などを発見したりすることで、当時はまだ未発達であった古生物学に大きく貢献したという市井から生まれ出た研究者であり、化石学の第一人者でもあります。
そんな彼女のエピソードが、学習まんがらしい三・四頭身のキャラクター達が元気に動き回っている作中の再現ドラマ的な感じで、突然劇画タッチで登場するんですよね。貧しくて身なりもあまりよろしくない少女メアリーが、化石を拾い集めては観光客達に「珍しい石はいりませんか?」と売り歩いているという姿です。
まぁここまで細かく書くとさすがにお気づきになるかもしれませんが、僕の『初萌え』の相手とは、その作中劇画のメアリー・アニングその人だったんですね。なんとも切ないその姿に、実にドキドキしながら読み進めた記憶があります。多分全数百ページの中の2・3ページのエピソードだと思うんですけどね(笑)。
そんなわけで、その本で本来得るべき恐竜化石のエピソードことなど全く頭に入らず、メアリー・アニングの姿だけがしっかり焼き付いてしまったわけですが、25年以上が経った今になって、ふと思い出して検索してみたところ、なんと沖縄の古書店で在庫を確認。速攻で購入手続きを取りました。
そもそもがこの『ひみつシリーズ』は愛読者も多く、当時のものは当然ながら絶版。90年代半ばには内容も改訂され、数年前には漫画家さん達も一新されてしまい、全くの別物になってしまっているので、当時のものを手に入れるのはなかなか大変なんです。
特に先年お亡くなりになった内山安二さんの手になる作品群、『できる・できないのひみつ』・『コロ助の科学質問箱』・『世界の国ぐにびっくり旅行』などは、ヤフーオークションなどでもかなり高額で取引されています。往事の定価で1000円程度だったと思うのですが、それが4・5000円はザラですからね。
タマ数も多くないものでしょうから仕方ないことだとは思いますが、それにしても思い入れから発生する情熱の暴走は凄まじいものがあるな、と思わざるを得ません(笑)。
ちなみに僕が購入した『恐竜化石のひみつ』はごくごく普通の値段でした。ありがたいことです。あーそこそこ、マイナー過ぎて人気がないんだとか云わないように。人の初萌えというか初恋の相手に対してナニを失礼なことを。
そんなわけで、一昨日購入手続きをしたので、明日か明後日には到着するわけですが、読んだのは小学校二年生の時の学級図書でのみですから、実に25年ぶりの再会です。いや、胸が高鳴りますな。
しかしそこまでの情熱がありながら『恐竜化石のひみつ』を、当該ページ以外の記憶がまるでないあたり、なんとも僕らしというかどうしようもないですね。それ以前に、歴史上の偉人に萌えるとかどうなんだっていう色々もあるわけですが。
まぁなにしろ同系列の『学研まんが 人物日本史』シリーズの『坂本龍馬』の寺田屋襲撃事件の段で、お風呂から裸で飛び出してきて襲撃を知らせた、おりょうさんのシーンで興奮してたようなヤツですから、もうなんか色々どうしようもないんですけどね!
あーこんな事を書いていたら、全部シリーズを読み返したくなってきちゃいますね(笑)。入手が難しいというあたり尚更にかき立てられるのは、あまりよくないクセですが。
そんなわけで、皆さんも自宅や実家にこれらの『学研まんが』シリーズがあったら、是非読み返して見て下さい。そして、ご不要でしたら是非譲って下さい(笑)。
[
2008年07月26日-05:02
] ▲
|
|