じーらぼ!言戯道場 (G-LABO Gengi-DOJO) 管理人:みやもと春九堂(しゅんきゅうどう)


【過去のつぶやき】
 2005年05月の【家元のつぶやき】のバックナンバーです。

 感想など、メール掲示板の方にいただけると、非常に嬉しいです。メールは送信する前に、こちらを御一読下さいませ。
2003年
  06月 07月 08月
09月 10月 11月 12月







2010年
03月 06月 08月


2012年
01月 06月 08月


2014年
02月 08月

2015年
12月


2017年
03月 04月





2005年05月のバックナンバー

頭から離れない。(2005年05月03日-10:29)
会話の妙。(2005年05月06日-09:13)
僕と僕の足の角質との確執。 -1-(2005年05月09日-01:04)
僕と僕の足の角質との確執。 -2-(2005年05月09日-12:52)
第1回楽天ポインダー!抽選会(2005年05月10日-21:39)
僕と僕の足の角質との確執。 -3-(2005年05月12日-13:32)
僕と僕の足の角質との確執。 -4-(2005年05月19日-11:43)
2万本ダーツ計画。(2005年05月23日-07:34)
トイレのある風景。(2005年05月24日-09:22)
Sure−CUPへの道。(2005年05月26日-15:08)
今まで本当にありがとう。(2005年05月27日-13:28)
日曜日のシー者。(2005年05月30日-09:32)
あげさげチャッカーズのレッツゲッツガッツダーツ大作戦 -2-(2005年05月31日-22:05)


頭から離れない。


ユビキタス 【ubiquitous】

同時に,どこにでもあること。
〔コンピューターを意識することなく現実生活のいたるところで利用できるような環境という意味でユビキタス-コンピューティングなどが注目されている〕


ユビキタスコンピューティング 【ubiquitous computing】

いつでもどこでも,利用者が意識せずとも,情報通信技術を活用できる環境のこと。情報通信機器が現実生活の至る所に埋め込まれ,複雑な操作がなくともそれらが有機的に活用できる環境をいう。「買いたい商品を持って店を出ると,自動的に代金が引き落とされる」など。
〔1988 年,ゼロックス・パロアルト研究所のマーク=ワイザー(Mark Weiser)が提唱した概念〕


テレビメディアなどの音声や雑誌や新聞、またはWebなどで見る文字による「耳慣れない言葉/知らない言葉」と、身近なところから入ってくる文字や声による言葉では随分と印象が変わるモノです。

というよりも、前者による言葉は、意味がわからないタームが入ってきても流してしまえるのですが、後者は意味がわからないタームが入ってくると自動的に想像力を駆使して、自分なりに言葉の意味を解釈しようと努力し、さらにそうすることによって、そのタームを挟んだ前後の文章の意味を構築して受け取ろうとする――そんな違いです。

ひょっとしたらそれは、洗練されたアナウンサーやナレーターによるものではない故の微妙なイントネーションやアクセントの違いによるものなのかも知れませんし、フォントに依存しているわけではない手書きの妙たる文字への印象かもしれません。

また、聞き慣れた友人・知人の声や文字によって入ってくる言葉と、誌面やテレビ・ラジオ音声によるものでは、会話という双方向性のある場面と、視聴という一方的受信という場面の差もあるわけですので、どれが理由なのかは定かではありません。ですが、妙に気になってしまうんですよね。


で、先日のこと。編集さんと打ち合わせをしていた時に出てきた言葉が上記の「ユビキタス」でした。この言葉はコンピューター業界の新語らしいのですが、ラテン語の形容詞が基になっているだけあって、ちょっと特殊な語感があります。

CPU
ハードディスク
ネットワーク
ユビキタス
インターネット

コンピューター業界関係の話をしていて、ぽろっと出てくると「ん?」となるような違和感があります。そもそも「ス」と抜ける発音で終わるのにも違和感があったりするんです。

というのもコンピューター業界用語は基本的に英語がメインですので、「ス」で終わる言葉というのは非常に少ない。英語表記ならば一般的に複数形の「s」があるわけですが、そもそも複数形表記するものが少ない。

固有名詞としては、「x」さらには「th」で終わるモノが多く、他を頑張って探してみても「ce」「se」で終わる単語が多いわけです。で、それらを並べてみると、Case・Office・x-box・Bluetoothといったところ。

これらを見てみると発音では「ス」の前が「ー」であったり「ァィゥェォ」であったり「ッ」であったりというパターンが多く、「ユビキタス」という発音の並びにはやはり違和感があります。


逆に、この「ユビキタス」の語源となっているラテン語をよく使うのは心理学やら医学やら哲学やらの方向になるわけなのですが、そちらの方面でよく見かける言葉の中においてみると、こんな感じになります。

エロス
パトス
ユビキタス
タナトス
グノーシス

ね?いやまぁこれはギリシャ語やラテン語を語源に持つ、そっち方面の言葉で「ス」で終わってるのを集めたからということもあるのですが、英単語の方での「ス」に繋がる文字・発音の並びの原則は全く適用されず(言語形態がそうなのだから当たり前ですが)、それによって「ユビキタス」という単語が極普通に馴染んでいます。いやまぁそちらの言葉なのだから当たり前なんですけどね。


とにかく「ユビキタス」という言葉は、こんな風にして「コンピューター用語なのに、コンピューター業界の話題の中で出てくると妙に違和感を感じる言葉」として僕に認識されていたわけなのですが、前述した通り受信一方通行のメディアから読み取っている時は意味がわからずともわからないまま流していたのに、編集さんとの会話で出てきた瞬間から、もう気になって気になって仕方ないわけです。

さりとて正しい意味合いをその場で調べるわけにも行かず、頭の中はちょっとしたパニックです。


ゆびきたす?何語?前後の流れからしてコンピューター用語っぽいな。羅列の中で出てきたから微妙にわからないぞ。いやまてよ、この人独特の言語センスで使っているのかもしれない。ゆびきたす…ゆびきたす…古語か?古語なのか?『いとゆびきたす』、とかそんな感じなのか?

いやなんかそれはさすがに違うっぽい。あ、そういえばユビキタスって仮名文字表記でどっかで見たことあるような気がするな。うんIT系のジャンルだったと思うぞ。いや待てよ。ニュースかなんかで聞いた時の云い方とはちょっとイントネーションが違ったような気がするな。

となると僕が知らないだけで、別の意味なのかもしれない。もしくはダブルミーニングでシャレなのかも!うわどうしよう!本人エスプリが効いて、なおかつウイットに富んだジョークのつもりだったとしたら!やっべえ!超スルーしちゃったよ!

あれか、シャレとかだとしたら漢字変換で日本語の音としての意味でいったのかもしれないな。さっき最先端とかいってたし。先端…先端…指?!指か!
『指来たー!』とかか!!先端に来たのか!あれか、つまりタッチパネルとか、ボタン操作でピッポッパとかSuicaみたいにタッチアンドゴーとか、そんな指に来るような最先端なハードウエア環境かなんかの、そんな感じのものなのか?

いや、『指来た!』とかいって2ちゃんねらーじゃないんだからそんな表現はねーだろ。そもそもスはどこいったんだスは。指来たス…体育会系か…?いやーだとしたら指来たッスだよなあ。そもそもナニが指に来るんだよ。

しかも『来た』って過去形になってるし…あーでも『頭に来た』ってのは『あったま来た!』とかいうよな…『先輩!もう自分我慢できないッスよ!あいつらきたねえことばっかしやがって…
自分もう指来たス!!』…違う、絶対違うわ。

やっべーよ。マジわかんないよ。え?ユビキタスってスゴイの?最先端で、その上スゴイの?うーわもうマジ勘弁。ホントわかんないって。相づち打つのも億劫なんですけど…って、なに?!もうなんなの?!指来たス?湯美来ス?
あ、これ?!ジャノメの湯名人みたいなもん??エステとか健康系!?『コンピューターで適温+清潔なお湯をいつでも満たして、貴方の肌に美を来します』みたいな?!泡のお風呂はバブルスター?!

まぁもうどうでもいいや!今日のところはそれ方面でいいや!なんとなく話通じてるし!帰ったらググル先生にお伺いを立ててみよう!!うんうん、湯美来すで、いとゆびきたすになって、俺もう指来たッスね!はいはい、それで?!」



とまぁこんな感じ。微妙に途中で正解に近いところに着地しそうになっているのがポイントなのですが、いくらなんでも「俺もう指来たッス!」はありません。なんだそれ。なにが指に来たんだ。そもそも指に来てから何が起こるんだ。魔貫光殺砲でも撃つ気か。それのどのあたりがIT系でコンピューター業界系なんだ。




「指来たス(ユビキタス)!!」
※ 上記は間違ったユビキタスのイメージです ※



勿論帰宅してから大至急ググル先生にお伺いを立てた結果、正しい意味を把握はしたのですが、今度は一度イメージづいてしまって、なかなかとれません。いわゆる刷り込みというやつなのでしょう。






「指来たス(ユビキタス)!!」
※ 上記は間違ったユビキタスのイメージです ※





まぁ2度も繰り返した事でそろそろおわかりの方もいらっしゃると思うのですが、せっかくですので、皆さんにも少し僕と同じ目にあってもらおうかな、と思ってまして。ええ。






「指来たス(ユビキタス)!!」
※ 上記は間違ったユビキタスのイメージです ※





そろそろ冒頭に書いた「ユビキタス」の正しい意味は、忘れたり薄れてきたりしたんじゃないでしょうか。






「指来たス(ユビキタス)!!」
※ 上記は間違ったユビキタスのイメージです ※






というわけで、3回繰り返してみましたが、いかがでしょうか。しっかり焼き付きましたか?刷り込み出来ましたか?勿論間違った方の意味で。ま、どんな形であれ、今後どこかで「ユビキタス」の文字や音を聞いて「指来たス」という変換と画像が出てくるようになった人は、僕と同じ負け組ですので、その言葉が出てくるたびに、ちょっとグッタリしたりしてください。






「指来たス(ユビキタス)!!」
(最後にもう一発)



[ 2005年05月03日-10:29 ]  



会話の妙。


最近の僕は人と話すことが好きだ。声に出して会話することが楽しくて仕方ない。もちろん相手と話題は選ぶが、話している時間が楽しい。正確にはそういう「機会」に恵まれているという事なのだろう。「機会」とは、相手と、話題と、場所などだ。

一人で仕事をしていると一日中口を開かないこともある。独り言はあまり出さないほうなので、なおさらだ。電話応対がある程度で、外部とのコミュニケイションはもっぱらメッセンジャーなどになる。だから滅多にやらない「声に出す会話」が楽しいのか、飢えているのかといえば、まるでそんなことはない。


偉そうな事を云ってしまうが、そもそも僕は無駄口や無駄話だけならば、あまり好きではない。昨日見たテレビの話、流行の音楽、ファッション、「流すだけの会話」ならしない方がいい。なにかしら方向性をもっていないとつまらないのだ。僕にとって会話は頭の体操なのだから。

内容が無駄話であっても「会話の相手を笑わせる」というような目的や方向性が定まっていれば、それはそれで非常に面白い。特定のタームや一定のフォーマットを織り交ぜて、無駄な内容はそれに散りばめられる装飾品でしかない。

自分の中で一番やりやすいのは、その場で特定のタームやキャッチボールのフォーマットを即席で作ってしまい、それを軸に話を進めるやり方だ。全く別の内容の話をしているのに、チェーンの様に色々な話題つなげて、軸に戻ってきたりする。しかも数十分から一時間くらいかけて。これがとにかく頭の体操になるのだ。


会話というものは積み木のようなものだと思う。文字が刻まれた形も不揃いで様々な積み木を乱雑に積み上げていった果てに、注意深くみてみると、それぞれの積み木に刻まれた文字が、とある言葉やタームを構成している、そんな会話が痛快だ。そこに笑いがあればなおよい。

アクセントやイントネーション、声色や表情、しぐさ。こういう自己演出の上に成り立つ会話は本当に愉快だ。常にそういう会話が出来る人間でありたい。頭を使わない会話は不要だ。

会話は言葉のキャッチボールはすなわち心のキャッチボール。出来るだけ快なる「タマ」を投げたいし受け取りたいモノだ。タマは霊(たま)であり珠(たま)。心と想いと意志であり、そして宝なのだから。



ちなみにここ最近の僕は
なにかにつけて「おっぱい」の話に
戻ってきている傾向があります。

(まだまだ春ですから…)



[ 2005年05月06日-09:13 ]  



僕と僕の足の角質との確執。 -1-


あしのためにそのいち。

脱字ではなく、ましてや左ワキをえぐりこむようにして打つべしというわけではなく、昨日は一日を足のケアの為に一日を費やしました。

というのも、ここのところ足が痛くて痛くてたまらんかったのです。原因は靴がダメなのと、角質化した足の裏を色々やっていたら悪化の一途を辿ったこと。そしてなによりも、ダーツのやりすぎです。

ダーツは一般的に腕が疲れるスポーツだと思われがちですが、実際には動かすべき腕及び肩及び上半身を支える足にも相当な負担がかかるスポーツなんです。特にダーツを投じる腕側の足、つまり前足に負担がかかります。

というのも、前足のカカトに重心を乗せてしっかりと踏ん張り、なおかつお尻をしめるように両足を内側に引き絞って固定するというのがダーツの基本姿勢。さらに前足の膝関節はロックしますので、カカトにダイレクトに体重が乗るわけです。さらにダーツを投じる瞬間に、腕を振った負荷がかかりますので、さらに負担は大きくなります。

ですので、慣れてくればダーツを何時間やろうが腕や肩に痛みはないのですが、前足(僕の場合は右足)の接地面に著しく負担がかかり、物凄い疲労と痛みを感じる結果になるんです。


GW中はまさにダーツ三昧でして、一昨日もダーツ仲間達と真夜中から明け方までひたすら投げ続けていたのですが、後半は足の痛みでまさにボロボロになり、ダーツ場から出る頃には足を引きずってしまうほどだったんです。

おまけにその日は裸足&サンダル履きという恰好でやっていた為に、角質化していたカカトの乾燥が進んでいたせいか、はたまた疲労でむくんだところに負担をかけたせいか、ひび割れがカカトの肉にまで到達。気がついたらサンダルに血痕がついていたり、朝起きたら布団に血痕がついていたという少々スプラッティーな状態にまでなってしまいました。

そしてスプラッティーなだけではなく、尋常ではない痛みがありまして、カカトに体重を乗せるというか普通に立っても痛い。従ってカカトをつけることが出来ない=ずっと前足底で立ち続け、歩く時も静かに、なおかつヨタヨタと動くという極めて怪しげな風体に。まぁイメージとしては「貧民街時代の感覚に戻ったシーザー・ツェペリ(要は猫足立ち)」状態なんですが、実態は初めて二足歩行にトライしているクマってところでしょう。


こんな風に軽く書いていますが、いや冗談抜きに痛くてですね。痛みにはそこそこ耐性がある方だと思っていたんですが、一歩歩くたびにタップアウトしたくなるようなザマだったんです。

どうしようもないので、とにかく皮膚科に行こうと問い合わせ電話をかけまくったのですが、どこもかしこも土曜休診。よしんばやっていたとしても非常に混んでいるとのことで、皮膚科は断念することにして、別の手段を探すことにしました。


別の手段。それは今まで全く考えたことのなかったジャンルの存在でした。カカトのひび割れだの、カカトが痛いだので検索した結果出てきたモノ。つまりフットケアなるものだったのです。

このフットケアなるもの、ジャンルとしてはエス…エステティッ…エステティッタ?クラブチッタ川崎?(それは間違えすぎ)もとい、エステティックとかのジャンルに属するわけで、僕のようなクマが出入りして好い場所ではありません。

いや、よしんば許されたとしても、女性ばかりの場所に僕だけいたりしたら、なにもしていなくとも確実に通報されそうですし、よくイメージ映像などで見るエステのタオルガウンっていうんですか?あんなもんを着ている自分の姿を想像したら、自分で自分を民事訴訟して賠償請求したくなってしまいます。とにもかくにもそれくらい縁遠いジャンルのモノなのです。

しかしながら両足で立つたびに、痛みで眉毛がつり上がり、一歩歩くたびに「ギー」とか言葉にならない異音を口から発し、泡を吹きそうになりながら歯ぎしりしている現状はなんとかしなければなりません。

そこでググル先生にお伺いを立ててリストアップしたフットケアのお店の中から、なんとなく、なんとなーく「仕事帰りのお父さんでも行けそうな店」をピックアップ。突撃をかけることにしました。


<んで、長くなってきたので続きます>


[ 2005年05月09日-01:04 ]  



僕と僕の足の角質との確執。 -2-


−前回までのあらすじ−

「ウーフ、あんよがいたいよう」 大変です。森のクマさんの足の裏は角質だらけ。むしろ足の裏自体が角質です。おまけにダーツの投げすぎで体重をかけるかかとはひび割れまくり。サンダルは血まみれ、お布団にも血痕がついてしまいました。鑑識のテツさん(埼玉県警)によればルミノール反応の結果はRh+のA型。「鉄分が足りてねェナァ」という独特の表現で食生活まで指摘されてしまいます。困ったクマさんは森を出て里に行くことにしました。「エウレカ!エウレカ!皆殺しだ!戦車出動!ミサイル発射!!」カカトの痛いクマさんは一歩歩く毎に凶暴化し、既に発狂寸前です。このままでは放送できないことになってしまいます。クマさんは無事にフットケアに辿り着く事が出来るのでしょうか。
―――――――――――――――
というわけでググル先生に色々尋ねて、ようやく辿り着いたお店はコチラ。さいたま新都心駅最寄りのビルの奥まったテナントにあるお店でした。

一応電話で予約を入れて、角質除去+オイルリフレクソロジーなるものをお願いしたのですが、まずは店内の雰囲気にちょっと気圧されてしまいました。

店員さんのトークはあくまでもササヤキボイスで丁寧。既にアロマオイルの香りが漂い、灯りはあくまでもダウン気味な赤色灯の間接照明です。つまりこう、なんとなく漂うセレブ感があるんですね。少なくとも僕みたいなのが入っていい場所ではない感じがプンプンします。


それでも受付を済ませると指定された席にいったのですが、ここで最初の難関が待ちかまえていました。というのも、こういう場所では当たり前に着替えが必要なのですが、フットケアということで手渡された着替えはハーフのスパッツのようなものだったんです。

しかしながら得てして「用意された着替え」のサイズがあわないのが僕です。温泉宿の浴衣を筆頭に、スポーツジムのビジター用の水着、クアハウスの浴衣のようなアレ、仮装パーティーのマスクなど、全てのサイズがあわず、よしんばあったとしてもキツキツのキュウキュウで、自分が内臓圧迫で倒れるか、着衣の耐久力が限界を迎えるかの真剣勝負といった風情になってしまうのです。

ましてや今回渡されたのは下半身用の着替えです。今ほど…というか太っていなかった頃でも、小学生の頃から「趣味:スクワットとママチャリでの遠出」というわけのわからないことをやっていた僕です。

思春期前には既に丸太のようなフトモモになっており、普通のズボンでもフトモモがキツくて大変だった過去もありますし、学生ズボンのフトモモ部分を裂いてしまったこともあるくらいなのです(買い換えろよ)。オマケに今は体重も倍加してしまい、それに応じてフトモモも拡大。よしんばフトモモを通り抜けたとしても、その上には驚異的な出っ腹が待っているのです。

つまりこの着替えは僕には着用できない。出来たとしても、その締め付けの苦しさに、とてもじゃないがリラックスなんか無理だ…そう思いつつも更衣室に入り、足を通してみました。ところがどっこいさすが科学万能の21世紀です。スパッツのような素材の着替えは物凄い伸縮性を見せて、僕のフトモモを包み込みました。

さらにその上へと絶望という名の岬を越えて腹部に辿り着いた時も、少々キツ目ではあるもののあっさり履けてしまい、この時点で僕はこのお店に対して最大の信用を寄せる気持ちになりました。


さあリラックスシート?に着席して、いよいよ手順の説明を受けます。まずは数十分間足湯につかり、その後軽石をつかって角質を除去しながらアロマオイルを使ってマッサージをするということになったのですが、ただぼけーっと足湯につかっているのもアレなので、酸素吸入なるものも試してみることにしました。

数種類のアロマオイルの設定された酸素発生装置から出たチューブを鼻に差し込み、それぞれのボトルについたコックを調整することで、自分の好みの香りを設定するという、なんとも機械的なのか有機的なのかわからない不思議なものなのですが、確かに爽やかな香りが鼻に直接入ってくるのは確かに気持ちがよいものでした。

酸素自体の効果の程は、科学だの化学だのに弱い僕にはわかりませんが、喩えプラシーボ効果であっても、気持ちよいものは気持ちよかったのです。どれくらい気持ちよかったかというと、足が足湯で温まってきていることもあって、カカトの痛みも忘れて、あっさり眠りに落ちそうになってしまったほどです。


室温はこれ以上ない適温に、湿度も上々。ダウン気味の照明は目に優しく、BGMは「オルゴールで聴くホニャララ」系です。これ以上ない癒しの空間。なるほどエステやらこういうのやらには、まるで興味のなかった僕ですが、ハマる人の気持ちが少し解るような気さえしました。

さて、そんな心地よいまどろみの中「お待たせしました」とササヤキボイスで語りかけてきたのは、先ほど受付をしてくれたスタッフさん。序章は終わり、いよいよここから角質落としとフットケアがはじまるのでした。


<んで、長くなってきたので続きます>


[ 2005年05月09日-12:52 ]  



第1回楽天ポインダー!抽選会


番組の途中ですが、3月分の楽天スーパーポイントが発行されましたので、『楽天ポインダー!』第1回目の抽選会を行いたいと思います。

あーっと「楽天ポインダーってなによ?バインダー?ビジンダー?キカイダー?」という方は、コチラを御一読下さいませ。まぁ簡単に云えば読者さま還元企画という名の、ダーツ普及プロジェクトです(笑)。


あ、さて。今回の応募総数は47名。第一回にしては、そこそこの人数が集まったと思います。この48名をエクセル関数でランダムに数字をふって並び替えたのがコチラ!

1pot gaisu
2ATSU4
3黄花藤
4むのん
5GOLDEN
6村正
7沢越茜
8seiya
9m(__)m
10たちばな
11笑う柴犬
12sou
13baz
14tanaka
15少林寺憲Pow
16ゆういち
17まっちゃん
18
19紅音
20blacklimited
21村長@にこる村
22どうでしょう
23結城コウジ
24ぱる
25の〜す
26扇風機
27所長
28帽子屋
29可愛い鬼嫁♪
30もてぃ
31Frag−Frog
32龍一
33さお
34黄泉
35
36
37むっち〜
38AKI
39クロード
40部長
41天蓬
42ミタ
43大槻
44さとし
45Luc
46いいじゃん、男で料理好きだって
47


これをさらにバラバラに印刷して、左手投げでダーツが刺さった人です。右手だとある程度狙いがつけられるようになってしまったので、左手でやります。それでは皆さん、続きをお楽しみに!
一回戦の結果がでましたよー!



というわけで結果が出たわけなんですが、物の見事にバラっけました。さすが左手です、投げるのが精一杯です。

で、一回戦をくぐり抜けたナンバーは次の通り。44/13/37/23/10/16/47/6/5の9人です!

えーとまだ続けなくちゃいけないので、僕の方で確認はしません(笑)。応募された方々は、自分の番号と各自てらしわせて下さい。外れた方は残念でした。一回戦をくぐり抜けた方はおめでとうございました!!

といっても、ここから決勝戦にはいるわけなんですけどね。今度は3×3の9マスをプリントして、ブルに貼り付けます。つまり、一番最初にブルに入った時の番号の人が今回の当選者になるわけです。

まずはブルに入らなくちゃダメなわけで、かなり難易度高いです(笑)。頑張ります!!
というわけで決勝戦です!

まずは、さきほど発表した一回戦勝ち抜け組の発表並び順通りに1〜9をナンバリングしまして、それを再度ランダムに並び替えて3×3=9マスの正方形を作りました。

つまり

44=1
13=2
37=3
23=4
10=5
16=6
47=7
6=8
5=9


です。


早速プリントアウトしたわけですが、その大きさ、実に33mm四方。こんなサイズを撃ち分けられるほど上手くありません。つまり、完璧にランダムといいますか運任せの決勝戦です。

さぁいよいよスタート!刺さらない!!普段と見えているモノが違うので狙いもつけにくく、ブル=抽選エリアに全然入りません!

それでも繰り返す内にだんだん慣れてきて、15投目にようやく入りました!



というわけで、入ったのは4番!(周りのハズレた穴は見なかったことにして下さい)

先ほどの再ナンバリングと確認しますと23=4。つまり抽選ナンバー23番の方が当選しました!!

で、23番はっと…結城コウジさんですね!

結城コウジさんは、岐阜県にお住まいの26歳男性の方だそうです。ダーツは未経験で、応募のイキゴミは

「女の子を誘って、ダーツバーとかに行きたいので、練習のために是非!」

とのこと。



このヨコシマ野郎ッッ!!!

失礼。なんにせよおめでとうございます!今回の楽天ポインダーの割り当てポイントは5000ポイントですので、送料税込5000円前後までのダーツグッズがプレゼントされます。

楽天市場のダーツショップ専門店からお好きなダーツアイテムを選んでいただいて、春九堂までメールを下さい。ダーツセットを選ぶ場合は、アドバイスもさせていただきますので、お気軽にご相談下さい。

なお、メールを送られる際は本人確認の為、必ず応募いただいたメールアドレスから送信してくださいねー。


というわけで、これにて第1回楽天ポインダー抽選会を終わります!惜しくもハズレてしまった方、残念でした。これに懲りずに再度応募して、次回にチャレンジ!!てなわけで皆さん



ダーツやろうぜ!!
(この企画の決めゼリフ、これか?)



[ 2005年05月10日-21:39 ]  



僕と僕の足の角質との確執。 -3-


−前回までのあらすじ−

「なに?!クマが里に下りてきただと?!」 報せを受けたのは東京都世田谷区の飯田剛蔵さん(89)。米寿を過ぎてなお血気盛んな伝説のマタギです。全国の猟友会では生き神として敬われているほどのクマ狩りの名手のもとに届いた報は、足を痛めて凶暴化したクマが里を彷徨いているという目撃情報でした。勇んで出動した飯田さんでしたが、ついうっかり、どこのエリアにどんなクマが出たのかを詳しく聞き取るのを忘れてしまい、さまざまなクマに巡り会うことになってしまいます。このあたり、さすがの伝説のマタギとはいえ長寿の弊害が出ているのかもしれません。銀座の東西新聞本社ビルではタイのサクンタラ・クマラシンゲさんに出会い「タイ米は美味しいんです!」と詰め寄られ、どこぞの学校では世界史教諭の熊先生に出会って「俺には工藤っつう名前があるんだぞ! 布団を敷こう。な!」と危うくアブナい世界にフラフラとついて行ってしまいそうになったりします。一方その頃。カカトの角質が大変なことになり、ひび割れが肉にまで達して流血し、痛みのあまり発狂寸前になったクマは、無事にフットケア専門店に辿り着いて、すっかりリラックスしていました。「ウーフ。酸素と足湯がキモチいいなあ。クマクマ(喜)」 そんなクマのもとにフットケア職人のおねえさんが、そっと近寄ってきてささやきます。「お待たせいたしました。それじゃはじめさせていただきますね」 さあ、これからはじまるのは目眩く大人ワールド。お金を払わなければ味わう事の出来ないファンタジック&ドラマチックな快楽の世界。ご家族で観ている人は、ちょっと気まずくなるかも? お父さん、わざとらしく新聞を広げる準備はOK? お母さん、「タケシ、早く寝なさい!」と意味もなく叱る準備はOK? そこのボウヤ、キミにもいつかそんな気まずい瞬間がわかるときがくるよ! おっと、講釈が過ぎたようだね。それじゃチャンネルはそのまま! ステイチューン!
―――――――――――――――
「お待たせいたしました。それではこれから角質落としと、足のオイルリフレクソロジーをはじめさせていただきますね」

足下にかしづかれた気配から、そんなササヤキボイスが聞こえました。気配、というのも、僕は安楽椅子に腰掛けて酸素チューブを鼻に着けた状態で足湯をつかわせてもらっていたのですが、この椅子は当然の如くリクライニング機能がついていまして、それを思い切り倒してもらっていたんです。

つまり座っているというよりは、ほぼ仰向け状態。そんな状態で少し膝を曲げたくらいの高さで足湯につかっているわけですから、僕の視線から声の方向に見えるのは自分の腹。その絶望という名前の山頂(ピーク)か、「ミシュランマン」という通り名を持つ巨大な二段腹の分水嶺近辺までしか見えないのです。


そんな状態ですから、腹筋と首周りの筋肉を駆使して頭を起こして腹の向こうを覗き込み「はい、よろしくお願いします」なんていったのですが、先ほどまでのリラックスムードはどこへやら、腹筋の緊張とともに、これから何をされるんだという緊張感が高まってきてしまいました。

なにしろ僕は自分で誰かをマッサージすることはあっても、自分がマッサージされる、しかもお金を払ってそういうことをしてもらうということは初めてなんです。唯一例外があるとすれば、床屋さんでやってもらうフィニッシュのマッサージくらいです。

つまり文字通りの初体験。しかも限りなく下半身方面、むしろ下半身の最先端での初体験です。それで緊張するなという方が無理というもの。そもそも脚はおろか足なんて他人に触らせるようなものではありませんし、触ってもらっても、その、なんだ、くすぐったいとかアレだとか、そんなものです。


ましてや僕は無類のくすぐったがり。まだ幼い頃、面白がった姉二人に、よってたかってくすぐられて、呼吸困難でお花畑が見えるような経験までしています。まぁ別にここでそんな悲惨な目に遭うことはないわけですが、それとは別に問題があります。

というのも、くすぐられた時の人間はその反射行動で予期せぬ動きをします。脇の下や脇腹をつつかれて、反射的に脇を締める動きをして、そのつついた相手の腕に強烈な打ち下ろしの肘打ちを入れてしまった人は決して少なくないはず。また足の裏をくすぐられていて、くすぐっている相手に思わずマジ蹴りを入れてしまった人も少なくはないはずです。


反射行動ですから、これらの攻撃(?)は不可抗力です。不可抗力である上に加減が効きません。加減が効かないから喰らった相手はダメージを負いますし、「なんだよちょっとふざけただけなのにマジ蹴り喰らわすか普通」と、先ほどまでのはしゃいでジャレあった空気が、どっよーんとすることもしばしばだと思われます。

通常脚の力は腕の力の三倍といいますから、例えば女性の脚をくすぐって蹴りが飛んできた場合でも、相応のダメージを受ける危険性があります。それが男性の脚、ましてや僕の丸太のようなクマ脚だったらどうでしょうか。

いや、考えるまでもなく人死にが出ます。そんなわけで、筋力がついてからは、くすぐられたりしそうになると「くすぐられた時の反射行動で人死にが出るかも知れないから止めて」と警告する事にしているのです。

では今回の場合はどうでしょうか。


「それでは失礼します。オイルつけますねー(ぺとぺとぺと)

「ぶひゃふひゃひゃひゃひゃひゃ!こしょいってば!(どーん←反射的に脚伸ばす)

「はぶらっ!!(香港映画ふっとび)



割とシャレになりません。しかしながら「あ、文字通り蹴り飛ばして面白いことになってしまうかもしれないので、くすぐったくしないで下さい」とは、たとえジョーク混じりでも、簡単に云えるセリフではありません。

ああ、そんなにされたら、おねえさん(クマ脚に蹴り飛ばされて)飛んでっちゃう――そんな別の意味でイケナイ妄想をしながらも、鼻に差し込んだ酸素チューブのアロマな効能か、単純に何も考えていなかったのか、僕はあっさり「はい、よろしくお願いします」と告げてしまったのです。


返事を待っていたかのように、おねえさんは僕の隣りに来ると「少し起こしますね」とリクライニングを調整して快適な角度に戻し、僕の脚を一本ずつ足湯からそっと取り出しては、バスタオルで丁寧に、しかしそれでいて素早くお湯を拭き取ります。

それからササっとフットレストシートを設置して、膝から下を載せました。あれよあれよという間に長座姿勢です。しかも「膝辛くないですか?」と優しく聞いたりするのです。


――ヤバい、テクニシャンだ。


なにがヤバいのか、なんのテクニシャンなのかよくわかりませんが、頭のどこかで僕はそんなことを考えていました。


<んで、長くなってきたので続きます>


[ 2005年05月12日-13:32 ]  



僕と僕の足の角質との確執。 -4-


−前回までのあらすじ−

『伝説のマタギ うっかり暴発』 そんな記事が夕刊紙面三面記事の片隅を飾った経緯はこうです。里におりたはずのクマを求めてガラスの街・コンクリートジャングル・飛んでイスタンブール。猟銃を携えたまま飯田剛蔵さん(89)はさまよい歩き続けました。あるときはタイ米を推進するタイ人女性に詰られ、あるときは熊先生と呼ばれるヒゲの世界史教諭に布団に呼ばれたり。そんなスリリングな冒険の最中、伝説の秘宝を求めて飛び込んだ古代遺跡のような建物の奥で、飯田さんは彼の人生最大のファンタジーに遭遇したのです。白い指、黒い髪、濡れて光った瞳と紅い唇。白い肌、そして朱に染め上げられた長襦袢。格子戸の向こうから手招きする誘惑は、幼い日に丁稚先の使いで入った吉原(なか)で見た情景のようでした。幼い日に体験した初めての性的興奮。でも当時の飯田さんは幼すぎて、その感覚の処理の仕方はおろか、その感覚がなんなのかもわかりません。ただただもどかしさばかりが心に積もって、用事も終えずに無我夢中でその場から駆けだしてしまった…そんな想い出の中の情景。そして今、そんな記憶が飯田さんの脳裏に鮮烈に蘇ったのです。ですが、齢八十九、米寿を越えた老体の飯田さんです。人生経験は十二分に積みましたが、今度は別の事情でナニがアレしなくて、ソレがもうアレなのです。飯田さんは胸の高鳴りとは反対に、凪の海のような両足の親指の間を虚しく思い、それから己の手に握られたブローニング猟銃を握りしめました。「ワシだって…まだイケるんじゃい!」 既にクマの事なんかすっかり忘れています。格子戸に駆け寄る飯田さん。走馬燈のように今までの人生が頭の中を照らし出していきます。丁稚に出て苦労ばかり重ねた少年時代。大店を継ぎ、東北は藏元の名家の令嬢と一緒になった青年時代。醤油をガロン単位で飲み干して徴兵を逃れ「いつでも戦争に出られるように」という言い訳の元に猟を趣味とした中年時代。初めてのクマ狩り、伝説へのプレリュード。未だ語り種となっている山長・赤カブトとの抗争。銃を置いて引退を決意したあの日…そして止められずに、未だ現役にしがみついている今。まるで古の少年ジャンプの打ち切り最終回のような回想です。しかしここは現代日本の西川口、略してNKGです。古代遺跡のような外観の建物は、丸海老グループが運営する「ソープランド・色街★レトロ(姉妹店に「色街★ラスベガス」あり)」。一見、郭の遊女の様に見えた女性は泡姫の加奈美ねえさん(自称22)です。突如として猟銃を持って飛び込んできた爺さんにマネージャーも加奈美ねえさんも大慌て。非番の日や待機時間はインターネットで暇つぶしをしている加奈美さんは「>>1、おちつけ!」「通報しますた!通報しますた!」と大パニックです。既にニュー速@VIP板には「爺さんがソープに猟銃もってブーンしてきた件について」というスレまで立っており、あまつさえ秒殺状態でクソスレ認定されdat落ち寸前だったりもしています。「うわ、なんだアンタ!」「ワシだってまだ青春なんじゃー!」「もまいらもちつけ!お茶ドゾー!」「やめろー!」「青春ー!」「ブーーーン!」 最早収拾不可能な状態。カオティックとはまさにこの事です。ローションは撒き散らされ、泡が宙を舞い、BGMは笠置シヅ子の「東京ブギウギ」。そんなグチャドロの揉み合いを一変させたのは一発の銃声でした。そう、飯田さんの持っていたブローニング銃が暴発したのです。「色街★レトロ」に響き渡った一発の轟音に、誰もが硬直し、時が止まります。幸いにも散弾は誰にあたることもなく、天井に無数の小さな穴を開けただけで済みました。銃声とタイミングを合わせたように曲と曲の切れ間になっていたCDプレイヤーが次のBGMを奏でます。陽気なワルツの前奏、続いて脳天まで突き抜けるような陽気な声で歌い出されたのは昭和の喜劇王・エノケンこと榎本健一の『洒落男』でした。♪俺は村中で一番 モボだといわれた男――マネージャーと加奈美ねえさんとに抑えつけられていた飯田さんは、静かに目を閉じると口の中で呟きました。「さらば我が青春」――。そんな風に飯田さんの心のアルカディア号が宇宙空間でジョリーロジャー旗をはためかせて出航した頃、クマはすっかり緊張しきっていました。「ウーフ。くすぐったくなって、おねえさんを蹴り飛ばしちゃったらどうしよう。クマーン…(困)」 しかしそんなクマの心配を余所に、リフレクソロジストのおねえさんは着々と準備を進めています。おねえさんは今、自分が交通事故級の危険に晒されていることに気がついていないのです。さぁ困りました。さぁ大変です。まさに一瞬で生死をわけるような、階段のスベラーズに土踏まずで立つような、はたまた空弾倉が一つだけのロシアンルーレットのような危機的状況であります。まさにお互いの魂を削り合うような熾烈、いやさ苛烈な戦い。ここ、さいたまスーパーアリーナの側のフットケア店はローマ時代のコロッセオか。はたまた野見宿禰と当麻蹴速の起源相撲か。勝ち残り、命を勝ち取って店を出るのはどっちだ。すっかり忘れ去られている気がするが、クマの足の角質はとれるのか。今、たった今、二人の命運を分ける運命のゴングが鳴り響きます!!
―――――――――――――――
――蹴り飛ばしちゃったらどうしよう。

割と真剣に悩みました。悩んで悩んで「あの。僕くすぐったがりなんで、優しくして下さい」とか云おうかと考えたのですが、優しくソフトタッチされたら余計にくすぐったくなってしまい、おねえさんの命の蝋燭が瞬間的に燃え上がって消えてしまうかもしれない。

結果として僕は貝のように黙り込むことに決めました。

――なあに。いざとなったら口の肉でも唇でも舌でも噛み締めて、くすぐったさを痛みで封じ込めばいいんだ。

たかだかフットケアに来ておいて、なんでそこまで悲壮な覚悟を決めなければいけないのか、全く持ってよくわかりませんが、とにもかくにも僕は覚悟を決めたのです。


しかしながらおねえさんは黙らせたままではいさせてくれませんでした。「オイルリフレクソロジーの方なんですが、どの程度の強さで行いましょうか?」 例のササヤキボイスでそう訊ねられた僕は

「所詮女性の非力、普通にやったところで水鳥の羽でくすぐる程度に違いない。そんなソフ…ソフィ?ソフィスティケイテッド?ソフトタッチ?なことされたら、貴女の命が危ないんだ」

と思い、一言だけ告げたのです。

「強めでお願いします」と。


しかし息が詰まるような緊張はそこまででした。自ら選んだグレープフルーツとミントのハーブオイルを嗅がせてもらい、再び椅子を安楽な角度に倒された僕は、未だ鼻から入り込んでくる香り高い酸素に誘われて、一気にリラックスの国に羽ばたいてしまいました。

足下の方では、タオルにくるまれていた足にオイルが塗られているようです。次いで軽石か何かで足の側面を擦る感触がありました。

ざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざりざり…きめ細かく軽石を擦ってはオイルを浸透させていっている様です。決して強い擦り方ではないのですが、丁寧に仕事をしてくれているというのが非常によくわかります。

お金を払っているのだから当たり前といえば当たり前なのですが、こんな事を他人にしてもらうのは初めてですから、思わず申し訳ないような気分になってしまうほどです。


片手で足を固定して、片手で軽石をあてているのでしょうが、持ち方を心得ているということなのでしょう、ちっともくすぐったくありません。それどころか軽石の擦る感触も非常に気持ちがよいのです。

そうこうする内に軽石での角質除去は、いよいよ足ノ裏角質城の本丸たるカカトに入ったようでした。円を描くように細かく、それでいて今までより確実に強くあてられる軽石。時折オイルを浸透させて、足の裏が傷まないようにしてくれています。

心配していたカカトの裏側にあるひび割れエリアは、特に重点的にオイルをまぶしながら擦ってくれたので、全く痛みはありません。この時僕は確実に落ちてゆく角質の感覚に「ああ、今日は来てよかったなぁ」としみじみ思いました。


やがて足の裏の角質落としタイムが終わったのか、スネあたりに触れられる感覚がありました。そうそう先ほどから感覚感覚と繰り返していますが、椅子が再びリクライニングしたことで、僕の目には自分の腹しかみえておらず、なおかつ気持ちよさに既に眼を閉じていたので、足の方は見えていないのです。

まぁそんな感じで、あくまでも感覚の記憶なのですが、スネからフクラハギに向かってオイルを塗られ、さらに足首、先ほど角質を落としたカカト、それぞれの足指の間から甲にかけて、万遍なくオイルが塗られてゆきます。

オイルと掌の感触が非常に心地よく、なるほどこれがリフレクソロジーというヤツか、気持ちがよいモノだのう…などと呑気に構えていた次の瞬間、僕は激痛に思わず顔をしかめました。


激痛の発生源は両足の外ズネ。いわゆる腓骨の正面から側面部分です。僕は両足の腓骨に疲労骨折の癒着痕とコンパートメント症候群という疾病を持っていまして、調子が悪い時はリアルに一歩も歩けないほどの痛みが、外ズネから足首外くるぶしにかけて走り、調子がいい時でも歩きっぱなしや立ちっぱなしだと、あっという間に腫れ上がって痛みをもってしまうんです。

この日は特に歩いたりしたわけではないのですが、それまでの疲れが溜まっていたせいもあるのでしょう、外ズネはかなりかちんかちんになっていましたので、そこをぐいっとやられて強烈な痛みが走ったのです。

それまでリラックスしまくっていたものですから、そのギャップに思わず失禁しそうになるほどのショックでした。危ういところで尿道を締め上げて事なきを得たのですが、いつも自分で揉んでほぐすより痛い=かなりおねえさんの力が強いということを頭の中で整理して、歯ぎしりしそうになりながら「す、すみません、もう少し弱くお願いできますか」と頼みました。

「あ、やっぱりそうですよね。随分腫れてらっしゃるので、大丈夫なのかなって思ったんですが…」との足下からの声に、気づいてたんならこうなんとかしてくれっていうか強くって頼んだの自分じゃん!ダメじゃん!とやり場のない思いを下唇を柔く強く噛み締めることで処理して、僕は再びリラックスの海に沈み込もうと努力することにしました。


それからは、かなり弱く柔らかく優しくやってくれたのでしょう。ひたすら「気持ちいい」としか言い様がない時間が過ぎてゆき、何度か眠りの河を船で渡ったり戻ったりするほどでした。

意識をはっきりと取り戻したのは、それまでの掌の感覚とは違うタオルで足を包まれてオイルを拭き取られる感触があってから。コースは角質落とし含めて1時間に満たないものだったのですが、それでも効果は抜群でした。というのも、意識を取り戻した直後から足を尋常じゃなく軽く感じたんです。

椅子を起こしてもらい、足の裏を見てみると、まー綺麗になってること。ひび割れ痕はまだ残っていますが、足の裏から足全体が細くなったようにすら思えます。しかしながらおねえさんは極めて残念そうな顔で僕に云いました。


「申し訳ありません。カカトの角質なんですが、全然取りきれませんでした」


正直「え?」と思いました。それくらい綺麗になっていましたし、触っても実際柔らかいのです。ですが、おねえさんが指でカカトを触ると、確かに明らかに他の足の裏の部分とは色が違うというか皮の薄さが違うことがわかります。

つまり、自分では今まで見たことがないくらいに綺麗に薄くなったカカトだと思っていた現状が、普通の人(ここに来るお客さん)の「角質がヒドイ状態」だというのです。

僕は角質除去だけではなく、オイルリフレクソロジーも存外に気持ちよかった事もあって、「じゃあ、あと何回か通えば完全にキレイになりますかねー」と聞いてみたのですが、おねえさんはひどく悲しそうな顔をしながら、ササヤキボイスで、こう云ったのです。

「そうですねえ…通っていただいてもキレイになるとは思うのですが…角質除去の専門のところに行かれた方がよろしいかと思います。かなり年季の入った角質になっていますので…」


はい、見捨てられました。しかもおねえさんは丁寧に、近場の角質除去専門店を教えてくれました。ここでならお客様の角質も落としてくれるはずです…という言葉とともに。

あの悲しげな表情と声。おねえさんはおねえさんなりに、プロ意識と自信を傷つけられたのかもしれません。っつーか、僕のカカトの角質って一体どんだけひどいんでしょうか。

それにしても、よもや初体験のフットケアのお店で、その道のプロフェッショナルにさじを投げられるとは思いませんでした。やはり僕にはこんなオシャレなところは似合わないということだったのでしょうか。

酸素吸入用の鼻チューブは消毒されて3ヶ月間キープしてくれるとのことでしたが、残念ながら二度と使われることはないでしょう。さようなら僕の鼻チューブ。さようなら初めてのフットケア。さようなら僕のフットケアバージン。そして、これからもよろしく、僕のカカトの角質――。


こうして僕の初めてのフットケア体験は終わりました。再び自分のズボンに履き替えて靴下を履いて店を出た僕。オイルリフレクソロジーの効果か、足はこれまでにないほどに軽く感じました。ですが、その足取りが、これまで以上に重かったことは云うまでもありません。


<完>



『新・僕と僕の足の角質との確執』
<角質除去プロフェッショナル編>
に、ご期待下さい。

(どうやら、大宮ルミネにあるらしい。今度こそ…ッ)

−エピローグ−

「わ、ワシの青春…ッ!!」 飯田さんが目を覚ましたのは病院のベッドでした。見知らぬ天井から視線をおろすと、ベッドの周りには、娘や娘婿、そして中学生になる孫娘の顔が見えます。「お父さん!」「おじいちゃん!」「お義父さん…よかった…」次々と安堵の表情を浮かべる家族達。飯田さんはまだよく状況がわかっていないようで「ワシは…どうしたんじゃ…」と、あまりにもステレオタイプな惚けた台詞を口にしました。「飯田のオヤジさん、少しお歳を考えてもらわないと困りますなぁ」 家族の向こう側から顔を覗かせたのはヨレた背広を着込んだ老齢の男性でした。「おや…山さんじゃないか」「管轄が違うところの騒動にクビを突っ込めるほど偉くも若くもないんですから、無理させないで下さいや。ま、誰も怪我がなかったんでいいんですけどね」 そういうと山田三郎警視正(59)はヤニで黄ばんだ歯を見せて笑います。「しかし不思議な事もあるもんですなあ。装填していない散弾が暴発する…そんなこともあるんですな。ねえ、オヤジさん」 そういうと似合わないウインクを一つ。それで飯田さんも全てを飲み込みました。狩猟区以外で実弾を装填した猟銃を携帯することは、銃刀法で禁じられているのです。「ま、叩けばホコリしか出ないような場所だ。天井に穴が空いたからってどうってこともないんでしょうが…こっちで精算しておきましたよ。なあにオヤジさんが受け取りを拒否したこれまでの謝礼に比べれば、雀の涙ほどですから」「山さん…すまねぇなあ…」 飯田さんはほっとしたような、どうしたらいいのかわからないような曖昧な表情でポツリと云うと、身を起こして深く頭を下げました。「よしてくださいや。こんなことなんでもないんですから。それじゃあたしはこれで…」 飯田さん一家に軽く会釈をすると山田刑事は病室を去ろうとしました。飯田さんは頭を垂れたままでしたが、ドアノブに手をかけた山田刑事の背中に、気がかりだったことを訊ねました。「山さん…クマは…クマはどうしたんじゃろうか…」「さぁ…どうしたんでしょうなあ。でもね、オヤジさん。あたしらが今よりちっと若い頃にいた山奥とは、ここは違うんですよ。どれだけ凶暴なクマだって、アスファルトの道を歩いてちゃ、足が痛むってもんです。今頃里山に帰って、あなぐらで足の裏のひび割れでも舐めてるんじゃあないでしょうかねえ…」「そうか…そうじゃろうな…」「…それじゃこれで…」「…山さん……ワシゃあ今度こそ引退するよ…」 ドアノブを回しかけた山田刑事の手が止まります。「今回の事で思い知ったよ…いつまでも想い出に浸ってちゃあいかんのじゃ…銃は捨てて、硬くなったカカトを軽石で削ることにするさ…」「引退…ですか…まぁ、それもいいでしょう…あたしも今年の末には定年です。そしたら二人で山歩きでもして…今度は山菜でも摘みましょうや」「ああ…待っちょるぞ」「それじゃ…」 こうして一人の伝説のマタギは銃を捨て、孫娘に甘いお祖父さんになりました。趣味の山歩きから帰ってくると、孫娘はお祖父さんの足をお湯で洗ってあげて、軽石でカカトを擦ってあげます。そしてお祖父さんは孫娘にお小遣いをあげるのです。そうしてだんだんとマタギの硬い硬いカカトは、柔らかくなり、飯田さんの笑顔も柔らかくなっていきました。一方その頃、クマは里山でタウンページを開いては、どのフットケアの角質除去専門店に行くべきか悩んでいました。そのカカトは、ずっとずっと硬いままで、ときどきひび割れ、クマは痛みに耐えきれずに泣き声をあげているそうです。「クマーン…あんよが痛いよう…」 全国のフットケア専門店の皆さん。もしクマがあなたのお店に行ったら、優しく、しっかりと角質を除去してあげて下さいね――。<了>





なんだったんだろう、このシリーズ。
(書き終えて自分でもよくわかりません)



[ 2005年05月19日-11:43 ]  



2万本ダーツ計画。


僕がダーツにハマったきっかけは、「Sure(シュール)」という池袋のBARでした。

ダーツの初体験が1月23日。500点以上出してキープダーツをもらったのが1月30日。そしてマイダーツを買ったのが2月6日。ボードが届いたのが2月8日。

つまり本格的にハマってから3ヶ月と半分。今日で104日目です。そして先日Sureに出向いた際に、とあるイベントに参加申し込みをしてきました。いや、この前フリで「とあるイベント」もナニもないですな。

というわけでぶっちゃけてしまいますと、Sure主催のダーツ大会「Sure−CUP」に申し込みをしてきたわけです。


この「Sure−CUP」は今回で6回目という大会なのですが、めちゃくちゃ上手いマスターとタメはる人が普通に参加しますし、マスターの友人の他のダーツバーのスタッフさんも参加するというとんでもないことになっているそうです。

おまけに今回はマスターも出場するそうで、明らかにダーツ歴3ヶ月ちょいの僕なんぞが参加して良さそうな大会ではありません。しかしそれでもなお参加申し込みをしてしまったのです。現時点で既に後悔しまくりです。

まぁ負けることは確定しているわけですが、「参加することに意義がある」とまでは悟りきっていないんですよね。それよりも他の参加者、つまりギャラリーがいるところでダーツをやるということ、そして未知数の腕前の人と対戦するという経験をすることが大事かな、と思うわけです。

まーでもなんつーんすか。初めての辻斬り(見知らぬ人とダーツ対戦)ではボコボコボコのボコボコにされたりしてしまい、その後しばらく立ち直れなかったりもしたわけなんですが、Sureで常連さんやマスターに揉んでもらったり、地元のダーツショップでも時折常連さんやスタッフさんに揉んでもらったりして、少しずつ経験を積んだりもしていますので、まぁここいらで一丁やってみようかなーと思ったわけです。


しかしながら、現在の僕はすっごい勢いでスランプでして、クリケットという15−20とブルを狙う陣取りゲームみたいなルールのゲームがあるんですが、まるで狙ったところに飛んでいかないという素敵な事になっています。

Sure−CUPは先に301点ぴったりにした方が勝ちという301と、先ほどのクリケットの2本先取勝負なんですが、いずれにしても狙ったところに飛んでいかない現状をどうにかしないと、文字通りどうしようもありません。

主立った他の参加者達はSureの常連の方々で、少なく見積もっても半年・1年以上のダーツ経験がある人ばかり。いくら対戦経験を増やしてゴリゴリに揉んでもらおうというMっ気全開のイキゴミで行くにしても、あまりにも相手にならないような腕前では対戦相手になってしまった方にも失礼。そういうわけで、とにかくこのスランプをなんとかしなければなりません。


さてさて、そこで考えました。考えまくりました。で、考えてもムダなんですよね。考えても上手くなるわけじゃなし。とにかく練習、練習あるのみなんです。それもアレですよ、ブルに入れる練習。とにかくブルです。ブルにはいりゃあ大体どこにでも入ると思うんですよ。というわけで、家にボードもあるわけですし、ガンガン投げ込み練習をすることにしました。

で、「素人が大会に出る前の練習」といえば、青春時代のマイバイブル『スラムダンク』があります。この超熱いバスケットボールマンガで、最強の素人こと主人公・桜木花道はインターハイ前の10日間にジャンプシュートを2万本繰り返し、ジャンプシュートを体得しました。

10日間ということは1日2000本。単純に10秒間に1投したとしても、20000秒。334分。つまり6時間投げ込めば出来ないことはないわけですが、さすがにこれは泊まり込みでバスケ漬けになる「合宿」という背景があってのものです。

一応仕事をしている身分としては、一日にダーツ練習に割ける時間は、頑張っても2時間といったところ。まぁ睡眠時間を普通に削っていけば、どんだけでも投げ込めると思うんですが、一応それくらいだと考えると、ダーツも1投5秒〜10秒、3投1R+取りに行く時間+アドレス(立ち位置を決める)で1分かからない程度ですから、120R360投出来るわけです。


さて、問題のSure−CUPの開催日は6月26日。現時点で当日まではあと34日あるわけです。つまり最低でも12240投できるわけですよ。倍の時間もしくは速度で投げれば24480投です。うあーなんか万単位の話になった途端、既に気分は桜木花道ですよ!微妙なヤル気が出てきましたよ!(明らかに錯覚です)

そりゃあ桜木花道は10日で2万本ですから、34日だったら68000本になりますので、さすがにそこまでは無理ですが、それでも心意気的にはイケイケゴーゴーな感じです。

そんなわけでズバズバ投げ込んで、6月26日のSure−CUPでは、僕もSureのTAURUS(ダーツ台です)に立った時に「左手はそえるだけ…」とツブヤキながら、実際ダーツにそえてみて、そんなフォームでなにをどうすればいいのかわからなくなってみたいと思います!(無意味)


というわけで、こんなものを買うことにしました。これでカチカチやって、本日のブル数を記録していくわけですよ!!うっひょーう!本格的ー!!しかもあまつさえそれをサイトで公開しちゃったりするわけです!うわーお!崖っぷちー!!(彩子書)

ま、そんなこんなで練習計画を立てつつ、Sureで人生初のダーツ大会参加ということで、ダーツ大会童貞をSureに捧げることになったわけですが、ここまで来て、この練習計画に少々疑問を感じてしまいました。

桜木の2万本シュートって、入った数?打った数?もしこれが「入った数」だとしたら、とてもじゃないけど追いつけません。追いつけない上に、現段階で考えただけで、既に心が折れ気味なんですが。

だって今の僕はブルを狙って投げて5投して1本入ったら良い方ですよ?だからこそ「24480投中5000本入ればいいやー」っくらいに考えていたのに。「一日150本ならなんとかなるだろう」とか考えていたのに。



「あきらめたらそこで試合終了だよ」って
云ってくれる、安西先生が僕にも欲しいです…。

(「天才ですから」とか云える自信ねーし…まぁ練習はしますけど…)



[ 2005年05月23日-07:34 ]  



トイレのある風景。


トイレの個室は面白い。

というわけで、おはようございます。春九堂です。


小学生くらいの時って外のトイレでビッグベンをいたすのってなんか不安だった春九堂です。

学校で大をしたらプライドがズタズタになると思っていた春九堂です。

高校の頃は洋式便器がある職員用トイレに入り浸っていた春九堂です。

トイレの個室に入ると微妙な安心感が沸く春九堂です。

新幹線のトイレの「ズゴボヒョー!」という吸い込み洗浄にほれぼれする春九堂です。

気分が悪くてリバースしてしまった後に、ついついウオシュレットのボタンを押してしまい顔面ウォッシュを喰らってしまった事がある春九堂です。

なんだかんだいいながらトイレの個室が大好きな春九堂です。


いや、どんだけトイレの個室に対する熱い想いを述べているんだって感じですが、好きなんです。トイレの個室が。

だってですね、みなさん。考えても見て下さい。あらゆる人々がそこでは下半身丸出しになるわけですよ。女性の場合はそれが当たり前ですが、男性の場合はビッグベンをしようと決意、もしくはビッグベンスタイルでリトルジョーをしようと決意する以外は、風呂に入るか着替えるかえっちぃ事をする以外にズボンとパンツを脱ぐなんてことはしないわけですよ。

つまりトイレの個室というのは男性にとっては下半身大開放スペシャルのステージなんです。洋服を着ている状態、つまり人間が他の動物と一線を画す社会的状況から己の下半身を開放し、動物たる証であるところの排泄という行為に至り、またズボン&パンツを着用し、人間に還ってゆく。

つまり理性から野生へ、そして再び理性へと至る輪廻転生的ドラマチックな場所なんです。そんな壮大な場所、まさに秩序と混沌が入り交じった場所、そこにはドラマがあって然るべきというか、ドラマチックでファンタジックな空間であることが当たり前なわけなんですよ!


そんな考えの僕ですから、様々な個室トイレを体験することが一つのライフワークとなっているんです。例えば大手ショッピングモール。どんなに品揃えが豊富であっても、レイアウトが素晴らしくても、店員の対応がよくても、洋式便器を設置していない店舗やトイレが清潔でない店というのは所詮三流以下だと評価しています。

バリアフリーが声高く訴え続けられる昨今にあって、洋式便器は車椅子の方だけではなく、足腰の弱い方や、お年寄り、そして痔主の皆さんにとっても必要不可欠なものです。それがないというのは、もうどうしようもありません。

そもそもが外でビッグベンをいたすという状況は、ある種の非常事態です。にも関わらず、下半身の着用物を外すと同時に座ればよいという洋式に比べて、和式便器は立ち位置を決め、しゃがむ角度を設定し、から*の方向など含め正しいセッティングをしなければ、大惨事を起こす可能性が極めて高いわけです。

そんな風に慎重に手順を踏んでいる間に堤防が決壊しないとも言い切れません。全神経を*のダム管理、もしくは堤防の決壊を防ぐ為に総動員している非常事態の時局にあって、そんな悠長な事はやっていられないわけですよ。そのあたりどう考えているんですかね、大宮Loftは!!(あ)


ま、そんな事もあって管理の行き届いていないトイレでは、ハードにOB(Out of Benki)した痕跡が残っていたりとか、ペーパーが完備されていなかったりとかすることもあるのですが、そんなのは論外として、実に個室トイレは面白いのです。

先日入ったとあるデパートのトイレは全面禁煙であるにも関わらず、個室のあらゆる所にタバコの火を押しつけて消したとおぼしき焼けこげがついていました。紳士淑女御用達の大手老舗デパートです。そこかしこにハイソとかセレブとかの雰囲気が漂い、僕のような不格好なクマが歩いていると肩身が狭くて痩せる思いをするような(※比喩表現です。実際は痩せません)場所にも関わらず、この有様。

なんというか、それ以降は店内を往く壮年中年の紳士の方々を見ても、スマートに業務をこなす男性スタッフを見ても「ふっ…気取った顔してても貴様らビッグベンしながらタバコ吸うような不思議な習慣があるのだろう。そもそもトイレに隠れて喫煙なんて、お前ら中坊か」と、なんとなく勝ち誇った気分になれるから不思議です。やはりトイレには人間の本質部分に迫るモノがあるんですよ。


しかし、このデパートの個室トイレには、それ以上のドラマがあったのです。思わずケータイカメラで撮影してしまうほど、僕にとっては衝撃だったのですが、まぁ下の写真を見て下さい。






これ、個室の便座ポジションから撮影した個室トイレのドアなんですが、錠の部分に注目して下さい。無論これはロックされた状態でして、極々普通のコックを捻ると機構内部で閂がスライドして壁側の閂穴に入るというタイプの錠なんですよね。

で、写真ではちょっとわかりづらいと思うのですが、ドア側の機構部分がズレてるのがわかりませんか?しかもこれ、ズレてるだけじゃなくて、思い切り緩んでいるんです。なんといいますかドアからハズレんばかりの緩みっぷりなんですよ。

こんな状態には自然にはなり得ません。どんなことがこの状態を作り出すかと考えてみたのですが、施錠された状態でドアを相当の力で押し込むか、施錠された状態で外側からドアを思い切り押したり引いたりしなければ、こうはならないんです。

御覧の通り、閂が入っているか抜けているかは内側からなら一目瞭然なわけで、どんなにとぼけても施錠した状態で内側からドアを押したり引いたりしたり、体当たりをかましたりするというのは、あまり考えられません。となると施錠された状態で外側からドアを押したり引いたりしたという可能性が濃厚になるわけです。


確かにこのトイレでは施錠されている、つまり使用中であるという表示は見にくいポジションにあります。通常は外から見ても錠部分の外側機構が使用中なら赤、空いているなら青という表示にわかりやすくなっているのですが、これはその表示が小さいんですよね。

でも、だからって、こんなになるまで押したり引いたりするっていうのも、あまり考えられないわけです。よしんばそういう事があったとするならば、よっぽど切羽詰まっている方が、トイレに飛び込んできて、この個室のドアを使用状況も確認せずに散々押したり引いたりしてみたか、あまりにも切羽詰まりすぎていて、前の使用者に催促すべく、ガンガンとドアを殴るわ蹴るわ押すわ引くわという事をしたのかもしれません。

借金取りでもあるまいに、そんな行為をする人間がいるとは思えませんが、ここはトイレ。繰り返しになりますが、理性ある人間が野生に還る場所です。喩え紳士淑女御用達の大手老舗デパートといえども、それは例外ではないのです。そう考えると、この錠の変形状態も納得出来てしまいそうな気がします。それにしてもどんだけ焦ってたんだよって感じではありますが。


こんな風にトイレの個室にはファンタジックなドラマが溢れているのです。今回は現場に刻まれた痕跡からの記事でしたが、かつてトイレ個室ではリアルタイムに様々なドラマを経験したこともあります。

なにしろ尾籠に近い話ですし、トイレとはそもそもが禁断の聖域。しかしながら今後も僕は、敢えてそこに斬り込んでいきたいと思っています。皆さんも自身が体験したトイレでの出来事体験談や、ファンタジックかつドラマチックなトイレの写真などありましたら、是非報告して下さい。


ちなみに今回の写真はケータイのカメラで撮影したものなのですが、仮に隣の個室に利用者がいたら、隣の個室から響く撮影音に首を傾げたことは想像にかたくないわけでして…。



ひょっとしたら、いつか僕自身が
ネタにされる日が来るかもしれません。

(隣の個室から撮影音が聞こえたら、僕でもネタにしますしね…)



[ 2005年05月24日-09:22 ]  



Sure−CUPへの道。


やってます。

Sure−CUPに向けて、スゴイ勢いでダーツを投げまくっています。一日の目標は150本ブルということで設定してやっているんですが、投げ続けていると腕が痛くなるので50本3セットというような感じでやっています。

しかし、まーこれが時間かかるかかる。やっていると、だんだんフォームが崩れてきて、全然入らないようになってくるんですよ。普通は序盤はうまくいかなくとも、肩があたたまってくれば、後半はノリノリでポンポンはいるようになる…はずなんですが、全然ダメなんですよねー。

ということで、必死になって投げて、まぐれのように入るブルをカチャカチャ…いや、ポイポイポイ←3投…ポイポイポイ←3投…カチャ…ポイポイポイ←3投…ポイポイポイ←3投…カチャ…っていう感じで、カウントしているわけです。

そして現在進行形で、関節痛と筋肉痛に悩まされているわけなんですが「これホントに上手くなるのかなあ」という疑問ばかりが浮かんでしまうんですよねー。いや、これでホントにうまくなるんかいな。


まぁそれでも一日150本。今日の段階で目標の5000本(2万本の1/4。ブル率を25%前後に出来ればという目測で設定しました)まで、残り4550本少しなんですが、実はショップやバーなど、外投げに行っている時はさすがにカウントしてないんですよね。

ダーツライブっていうシステムのボードで投げていれば、成績もブルも記録してくれるんですが、よく行く池袋の投げ放題の店などには、そのマシンはおいていないんですよね。とはいうものの、他に投げている人もいる中で1R終えてはカチャカチャやっていたら、ただの変な人です。

まぁそれでもSure−CUPで使われるTAURUSも、広く置かれているSPECTRUMもボードのサイズは15.5インチ。僕の持っているハード用のブリッスルボードは13.2インチ。

ですので、理論上は13.2インチのブリッスルボードのブルにガンガン入れられるようになれば、TAURUSだろうがSPECTRUMだろうが、ガンガンブルに放り込めるようになるハズ…なんですが、まだ150本ブルを始めてから数日とはいえ、あまりにも効果が出ている気がしない。というわけで、打ち合わせで都内に出たついでに、よく行く池袋の投げ放題のお店に出向きまして、投げてみました。


まーそうするとですね、これがまー全然普通なんですよ。当たり前に効果はまだ出ていないんです。「そんな簡単には効果も成果も出ねぇよなぁ…」と、ややしょんぼりしていたのですが、折角外に出てきている事もあったので、気合いを入れ直して、それこそ背中に鬼を背負う気合いの入りっぷりで投げ込みを始めました。

投げ込みに選んだのは1501というゲーム。ラウンド以内に出来るだけ速く指定された数字ぴったりにする「01」というゲームの一種なのですが、20R60投以内にで1501ぴったりにしなければならないんです。

で、つまり1投25以上は必ずとらなくてはいけない。ボードのシングルエリアは1−20なものですから、どこかしらトリプルかダブル、もしくはブルに放り込まなくては、ぴったりにしてフィニッシュする以前に、1501を消化出来ないわけです。ですので、この1501をBUST(点数オーバー)、もしくはフィニッシュするのが、仲間内では一つの目標になっているんです。


さて。話は戻って池袋の投げ放題のお店。仲間内での通称は『道場』。そこに合流した会社帰りの兄貴や、予定が控えていたフジイさんが店を出た後も、かなりの勢いでもくもくと投げ続けていた僕。

平日なので空いている事もあって、他にも投げている人は全員マイダーツ持ちの、いわゆるコソ練プレイヤーばかり。レベル的にも多分僕とそう変わらない程度の人ばかりです。お互いが自分の練習ばかり気にしているので、隣がどんなゲームをやっていようが気にすることはありません。

ですが、ブルに入った時の「ズキューン」とか「ピキューン」という効果音は少々気になるところではあるんですよ。二つ向こうの台でハウスダーツ投げているカップルが、超はしゃぎながらメチャクチャなフォームで投げているのに、ブル音バシバシ立てていると、アホみたいにストイックに投げている自分に気が滅入ったりします。

しかし、鬼を背負った気合いが矢にも通じ始めたのか、それとも運動に結構ブルに入るようになって来たんですよ。

ですが、その時点で既に5時間近く投げ込んでいる僕。しかもロクに休みもせず投げ続けていたモノですから、腕にも疲れが出ていますし集中力も落ちます。

前半は調子よくても14Rあたりで3投して10点とか出してしまい、17Rの段階で残り500とかになっていて、これ以上頑張ってもフィニッシュは出来ないような状態になり、グッタリしたりしつつ、それでもひたすらに投げ込むこと5時間半。


ついつい19Rで、残り95というところにまで来ました。これならフィニッシュ出来る!――しかし、こうなると緊張でガチガチになってしまうんですねー。今までも何度もここで躓いてきました。

しかしここで深呼吸一つ。一投目、ブルに入りました。そう、僕はやれば出来る子なんです!この時点で残り45!続いて15トリプルを狙います。しかし外れて15シングルになってしまいました。残り30です。さあ三投目は15ダブルを狙います。しかしこれもハズレ。さあ残りは15です。




思わず撮影してみました。



最終ラウンドを前に肩の力を抜く為にも撮影をしてみたりしつつ、ここで勝負です。15シングルに入ればOK。これがトリプルやダブル、もしくは15以上のシングルに入ってしまえば、その時点でBUST、ゲームオーバー。しかし、乾坤一擲&一投入魂で投げたダーツは見事15に吸い込まれ、見事フィニッシュを達成できたんです!




奇跡の瞬間を記念撮影。



上手い人達にしてみれば、1501なんて如何に速く終わらせることが出来るかという指標に過ぎないわけですし、やる人もあまりいないゲームなのですが、僕にしてみれば初めての達成です。人生初の1501達成。実に道場で投げ始めて5時間45分目の事でした。

もうなんといいますか、かなりの達成感に思わずガッツポーズが出そうになりましたが、身内のギャラリーがいるわけでもないですし、他のコソ練プレイヤー達に見られるのも恥ずかしいモノですから、さすがにそれはやめておきました。まぁでもその直後にケータイで上の画像を撮影したりしたわけですから、はしゃいでるのはバレバレなんですけどね。


そんなこんなで、どうにかこうにかブルにもある程度入れられるようにはなってきているようですし、全くブルに入らないというようなスランプは脱出出来た様子です!

よーし成長もすこーしだけ見えてきた!このままブルに投げ続けて、Sure−CUP当日は、対戦相手の方に失礼のない程度に恥ずかしくないプレイをしたいと思います!(目標低)



問題なのはこのまま投げ続けて
当日、筋肉痛と関節痛に
耐えられるかどうかです。

(なんか腕を曲げ伸ばしするとミキミキいうとです…)



[ 2005年05月26日-15:08 ]  



今まで本当にありがとう。


あたたかい日が続いている。

本を読み、散歩をして、キーボードを叩いたりする。そんな平穏な日々だ。

いつの頃からか『得る人生』から『捨てる人生』に折り返したような気がする。「すっかりお互い歳をとったなぁ」などと口にするような再会も関係もなくなり、ただただ空気のようにお互いが心地よい友人とだけ交流がある。

そんな平穏な日々だが、ここのところ時々咳が出る。若い頃から喉が弱かったので、なんでもない時でも咳をしていた。でもこの咳は明らかに風邪の咳だ。

――幾分、ここのところのあたたかさに騙されたかな。

壁にかかった暦を見れば、月の数字はフタケタに入って久しいのだ。昼はあたたかくとも、夜は冷え込む。薄着でいたつもりはないのだが、この歳になればどこで風邪を拾うかわかったものではないのだ。

咳をするたびに、時折背中が痛む。「どうにもよろしくないな」そんなことを独りごちながら、私はベッドへと向かう。昼から寝込むなんていうのは、どうにもよろしくないのだが起きていると少々辛いのだ。医者に行くのがいいのかもしれないが、どうにも億劫でいけない。

ふと携帯が鳴る。娘からだった。

「お父さん?今週末そっちに行こうかと思うんだけど。秋冬物の上着を買ったのよ。届けに行くから」

「ああ、そうか。ありがたいけど、宅急便で送ってくれ。ちょっと具合が悪くてな。風邪をうつしちゃいかんから」

「え?風邪ひいてるの?お医者さんにはいったの?」

「いやあ億劫でなあ。大したことはないと思うんだよ」

「なに云ってるの!すぐ支度してそっちに向かうから!」

「大袈裟だなぁ。平気だよ。横になっていればじきに治るさ」

「とにかく今から行きますからね」


娘に無理矢理引っ張られていった病院で、担当になった若い医者は私の身体を色々と検査したあと「風邪ですね」なんて結論を出した。

「だから云ったろう。大袈裟なんだよ」と娘に苦笑いしながら苦情を云う。娘は昔から変わらない、ふくれ面に歳を重ねたらしい安心した笑みを加えた表情を私に見せたが、医者の「といっても肺炎になりかけてますから、しばらく入院しましょうか」と云う言葉に、今度は血相を変えて心配をし始めた。

そして私の入院生活が始まった。


「慣れない環境に放り込まれたら、よくなるものもならないんじゃないか」なんていう軽口と愚痴と苦情をあわせた言葉を娘に繰り返し云うものの、一つ咳をするたびに二つ三つと重なり、ついつい身体を折ってしまう私の姿に、ここから頑として動かさないという彼女の方針を強めるだけだった。

朝、昼、晩、薬を飲まされ、食事も工夫をあまり感じないようなものばかり。栄養はあるのかもしれないが、好みの味付けではない。だから食欲もあまりなくなってくる。制限されているわけではないので、娘に差し入れを要求しようと思うのだが、思い浮かべただけで満足してしまう。

2週間経った頃だろうか。自分で痰をきれなくなってナースコールを押した時、そして咳き込んで二つ折りになった背中をさすってもらった時に、さすがの私も理解し始めていた。簡単に云えば私は衰弱していっているのだということを。


飲み薬の分量より点滴が多くなり始めた頃、それまで暇つぶし程度に見舞いに来ていた友人達だけではなく、どこから聞きつけたものか、久しぶりに会う顔ぶれが訪れるようになった。

ベッドを少し起こして話をする。昔話に花が咲くとはよく言うが、違う顔ぶれから「お互い歳をとったなぁ」なんていう言葉が繰り返されるたびに、私は自分の老いを否が応にも意識させられることになった。

それは当たり前の事なのかも知れないが、私はそれまでその台詞を出来るだけ聞かないようにすることで、折り返しを通り過ぎたはずの人生のどこかに杭を打ち込んで歩みを止めようとしていたのかも知れない。

しかし咳をする度に痛む背中、すっかり肉が落ちてしまった腕、萎えた足を見て「老い」だけではなく「衰弱」を意識する。そしてその先にある終着点も、私には見えるようになっていた。

不思議と恐怖はなかった。確かに咳をすれば痛みはあるし、苦しい。それは当然厭な感覚だ。忙しい中世話に来てくれる娘に申し訳ないとも思う。見舞いに来てくれる友人達や旧友達に、弱った姿を見せるのも心苦しい。それも厭な感覚だ。しかし、不思議と終着点の事を思う時、私は安らぎすら感じていた。


気がつけば暦は暮れに差し掛かっているようだった。というのも眼鏡をかけるのも億劫なので、近くにおかれた卓上カレンダーはよく見えないのだ。否、よしんば見えたとしても、いつ寝て、いつ起きているのかもわからない日々が続いているのだから、今が何日なのかはわからないのだが。

窓から見える冬枯れになった木立と薄暗い空だけが季節を感じさせる。今は冬なのだ、と。私も冬に近づいている。それは春を迎えることがない冬だ。だが、決して寒くはなかった。ただただ、私は終わるのだ。枯れて朽ちるように。それは自然の理なのだ。


声をかけられたときと、咳をするときだけ目を覚ます日々が続いた。目を覚ますたび、違う顔ぶれが霞んだ視界に入ってくる。声もすっかり遠くに聞こえるようになり、現実をみているのか過去を思い出しているのか、よくわからなくなっていた。

咳をしても、さして苦しくはなくなってきていた。耳にかけられたゴムと口にかけられた酸素吸入器かなにかが煩わしくて、私は二度三度首を振る。白い服を着た誰かが意を酌んでくれたのか、煩わしかったものを外してくれた。

誰かが私の手を握っている。あたたかい手だ。いつでも握っていたような、それとは違うような。優しくあたたかい感覚が私の左手を包んでくれている。


耳元で娘の声がする。私を呼んでいるのだろう「お父さん、お父さん」と二度ずつ続けて呼んでは、間をおいて、また繰り返す。しかしその声は遠く、私には娘がどこにいるかわからなかった。

顔を声の方向になんとか向けると、白い視界の向こうに見える人影があった。娘かと思ったが、そうではないらしい。目を擦りたかったのだが右手が錘を着けたように重くて、胸のあたりまで動かすのが精一杯だった。

白い霞が強い光なのだとわかり、私は目を細める。すると今までシルエットにしか見えていなかった人影の表情が鮮明に見えた。

妻だ。それも随分と若い。娘が生まれたばかりの頃だろうか、そんな頃の若い姿の妻がそこにいた。先に世を去って、もう何年前になるだろか。もうそれすらも思い出せない。現実なのか回想なのか、最早どうでもよかった。私はただ妻に再会出来たのが嬉しくて、思わず顔をほころばせた。


妻が最期を迎えた時、私は彼女の手を握りしめて何度も礼を云った。

――私にたくさんの幸せをくれてありがとう、本当に感謝している。ありがとう。ゆっくり休んでくれ。

それから、云えなかった言葉があった。

「きっと、また会おう」

一番最後に伝えたかった言葉だった。だが、涙と嗚咽がこみ上げて言葉にならなかった。そんな私を、妻はいつもの優しい目で見つめ返し、ほんの少しだけ私の手を握り返すと、ゆっくりと眼を閉じて逝ってしまった。

その妻が今目の前にいる。私の手を握ってくれている。現実でもそうでなくとも構わなかった。私は妻に再会できたことが何よりも嬉しかった。ここがどこであっても構わなかった。

「やあ、久しぶりだねぇ」

「君が逝ってしまった時に、また会おうって伝え損なったんだけど、こうして再会出来るとは思わなかったよ」

妻はただただ優しく微笑み返すだけだった。

「迎えに、来てくれたのかな。本当にすまないね。いつまでも君に頼りっぱなしで、どうにもいけない」

「今まで何度君に、ありがとうと云ったのかなぁ。君が逝ってしまったあの時も、何度も何度も、ありがとうって繰り返していたっけ」

私は頭をかいて苦笑する。妻は少し困ったような笑顔で、ゆっくりと顔をふると、気にしないでと云うように再び微笑む。その表情は娘そっくりだった。いや、勿論娘が妻に似たのだが。

「繰り返すと、言葉がすり切れるなんていうけれど、私の感謝はどれだけ繰り返したってすり切れることはないとは思うんだ。だから、折角再会出来たんだから、もう一度云わせてくれ」

少し照れくさくなる。そもそも妻と手を繋いだのはどれぐらいぶりだろう。居住まいを正した私は、妻の手をそれまでよりも少し強く握ると、しっかりと口を開いて、ちゃんと彼女が聞き取れるように、全霊を込めて彼女に伝えた。


「今まで本当にありがとう」


――云えた。

そう思った瞬間、身体がこれまでになく軽くなった。

妻の背後から射していた光が強くなる。

白が強くなり、強くなり続け、そして全てが白くなった。

私はあまりの白さと身体の軽さに、ほんの少しだけ驚いて目を伏せたが、妻のあたたかく柔らかな手が私を導いてくれたので、光に身を任せることにして眼を閉じた。

あとには、ただ穏やかさだけが残り、私を包み込んだ。


この世界に生まれて、82年と41日目の事だった。





なんか、こんな死に様と
最期の言葉らしいです。

「あなたがつぶやく最期の言葉」占いより)

【原文】明るくて、誰に対しても分け隔てなくつきあうことのできるあなたは、常に豊かな人間関係の中にいることでしょう。しかし一方でストレスに弱く躁鬱が激しいという一面も。でも精神的に不安定になったとしても自身の豊かな人脈に支えられ、あなたなら乗り切っていけることでしょう。 そんなあなたの最期はごく自然にやってきます。小春日和の続く時季、あなたは風邪をこじらせて病院へ。年齢が年齢なだけに回復は遅く、あなたはの体力はゆっくりと、しかし確実にに奪われていきます。そんな知らせを聞きつけ、あなたの旧友や娘、その家族があなたのもとに駆けつけますが、その甲斐ものなくあなたの最期はやってきます。そしてあなたはぼんやりと先立った妻を思い浮かべ、娘の手をとりこうつぶやきます。『今まで本当にありがとう』あなたらしい最期ですね。


[ 2005年05月27日-13:28 ]  



日曜日のシー者。


これは、とある人物が携帯電話から投稿更新した、とあるソーシャルネットワークサービスサイトにおける日曜早朝の実況記事である。なおプライバシー保護を配慮し、個人を特定できる記事の一部には保護処理を加えてあることをご了承の上、読み進めていただきたい。

―――――――――――――――
【み○もと春○堂さんの日記−2005年05月29日07:16】

オールして始発近くの電車で地元に帰り、現在バスを待っています。

ちなみに次のバスは7時25分。自宅最寄バス停までは290円かかります。

財布の中身は438円。そして現在進行形でトイレに行きたくてしかたありません。

かなり色々な意味で極まってきている状況ですが、本日は〆切りであり、またプロレス観戦ツアーオフ開催日でもあります。

なんかこう、かなりの勢いで「どうしよう」という台詞があたまの中を回っています。大丈夫か自分。



せめて漏らしませんように。
―――――――――――――――

記事が投稿された時間と本文中のバスの発車予定時刻から想像するに、筆者はバス待ちの暇な時間を潰す為に、この記事を書き始めたモノと思われる。オールナイトで出かけていたとあるので、帰路の電車内では眠っていたか、いずれにしてもこの段階ではかなり朦朧としていたに違いない。現状の確認と本日の予定などに終始しており、また書いている途中で不意の便意、おそらく広く世間一般で云うところの「朝一番」の気配に気づいているようだ。

意識明瞭であれば、駅構内のトイレで済ませて来たであろう行為を果たせず、さりとて戻るにはバスの時間が心配という、やや切羽詰まった状況が感じられるも、まだ余裕が見られる。


―――――――――――――――
【みや○と春九○さんの日記−2005年05月29日07:25】

バス来た。乗った。女子高生らしき集団が乗り込んで来た。どこかのバドミントン部みたいだ。遠征かな。しかし車内の臭いがひどい。コイツら一斉にメシ食いはじめやがった。出発待ちの車内はガキコスメやシャンプーだかリンスだかの臭いと食べ物の臭いが混ざっています。やばいやばい、どちらか一方ならいいのに!混ぜるな!混ぜるなよ!混ぜるな危険だよ!



さてバス出発。
―――――――――――――――

この記事では、周囲の状況を観察、そして推理までしており、意識がかなり明瞭になってきていることがうかがい知れる。さらにいえば嗅覚刺激について言及している通り、身体の感覚自体もかなり覚醒しているようだ。つまり身体活動が活発化している状態であり、それは無論生理現象の方にも影響を及ぼす。

しかしこの時点では、まだその危機に本人は気づいていない様子だ。いやひょっとしたら、やや気づき始めていたのかもしれない。バスが出発したというだけの短文を末尾に持ってくるあたりに、「あーあ…発車しちまった…我慢できるのかなぁ…」という心境が微妙に読み取れないこともない。


―――――――――――――――
【○やもと○九堂さんの日記−2005年05月29日07:30】

やばい、漏らしそう。今この車内にいる女子高生達の誰ひとりとして、まさか最後尾の席にいるクマが、おしっこを我慢しているとは夢にも思ってはいないだろう。少女達よ!これが「オトナの世界」だ!



やばい、もうかなり内股モード。
―――――――――――――――

そして直前の記事から五分後には既に身体が完全に覚醒している様だ。冒頭から既に危機的状況をアピールしている。そしてあまり意識を集中し過ぎると、かえって便意が高まるので、あまりその事自体を考えずに意識を散らすということを人間は行う。その為か所在なく周囲を見回している様子も窺い知ることが出来、また自分と自分の置かれている状況を客観視することからも、その事が裏付けられるといっても過言ではないだろう。

本文内容に関しては理解不能極まりなく、ひたすら混乱していることだけが目立つ。言葉を選ばず、ダイレクトに「便」を表すワードを使用しているあたり、パニックの果てに幼児退行している可能性すら考えられる。


―――――――――――――――
【みやも○春九堂○んの日記−2005年05月29日07:52】

あ…っ。
―――――――――――――――

前回の記事から22分が経過しての最後の実況記事は、上記のものだけだった。直前の記事からの22分間は、想像するだに地獄のような時間帯だったに違いないことは窺い知ることが出来る。この小さく短い「悲鳴」ともとれる記事からは、「堤防決壊」「暴発」などのキーワード及び事象が容易に想像されるが、仮にそんな状況になっていたとしたら、こんな記事を投稿する余裕などないだろう。

しかし「あっ…。」という表記が通常本則であるのに対し、本文は「あ…っ。」となっている。この3点リーダー(「…」)の配置が演出的な意図の元になされたものならば、冷静な精神状態であると思われるが、これまでの筆者の文章に見られるクセからも、どうやらその可能性は低いと思わざるを得ない。

以上の事より、次の状況が推察出来る。

・「全開に暴発」はしていない。
・しかし冷静と言い切れる精神状態ではない。
・尿意を感じてより32分が経過。
・振動という尿意の天敵をもたらすバスに搭乗してより27分が経過。

これらの状況を総合して推理するに、尿意の我慢の限界を来たしていた事は紛れもない真実でありながらも、全開失禁はしていないという前提条件から、ちょっとしたショックで微量の失禁(尿漏れ)、通俗的表現でいうところの「ちょい漏れ(choi-morrey)」、80年代に表現されたところの「チビり」という状態になってのではないかと思われる。

いずれにしても、この実況記事が投稿更新された後、関係者からフタケタに達する筆者の状況確認を希望するコメントが寄せられるも、筆者は一切のコメントをも発しておらず、その後も関係記事はおろか、新規の記事も投稿更新していないことから、真実は筆者本人のみが知る闇へと葬られてしまったようだ。

独自の調査によれば、筆者は埼玉県さいたま市在住のオスのクマ。人間年齢でいえば29歳とのこと。漏らしたとしても、仮にそうでなかったとしても、羞恥極まりない記事内容であり状況である。彼は「バスや電車に乗る前は、先にトイレに行っておく」という遠足の基本事項を小学生往事に学習しなかったのであろうか。

なんにせよ爽やかな五月晴れの日曜早朝に、疑問と疑惑と混乱、そしてほのかなアンモニア臭を撒き散らした出来事であった。

―――――――――――――――



ま、間に合いましたよ!
本当だよ!信じてよ!

(その後シャワー浴びて着替えたのは走って汗かいたからだよ!)



[ 2005年05月30日-09:32 ]  



あげさげチャッカーズのレッツゲッツガッツダーツ大作戦 -2-


太々&黒々
あげさげチャッカーズの
レッツゲッツガッツダーツ大作戦

太々でーす。
黒々でーす。
二人合わせて、太くて黒いあげさげチャッカーズでーす。
というわけで約一ヶ月ぶりの登場になったわけですが。前回のラストから薄暗い地下室でハダカのダーツ投げてる人とずっと一緒だったわけですが。
さすがにもう慣れたでしょ?
そういう問題じゃないよ!!なんであの人未だにハダカなんだよ!どんだけ投げてんだよ!!











まぁ練習時間でいったら、スーパーチャンピオンのフィル・テイラーなんか未だに一日8時間投げてるらしいしね。
練習時間はともかく、ハダカが理解できないよ!
じゃ、早速続きに行こうか。
流すの?!
まず、基本的な設備な。ダーツ、実はこれはダートっていうのが正確なんだけど、これは基本的に3本ワンセットなんだ。どんなルールのゲームでも、1ラウンド3投する。だから複数形でダーツなの。
うわ、普通に話進めてるし!ま、まぁいいや。それで?
んで、あと必要なモノはダーツボードとスローライン。まぁこれはお店に行けば普通は揃ってるよね。
ふむふむ。
で、問題はダーツボードなんだけど、最近流行のソフトダーツボードと、伝統的なハードダーツボードがあるんだけどね。ハードダーツボードってのは、繊維を圧縮整形してあったり、コルクだったりするんだ。んでそこにニードルティップが刺さるわけ。ソフトダーツボードってのは表面に穴がボコボコあいていて、その穴がダーツのティップをキャッチしてくれるっていう仕組みなんだ。
えーと、すらすら解説してくれてるところ悪いんだけど、ティップってなに?
あー。んじゃまぁそのあたりはココの真ん中あたりの『▼List up』をみれば手っ取り早いね。あとはココも役立つよ。
途端になげやりだなぁ。でも大体わかったよ。つまりティップってのは先っちょのことね。
そそ。んで、ダーツボードは真ん中をブルズアイっていうんだけど、そのブルも二つに分かれていてね。内側がインブルもしくはダブルブル、外側をアウトブルもしくはシングルブルっていうのよ。下の写真でいうと、黄色でマスクしてあるところがブル全体で、内側の赤いのがインブル。外周がアウトブルね。

ふーん。んで、そこに入れればいいの?
真ん中だからそこに入れれば点が高いって思うのは普通の考え方だけどね、実はそうでもない。ダーツボードの外側と中程の円周上だけ色が違うでしょ。
あー、今青と赤になってるところね。
そっそっそ。で、点数は外周に書いてある数字通りなんだけど、ここのゾーンだけ、点数が違うんだ。赤を被せてあるところは、外周に書いてある点数の3倍。青を被せてあるところは倍の点数になる。
ほーほー。なるほどねー。あれ?ブルは何点なの?
ブルは通常アウトブルはシングルブルなので25点。インブルはダブルブルなので50点になるね。
真ん中なのにえらい点数ひくいね。どーんと100点もくれればいいのに。
そこがダーツの面白さでもあるんだけどね。でも最近流行のソフトダーツマシーンはファットブルっていう仕様になっていて、ブルならインブルでもアウトブルでも50点なんだ。切替も出来るけど、基本的にはブル=50点という考えでいいかな。
えーでも、そしたら20のトリプル?とかの方が点数高いじゃない。20×3で60点でしょ?3本刺さったら180点じゃん。
そうだけどねー。まぁそこを狙って百発百中で刺さればプロになれるよ(笑)。
まーそれもそうか。よくみてみたら、20の両隣って1と5なんだね。失敗したら1点、頑張っても5トリプルで15点とかになっちゃうんだね。
そうそう。飲み込みがなかなか早いね。で、このボードなんだけど、ブルの位置を地面から173cmの高さになるように設置するんだ。んでスローラインは、ボードの盤面から244cm離れたところに置くわけだ。
うわあ…。
なにが「うわあ…」なのよ。
いや、すごく普通に解説してもらってるのに、本当に申し訳ないんだけど、モザイクかかるようなモデルってどうかと思うんだけど…。
まぁ色々な意味で目に焼き付くじゃない。一石二鳥?みたいな?
どちらかというと今すぐ記憶から消したい上に、焼き付いているのはモザイクの方なんだけど。
細かいことは気にしちゃダメだよ。ウン。さて、続いてダーツの投げ方なんだけど。
うん。普通に投げちゃいけないの?
いやまぁ普通に投げていいんだけどね。基本姿勢としては利き手と同じ方の足を必ず前に出して投げるんだ。つまり右手で投げる人は右足も前に出す。


それから紙飛行機を飛ばすように肘を動かさずに前腕と手首だけでダーツを投げるんだ。まさに「投げる」じゃなくて「飛ばす」イメージだね。
へえ、野球とかドッヂボールの投げ方とは違うんだね。利き手と逆の足で踏み込んで振りかぶって投げるんじゃないんだ。
あー。それはね、ダーツでは絶対やっちゃいけないことの一つだね。特にソフトダーツでは、そんなに力いっぱい投げたらダーツボードのセグメントやら、刺さったのを感知するマトリックスという部品が壊れちゃうよ。
わー…そうなんだ。
ちなみにセグメントの交換パーツは1個数千円。マトリックスは数万円。ハードのボードはパーツで交換なんて出来ないから、下手したらまるまる弁償。一気に一万円だよ。
うひー!!無理無理!!
そもそもが、狙って精密に投げるスポーツに、振りかぶって速度と勢いを着けて投げる必要はないからね。野球投げは最悪のマナー違反の一つだよ。
へえ…他にはどんなマナー違反な投げ方があるの?
そうだねえ。時々見かけるのが走って投げたり飛んで投げたりする人ね。スローラインはそこから投げるという目印であって、踏み切りラインじゃないのを知らないのか、陸上競技野郎なのかはわからないけど、時々見かけるね。
うわー…これはバカっぽいね…。他には?
んー…妙にアクロバティックに投げたりとか。
うわ!すげー飛んでる!こんな人いんの?!
いるいる。後は妙にエロティックに投げたりとか?
いやいやいや!どっからポール降りてきてんだよ!ないから!ダーツバーにこんな設備ないから!
こういうのは是非やめてもらいたいね。
なんかダーツっていうスポーツがよくわからなくなってきたよ…。
奥深いだろう?
奥深いというか、理解しがたいです。
まあ、気をつけるべきところとしては

・スローラインを踏み越えない。
・跳んだりはねたりしながら投げない。
・野球投げは絶対禁止。


と、こんなところかな。あとは集中力を必要とするスポーツだから、内輪でワイワイ楽しくやっている時でも、他のお客さんの迷惑にはならないように配慮することも大事だね。
な、なんだか今日はイヤにまともだね。
それだけダーツに真剣に取り組んでるってことですよ。あ、あとね、人によって集中するときに、他の人にはちょっと「?」ってなるような行動をする事もあるけど、そういうのにつっこまないことだね。集中乱れるから。
へー!どんなのがあるの?
そうだねえ、例えばグリップしたダーツを一度口元に持って行ってキスしたりとか、掌に息を吹き込んでみたりとか、袖がない服なのにソデ裾を跳ね上げる仕草をしてみたりとか、セットアップした後にボードに向かってノックしてみたりとかかな。投げ終わった後で、失敗を戒める為に左手を叩いたりする人もいる。

こういう、ちょっと端から見たら「?」というような行動をしても、気にしないこと。それと「それってなんですか?」とか聞くのも微妙だねー。多分本人無意識だし、まぁ験かつぎってこともあるしね。まぁプレイ中は投げ終わるまで声をかけたりしないというのがベストかなー。それで集中乱れる人もいるみたい。
ふーん…いやはや、勉強になったよ。ちなみに黒々君はどんな方法で集中力高めてるの?
そうねー。僕の場合、大体チャック全開にして投げてるかな。
ふーん…っていやいや!それは集中力の高め方間違ってるから!危うく聞き逃すところだったよ!
いやーこれが効くんだって!すごい高まってくるよ!!「ああっ…今ボク、見られてる…っ!」みたいな!みーたーいーなー!(チャックを上げたり下げたりしながら)
いやいやいやいや!!それ、明らかに別のモノが高まってるから!!
大事な局面では、さらに一枚向こう側も全開に!!
捕まるから!!速攻捕まるから!!
ルック・マイ・ブルズアーーーイ!!!!(チャックを超高速で上げ下げしながら)
どこ見せようとしてんだよ!!うわ近寄るな!お…おまわりさーん!!
とまぁね、そんな感じで色々高めたりしながらダーツを投げたりするわけですよ。
お、お前、絶対いつか捕まるぞ…?
まあ大丈夫。よしんば捕まったとしても、ダーツだけに、すぐにダツ獄するから。
うわ!寒ッッ!!いー加減にしなさい。
どーもありがとうございましたー!



<つづく>



[ 2005年05月31日-22:05 ]